国内の糖尿病の患者数は潜在的な糖尿病患者や予備軍まで含めると1,000万人とも2,000万人といわれるほどの国民病になってしまいました。
糖尿病はかつては贅沢病などとも呼ばれ、美食家や飽食家が罹患する病気と思われていた時もありました。
今でも「甘いものを食べすぎると糖尿病になるよ」とよく言われるのですが、
- 甘いものを食べすぎると糖尿病になる
- 糖尿病の人は甘いものが好き
というのは本当のことなのでしょうか?
ちょっと前になるのですが、
おない内科クリニックの羽鳥洋子医師は日本糖尿病学会で、
糖尿病患者の味覚嗜好
について発表しています。
糖尿病患者は甘いものが好きなのでしょうか?
糖尿病の人は甘いものが好きなのか?
今年5月の第60回日本糖尿病学会において、
医療法人社団糖和会おない内科クリニックの羽鳥洋子氏は、
酸っぱいものが嫌いな糖尿病患者ではBMIと血糖値が高い
という研究成果を発表しています。
くわしく見る ⇒ コチラ
鳥羽氏は臨床の現場で、
糖尿病患者の栄養指導では患者の味に対する嗜好を充分に聞く必要がある
と感じているそうなのです。
塩分を取り過ぎると高血圧になりやすいということは誰でも知っていると思いますが、
のです。
減塩対策では味付けに酸味を使うことで塩分の摂りすぎを抑えることができることから、糖尿病の食事指導では患者の味覚嗜好を知る必要があるというのです。
研究では、
- 糖尿病患者494人(男性292人、女性202人)
を対象に、
- 甘味、塩味、酸味に対する嗜好
と、
- BMIと血糖値(HbA1c)
との関係を調べたのです。
その結果、
酸味が好きな患者(148人)では、
- BMIが25以上 : 43.9%
- HbA1cが8.0%以上: 17.6%
だったのに対し、
酸味が嫌いな患者(患者86名)では、
- BMIが25以上 : 57.0%
- HbA1cが8.0%以上 : 31.4%
と、
酸っぱいものが嫌いな糖尿病患者ではBMIと血糖値が高い
という結果が得られたのです。
甘味については、
甘みが好きな患者(191名)では、
- BMIが25以上 : 47.7%
- HbA1cが8.0%以上 : 21.5%
甘みが嫌いな患者(27人)では、
- BMIが25以上 : 33.3%
- HbA1cが8.0%以上 : 18.5%
という結果で、
甘みが好きな糖尿病患者と嫌いな患者でのBMIと血糖値に大きな差はなかったとしています。
塩分の摂りすぎは高血圧だけでなく糖尿病にもなりやすいために、
糖尿病患者の食事療法では、
甘みに気を付けることも大事ですが、
酸味を利用した減塩に気を付けることが大事なのです。
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糖尿病の人はご飯が好き
糖尿病の人は特に甘いものが好きだったようではありませんでしたが、
糖尿病患者の食べ物の嗜好を調べたもう一つの研究論文をご紹介しましょう。
これは、
『糖尿病患者の嗜好について』
という研究論文です。
詳しく読む ⇒ コチラ
イギリスにおける研究ですが、
糖尿病患者 が糖尿病になる前にどのような食事をしていたかを調べたところ、
- Fatty diet
- Sweet diet
の2つに分かれていたそうです。
Fatty diet とは太る食事内容ですから、ファストフードやポテトチップ、唐揚げなどの脂肪が多い食事内容で、
Swet diet とはコーラや甘い飲料、ケーキなど糖分の多い食事内容でしょう。
そこで、江住氏らは、
千葉大学附属病院で治 療 をうけている糖尿病外来患者245名 の、
食物に対する嗜好性を調査したのです。
その結果、
糖尿病患者が男女ともに最も嗜好したものは、
- ご飯
- 牛乳
だったそうです。
糖尿病患者が特に甘いものが好きなわけではなさそうです。
また、甘いものは糖分が多いので糖尿病を考えれば摂りすぎには気を付けるべきですが、
糖尿病患者の食事療法で最も気を付けなければならないのは、
- 炭水化物
- 塩分
です。
白米やうどんなど炭水化物(糖質)を過剰に摂ると血糖コントロールが悪くなります。
さらに、
羽鳥氏が調査結果から注目したのは塩味で、
塩味が好きという人には「漬物一切れでご飯一膳を食べられる」という人もいるそうで、
塩味が強い食事ではついつい炭水化物(糖質)を摂りすぎてしまう傾向があるそうです。
そのためには、「酸味」をきかせれば塩分を控えることができるのです。
また、「酸味が好き」な人では健康や食事に気を使っている人が多く、結果的に、血糖コントロールが良くなっている可能性があるといいます。
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