糖尿病での喫煙は血糖値に悪影響を与えます

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。

 

はじめに

喫煙者の心筋梗塞など虚血性心疾患による死亡率は吸わない人の2倍!!

喫煙は“百害あって一利なし”と言われるのですが、

喫煙は糖尿病の血糖値にも影響する?

 

糖尿病では禁煙

 

禁煙したくてもやめられない方は、読んでください。

それでもタバコを吸いますか?

 

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喫煙は糖尿病発症のリスクを上昇させる

喫煙者が糖尿病になりやすいことは国内外の多くの疫学研究によって明らかにされています。

 

糖尿病では禁煙

 

日本で行われた7つの調査も含めた、25の追跡調査を網羅した研究報告(Willi C, et al, JAMA. 2007; 298: 2654-2664)によると、

喫煙者は、

  • 2型糖尿病に1.4倍かかりやすい
  • 喫煙本数が多いほど糖尿病になりやすい
  • 禁煙した人ではリスクの低下がみられる

 

糖尿病では禁煙した方が良い

 

これは、糖尿病に関係するBMI、身体活動、飲酒などの要因を除外しても見られる、「喫煙だけの影響」なのです。

 

どうして喫煙すると糖尿病になるのか

喫煙が糖尿病のリスクを上昇させる原因として、

  • 交感神経を刺激して血糖を上昇させる
  • 体内のインスリンの働きを妨げる

ということと関連していると考えられています。

 

喫煙は交感神経を刺激し、

アドレナリンなどのストレスホルモンの分泌を促進することにより血糖値が上昇します。

 

健常人に両切りピースを喫煙させ、その前後で血糖を測定したところ、血糖が有意に上昇するということも報告されています。

 

喫煙者と非喫煙者での糖負荷試験を比較したところ、喫煙者における糖負荷後のインスリン分泌量が有意に高く、喫煙者ではインスリン抵抗性が上昇していることが分かっています。

高濃度のニコチンはグルコースによるインスリン分泌を抑制し、低濃度のニコチンはインスリン分泌を促進すると考えられています。

 

禁煙すると体重が増えるけど、、

一般的に禁煙すると体重が増えると言われています。

禁煙による体重増加は80%の人に見られるそうですが、

体重増加の平均2㎏前後で、禁煙が落ち着くと体重増加は停止し、逆に減少に転じるといわれています。

 

禁煙による一時的な体重増加は、

  1. ニコチンの抗肥満作用(脂肪組織に脂肪が貯まらないようにする)が解除される
  2. 味覚や臭覚が改善され食欲が亢進する
  3. 胃粘膜の微小血行障害が改善され栄養吸収が促進される
  4. 口寂しさのため食物摂取量や食事回数が増加する
  5. 禁煙がストレスとなり精神的な安定を摂食に求めてしまう

ためだと考えられています。

 

確かに、禁煙による体重増加によって血糖が上昇することも報告されているのですが、
禁煙による健康改善は体重増加による微少な血糖上昇をはるかに上回る効果が期待出来るのです。

 

例え、禁煙後に体重が増加しても心筋梗塞や脳卒中のリスクが半減することが分かっているのです。

 


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喫煙は糖尿病を悪化させる

喫煙は糖尿病発症のリスクを増加させるのですが、既に糖尿病の人の病態をも悪化させるのです。

 

喫煙は心疾患を誘発

 

糖尿病の人が喫煙を続けると、治療の妨げとなるばかりではなく、
脳梗塞・心筋梗塞や糖尿病合併症のリスクが高まることが明らかになっています。

 

インスリン治療を行っている糖尿病患者では、

喫煙により、

  • 非喫煙の糖尿病患者よりも多くのインスリンが必要
    (平均15-20%程度、ヘビースモーカーでは30%程度)
  • インスリンの皮下の吸収が悪くなる

禁煙により体重増加が増加してもインスリン抵抗性が改善することから、インスリン治療中患者では必要なインスリン量が減少するという報告があります。

 

糖尿病患者の喫煙は、

  • 脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる
  • 糖尿病性腎症など糖尿病合併症のリスクが高まる
  • その結果として総死亡のリスクが上昇する

ことがわかっています。

 

つまりいくら血糖のコントロールに注意を払っても、喫煙は糖尿病の進行を促進し、合併症へと進んでしまうのです。

 

特に、

喫煙は糖尿病の罹患の有無に関わらず、慢性腎疾患のリスクを高めることが報告されており、

 

日本腎臓学会発の「慢性腎疾患診療ガイド2009」では、

「慢性腎疾患の進行抑制と心血管疾患の発症抑制において禁煙は必須である」として、腎疾患の病期ステージに関わらず禁煙が推奨されています。

 

禁煙により糖尿病患者のこれらのリスクは改善はするものの、

糖尿病患者では禁煙後のリスクの低下は非常にゆっくり低下するため、

できるだけ早期に禁煙することが重要なのです。

 


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最近の情報では、、

イギリスの研究グループの1万例を超す大規模コホート調査では、

 

糖尿病患者が禁煙すると、

体重変化とは無関係に血糖が悪化する 

というのです。

 

この報告によると、

喫煙習慣のある2型糖尿病患者が禁煙すると、

  1. 喫煙を続けた場合に比べて血糖コントロールが悪化する
  2. 血糖コントロールの悪化は体重変化とは無関係に認められる
  3. この現象は禁煙から約3年間続きその後は喫煙者と同等になった

そうなのです。

 

この血糖コントロールの悪化というのがどのようなものか、そして糖尿病の進行とどう関連するのかは明らかにされていませんが、

さらに詳細に調べて報告したいと思います

 

いずれにしても、
喫煙が糖尿病発症リスクを上昇させることはよく知られていることですから禁煙に踏み切るべきです。

 

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