お酒の種類と糖尿病の関係

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

お酒にもいろいろな種類がありますがどれがお好きですか?

  • 日本酒
  • 焼酎
  • ビール
  • ワイン
  • ウイスキー

しかし、一般的に、

  • 日本酒やワインには糖質が多いからあまり良くない
  • 蒸留酒は糖質が少ないから糖尿病でも大丈夫

と考えられています。

 

しかし、

欧州と米国の大規模疫学調査では、

お酒の種類と糖尿病の発症率には関連がない

との結果が得られたそうです。

 

適量のお酒は糖尿病の発症を抑制するとも言われていますが、

大量の飲酒は糖尿病のリスクを高めますからホドホドにしてくださいね。

 

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お酒の種類で糖尿病のリスクが変わるのか?

一般的に、

  1. 日本酒やワインには糖質が多いからあまり良くない
  2. 蒸留酒は糖質が少ないから糖尿病でも大丈夫

と考えられています。

日本酒やワインには糖質が多いのは事実で、ビールも糖質ゼロを選ぶ人が多いのですが、

お酒の種類で糖尿病のリスクが異なるのでしょうか?

 

CHANCES(Consortium on Health and Ageing Network of Cohorts in Europe and the United States)といわれる、18のEU加盟国とアメリカが参加する健康とエイジングに関する大規模疫学調査のプロジェクトは、

アルコール飲料の嗜好性と2型糖尿病の発症率との関連性

に関する疫学調査の成績を発表しています。

Alcoholic beverage preference and diabetes incidence across Europe: the Consortium on Health and Ageing Network of Cohorts in Europe and the United States (CHANCES) project.

CONCLUSIONS :
This large individual-level meta-analysis among persons who reported alcohol consumption revealed that the preference for beer, wine, and spirits was similarly associated with diabetes incidence compared with having no preference.

くわしく読む ⇒ 原著論文

 

この疫学調査では、

本研究では、CHANCESのデータベースから、

飲酒量が記録された62,458人のデータを解析し、

 嗜好するアルコール飲料の種類と糖尿病発症の関係

を追跡調査したのです。

 

その結果、

ビール、ワイン、蒸留酒のそれぞれに対する嗜好と糖尿病発症との関係は、

嗜好がとくにない人と比較して、

  • ビール嗜好の人のハザード比は : 1.06(95%CI:0.93~1.20)
  • ワイン嗜好の人のハザード比は : 0.99(95%CI:0.88~1.11)
  • 蒸留酒嗜好の人のハザード比は : 1.19(95%CI:0.97~1.46)

であり、

嗜好するお酒の種類と糖尿病発症には関連がみられなかった

ということです。

なお、この調査におけるアルコールの種類の嗜好とは、総アルコール飲料のうち特定のアルコール飲料が70%を超える場合にそのアルコール飲料に嗜好性があるとしています。

 

  • 日本酒は糖尿病に悪い
  • 蒸留酒は糖尿病に良い

とは良く言われることですが、余り関係ないと言うことのようです。

 


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お酒と糖尿病の関係

厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイトであるe-ヘルスネットでは、

お酒と糖尿病の関係について、

  1.  アルコールはアルコールの作用やその代謝によって血糖値に影響を与える
  2.  適度な飲酒は糖尿病の発病に抑制的に働く可能性がある
  3.  多量飲酒は糖尿病のリスクを高める
  4.  飲酒による肝障害や膵障害では糖尿病になる危険が大きい

として、

糖尿病患者さんは多量飲酒は避けるべきです

としています。

  詳しく見る ⇒ e-ヘルスネット

 

適度な飲酒は糖尿病の発症を抑制する

厚労省のe-ヘルスネットでは、

血糖コントロールが良好で合併症がない場合には、酒肴や飲酒量に注意した適度の飲酒であれば良いと考えらられる、としていますが、

 

大規模な疫学調査において、

  • 適度な飲酒は糖尿病の発症を抑制する
  • 多量の飲酒は糖尿病の発症を促進する

可能性のあることが分かっていますが、

原因は明らかではありません。

 

しかし、

アルコールは肝臓のグリコーゲンをブドウ糖への分解を亢進させるので、

飲酒後には一過性に血糖値を上昇させるのです。

 

さらに、

飲酒時には、

唐揚げ脂質や蛋白質の多い酒肴(つまみ)を食べることが多いことからカロリー摂取過多が高血糖を助長するのです。

そして、

さらに悪いのはシメのラーメンです

 

お酒の種類と糖類の含量

アルコールそのものには血糖値を上昇させる作用はありません。

アルコールは、1g当たり7kcalと高カロリーですが、体内でブドウ糖に変化することはないため血糖値を上昇させることはないのです。

しかし、上でも言いましたように、

アルコールは肝臓内のグリコーゲンのブドウ糖への分解を促進させる作用があるため、飲酒後は一過性に血糖値を上昇させてしまいます。

 

アルコールの種類と糖質量

今回紹介した疫学調査の成績では、

嗜好するアルコール飲料の種類と糖尿病の発生には関係がなかったのですが、

アルコール飲料には糖質も含むものもあるということに注意すべきでしょう。

お酒の種類と糖尿病の関係がありませんが飲み過ぎはいけません

焼酎やウイスキーなどの蒸留酒には糖質は含まれませんが、

  • ビール
  • 発泡酒
  • ワイン
  • 日本酒

には上の表のごとく糖質が含まれますから、

  1. アルコールは血糖値を上げる作用がある
  2. アルコール飲料の一部には糖質が含まれる
  3. 酒肴で炭水化物を多く摂る傾向がある

という三拍子が揃えば糖尿病の原因にもなりかねないのです。

さらに、

飲酒後にはラーメンが食べたくなるように、食欲が増進されてしまうため、お酒の高カロリーと酒肴の炭水化物や脂質で中性脂肪が高くなりやすく、肥満になりやすいのです。

 


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お酒のカロリーゼロと糖質ゼロとは

お酒のカロリーは非常に高いのですが、

最近は、

カロリーゼロと糖質ゼロとのビールを良く見かけるようになりました。

 

市販のビールや発泡酒のカロリーや糖質は、おおよそ、

 

  ビール 発泡酒
カロリー 40kcak 45kcal
糖質 3.1g 3.6g

となっています。

カロリーゼロと糖質ゼロの基準

糖尿病に良くない、

肥満に悪い、、

として、「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」のビールを選ぶ人も多いのですが、

実は、

カロリーゼロと記載されていても、カロリーが全くないわけではありません。

糖質ゼロと記載されていても、糖質が全く含まれていないわけではありません。

 

「カロリーオフ」や「ノンカロリー」、「シュガーレス」や「無糖」などいろいろな表記がありますが、

健康増進法により詳しく規定されています。

飲料100ml当たり、

  • カロリーゼロ : カロリーが5kcal未満 
  • カロリーオフ : カロリーが20kcal以下 

飲料100ml当たり、

  • 糖質オフ : 糖類や糖質が0.5g未満 
  • 糖類ゼロ : 糖類や糖質が2.5g以下

糖尿病と嗜好するお酒の関係はありませんが糖質には注意してください

などの表記が可能になるのです。

「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」と記載されていても決してゼロではないのです。

 

今回ご紹介したように、

 

お酒の種類と糖尿病のリスクには関係がないことが明らかになりました

しかし、

適量のお酒は糖尿病の抑制に効果がありますが、過度のお酒は糖尿病の原因になりますからご注意ください。

そして、

アルコールは食欲を増進させる作用がありますから、食べ過ぎやシメのラーメンにはご注意ください

 

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