今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
塩分の摂りすぎは高血圧になるということは昔からいわれ誰でも知っていることです。
しかし最近、塩分の摂取量はかなり減ったはずなのに逆に高血圧患者は増えているとして、
塩分の摂りすぎは高血圧になるというのはウソ
だとする説も少なくはないのです。
ところが、山形大学の研究グループは、
塩分摂取量が多いと高血圧だけでなく糖尿病のリスクも上昇する
という研究報告を発表しました。
塩分の摂りすぎは、
- 糖尿病のリスクが上昇する
- 糖尿病患者の心疾患リスクを上昇する
という疫学調査があるのです。
あなたなはどちらを信じますか?
塩分の摂りすぎは高血圧のリスクを上げる
国内の高血圧患者は4,300万人と日本では最も患者数の多い生活習慣病で、
脳卒中、心臓病、腎臓病など命に関わる疾患の原因になるため予防が非常に重要なのです。
塩分の摂りすぎは高血圧のリスクを上げるということは誰でも知っていることです。
これは、
戦後間もなく1950年にアメリカの研究者が日本人の食塩摂取量と高血圧発症率の関係を調べたことに端を発しています。
この調査では、
- 青森県 : 塩分摂取量28g 高血圧発症率40%
- 鹿児島県: 塩分摂取量14g 高血圧発症率20%
と、青森県では鹿児島県よりも1日当たりの塩分摂取量が2倍も多く、高血圧の発症率も2倍だったのです。
厚労省による日本人の食事摂取基準2010年版では18歳以上のナトリウム(食塩相当量)の目標量が
- 男性 9.0g/日未満
- 女性 7.5g/日未満
とされていましたが、
2015年4月1日よりさらに厳しく、
- 男性 8.0g/日未満
- 女性 7.0g/日未満
に変更されています。
塩分の摂りすぎでは、
- 血液中のナトリウムが増えると薄めようと水分も移動するため血液量が増える
- ナトリウムは交感神経を刺激し末梢血管を収縮させる
ということから血圧が上がるといわれているのです。
しかし、減塩運動によって塩分の摂取量が減ったにも関わらず、高血圧患者は増えているとして、
東北地方で高血圧の患者が多いのは塩分の摂りすぎが原因ではなくカリウムの摂取不足が原因だとする説もでてきていますがるのです。
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塩分の摂りすぎは糖尿病のリスクを上げる
山形大学の研究グループは、
塩分の摂りすぎは高血圧だけでなく糖尿病のリスクも上げる
という研究成果を発表しました。
詳しく読む ⇒ 河北新報
この研究は、山形県民約2万人を対象に疾病の発生を追跡調査する研究の一環で明らかになったのです。
研究では2015年に健康診断を受けた2,100人(30~70歳代の男女)の尿を分析して、1日の推定塩分摂取量を算出し、
塩分の摂取量と高血圧と糖尿病の有病率の関係
を分析したのです。
具体的には、塩分の摂取量が6g未満~22g以上までの6群に分けて高血圧と糖尿病の有病率を調べたのです。
その結果、
- 塩分の摂取量が多い群では高血圧患者が多い
- 塩分の摂取量が多い群では糖尿病患者が多い
ということが判明したのです。
上の図のように、
塩分摂取量の増加に伴って高血圧と糖尿病の患者が増加する傾向が見られた
というのです。
研究グループは、塩分摂取量と糖尿病の発症リスクの因果関係については今後詳しく調べるとしていますが、
塩分の摂取量と糖尿病の相関関係が示されたのは初めてだとしています。
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塩分摂取は糖尿病患者の心臓疾患リスクを上げる
糖尿病の治療ガイドラインでは、
糖尿病合併症のリスクを抑えるため塩分摂取量を1日6g未満とすることを推奨し、
日本高血圧学会でも
特に糖尿病や慢性腎臓病の人は,循環器病や腎不全の予防のためにも,1日6g未満の減塩を推奨します。
としています。
日本だけでなくアメリカの糖尿病学会も、
糖尿病患者では1日の塩分摂取量を5.8g未満に抑えるように勧告しているのです。
塩分の摂りすぎは心血管疾患のリスクを2倍に上げる
新潟県立大学の研究グループは、
塩分摂取量が多い糖尿病患者では心血管疾患のリスクが2倍に上昇する
という研究結果を発表しています。
Dietary Sodium Intake and Incidence of Diabetes Complications in Japanese Patients with Type 2 Diabetes: Analysis of the Japan Diabetes Complications Study (JDCS)
詳しく読む ⇒ コチラ
1,588人の糖尿病患者を塩分摂取量によって4群に分け、8年間に亘って心血管疾患の発症を追跡調査したところ、
塩分摂取量が5.9gの群では2.8gの群より心血管疾患の発症が2倍高かったというのです。
アメリカの2003~2006年における統計調査(National Diabetes Statistics Report 2014)でも、心血管疾患による死亡者数は糖尿病患者では糖尿病でない人の1.7倍だったと報告されています。
研究グループは、糖尿病における心血管疾患の合併症を防ぐには血糖値のコントロールだけでなく塩分の摂取量を制限する必要もあると述べています。
詳しく見る ⇒ 塩分の摂りすぎは糖尿病になる
糖尿病では炭水化物(糖質)の摂りすぎに注意する必要があるのですが、
合わせて、塩分の摂りすぎにも注意してください。
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