今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病については古代エジプトのパピルスにも記載され、人類において“不治の病”として「糖尿病は死にゆく病」だったのですが、
20世紀初めに抽出されたインスリンにより治療法は大きく前進したのです。
さらに、現在では数多くの糖尿病治療薬が開発され糖尿病の治療は一段と進んだのですが、
はたして、
糖尿病は不治の病なのでしょうか?
糖尿病は完治できるのでしょうか?
病気が治るということ
かつては不治の病といわれた糖尿病。
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家であるバッハも糖尿病網膜症により失明したことは有名ですが、
日本では平安時代の最高権力者藤原が糖尿病だったといわれています。
血糖値の測定法もなく治療薬も全くなかった時代に比べると現在の糖尿病の治療は格段に進んだのですが、
病気が治るということはどういうことなのでしょうか?
病気が治るということを医学的には、
- 完治した
- 治癒した
- 寛解した
などといいます。
ほぼ同じ意味ですが、
完治 = 治癒 ≒ 寛解 のニュアンスで、
完治と治癒は、皆さんのイメージ通りの治った状態のことで、
治療薬を飲まなくても病気の症状が消失した状態です。
寛解とは、病気の症状がほぼ消失した状態ですが、
再発する可能性もあることから、治療の継続や定期的な検査が必要な状態です。
寛解の次に完治や治癒の状態が来るのです。
事故のニュースなどでは「全治」という言葉を良く聞きますが、
全治というのは、病院に通い、あるいは入院して治療に要する期間のことで、
治療がもう必要ない状態に戻ることですが、
例えば骨折などの場合には1~3ヵ月で骨は癒着しギブスも外せますが、筋力の衰えなどは未だ回復せず、一般的に日常生活に支障がないレベルまで回復する完治には至っていません。
糖尿病の完治とは
糖尿病になったら一生治らないといわれた糖尿病。
糖尿病はインスリンの効きが悪くなったり、
インスリンの分泌が少なくなったりして、
血糖値が高くなる病気です。
糖尿病が治る(完治する、治癒する)ということは、
薬を飲まなくても血糖値が正常値を維持するようになる
ということです。
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日本糖尿病学会の治療目標とは?
では糖尿病の治療の現状はどうなのでしょうか?
日本糖尿病学会では、「糖尿病診療ガイドライン」を出していますが、
- 糖尿病治療の目標
を掲げています。
糖尿病治療の目標
糖尿病症状を除くこととはもとより、糖尿病に特徴的な合併症、糖尿病に併発しやすい合併症の発症、増悪を防ぎ、健康人と同様な日常生活の質(QOL)を保ち、健康人と変わらない寿命を全うすることにある。
すなわち、
糖尿病治療の目標は、
- 合併症の発症を防ぐ
- 合併症の増悪を防ぐ
- 健康人と変わらない寿命を全うする
ということなのです。
私たちとしては、
薬を飲まなくても血糖値が正常値を維持するようになる
という糖尿病の完治を期待しているのですが、
現在の治療薬を服用しても糖尿病の完治は期待できないようなのです。
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糖尿病は不治の病なのか?
日本糖尿病学会の治療目標を見ると、
- 糖尿病を完治する
という目標ではなく、
- 健康人と同じ寿命を全うできるようにする
ということであり、非常に寂しいものです。
糖尿病治療薬では糖尿病は治らない
糖尿病治療薬は、
- 糖尿病治療薬で血糖値を下げることはできるが
- 糖尿病そのものを治すことはできない
ということなのです。
糖尿病の情報サイト「糖尿病ネットワーク」には、
糖尿病は「治る」という表現があてはまらない病気です。
その理由は、
治療によって血糖値を下げることはできても、
血糖値が高くなりやすい体質自体を改善するのはできないからです。
糖尿病は「治る病気」でも「治らない病気」でもなく、
治療を続け血糖値を限りなく正常に近い範囲にコントロールしていれば、
一生、健康な人と同じ状態でいられる病気です。
と書いてあります。
血糖値が高くなりやすい体質自体を改善するのはできないからだというのです。
まとめ
糖尿病治療薬では、
血糖値が高くなりやすい体質を改善することはできません。
したがって、血糖低下薬を生涯、飲み続ける必要があるようです。
しかし、森永卓郎さんの糖尿病はライザップで治ったのかや、
で紹介したように、
インスリン注射が必要なほどの重症の糖尿病も食生活の改善で治すことができるのです。
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