肥満と肥満症の違いをご存じですか?
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
糖尿病の危険因子の一つに肥満があります。
肥満は糖尿病をはじめ心筋梗塞や高血圧などの生活習慣病の原因にもなるのです。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、
20歳以上における男性33.0%、女性では22.3%が肥満だと言われています。
肥満はBMIという指標で判断されますが、
肥満と肥満症の違いをご存じですか?
肥満と肥満症は違う
健康診断などでBMIが高いと「少し肥満ですね」といわれてしまいますね。
BMI(Body Mass Index)はボディマス指数のことで、
BMIの計算方法は世界共通で、
体重(kg)/身長(m)2
で計算されます。
BMIは「身長と体重の比率」で算出されるのですから、
筋肉がモリモリで超マッチョで体重が重い場合にもBMIは高く算出されるため、
計算上では肥満になってしまうこともあるし、
健康診断では、体脂肪率が18%で正常なのにBMIが高いと「ダイエットが必要です」とのコメントがついてしまうこともあります。
世界保健機関 (WHO)による肥満の判定は、
- BMI 25以上 : 過体重 (Overweight)
- BMI 30以上 : 肥満 (Obesity)
としていますが、
日本では、
- BMI 25以上 : 肥満
と判定しています。
また、25以上では肥満 (1度)~肥満 (4度)に分類されま
WHO基準と日本基準が異なるのは、
アジア人ではBMIが高くなくても内臓脂肪の蓄積などにより健康障害のリスクが高いからだということです。
厚生労働省では肥満を、
肥満とは 体重が重いだけではなく体脂肪が過剰に蓄積した状態
と定義しています。
それなら「体内の脂肪の割合(体脂肪率)を使えば良いじゃないか」ということになりますが、
厚生労働省でも、
BMIは身長と体重から単純に計算された値で、
BMIだけでは筋肉質なのか脂肪過多なのか区別できません。
体脂肪率を測定できる体重計が市販されています。
推定方法や判定基準が異なることから正確な測定は困難ですが、
目安のひとつとして、体脂肪率の増減の傾向を把握してみましょう。
と述べています。
最近の体重計には体脂肪率を計測できる機能も付いていますが、
日本男性では、
- 8%以下 : 痩せ型
- 8.1%~16% : 標準
- 16.1~26 : やや肥満
- 26.1以上 : 肥満
女性では、
- 18%以下 : 痩せ型
- 18.1~26% : 標準
- 26.1~33% : やや肥満
- 33.1以上 : 肥満
とされています。
以上のように、BMIは肥満の目安になりますが、体脂肪率も考慮する必要があるのです。
なお体重は、
適正体重 = (身長m)2 ×22
を参考にしてください。
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肥満症は病的な肥満
肥満症は、
肥満に関連して発症する健康障害を有し、医学的に減量が必要な状態
と定義されています。
肥満の診断は、
- BMI 25以上
- 肥満に関連する健康障害があるか内臓脂肪の蓄積がある
ときには「肥満症」と診断されるのです。
さらに、BMI 35以上で健康障害か内臓脂肪蓄積のある人は「高度肥満症」と診断されます。
肥満症は治療を要する肥満なのです。
日本肥満症治療学会によればBMI35を超える高度肥満患者は60万人いるそうです。
日本では肥満と肥満症を区別し、肥満症は治療の対象になるのですが、
欧米で危険因子や基礎疾患とみなして治療対象にはしていません。
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まとめ
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、
20歳以上において肥満は男性33.0%、女性22.3%で、
男性では40歳代が39.7%と最も高く、次いで50歳代が39.2%、
女性では高年齢層で肥満が多く60歳代で28.1%と最も高くなっています。
肥満にも、
- 内臓脂肪型肥満
- 皮下脂肪型肥満
に分けられ、内臓脂肪型肥満は糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高いのです。
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