糖尿病の再生医療が一歩前進
糖尿病は誰でもが知っているように血糖値が上がる病気です。
血糖値が上がれば余分な糖は尿中に排泄されるために糖尿というのですが、、、。
血糖値が上がる理由は、
- インスリンの効果が悪くなる
- インスリンの分泌が低下する
という理由によるものですが、
糖尿病が進行すれば、現在ではインスリン注射をするより方法がありません。
そこで注目されているのが、膵臓の再生医療ですが、
東京大学の研究グループは、動物で膵臓の再生に成功したと発表しました。
糖尿病の再生医療がまた一歩前進です。
尿病における膵臓の再生医療に成功
東京大学の医科学研究所、中内啓光教授らの研究グループは、
再生医療技術による膵臓で糖尿病マウスの治療に成功した
と発表しました。
正しくは、「異種キメラ動物体内に作った膵臓」なのですが、
- iPS細胞を使ってラットの体内でマウスの膵臓をつくり
- 糖尿病のマウスに移植して治療
することに成功したのです。
くわしく見る ⇒ 東京大学プレスリリース
最近しばしば、幹細胞、ES細胞、iPS細胞という名前を聞きますが、
その違いを簡単にご説明します。
- 幹細胞 : 骨髄にある様々な細胞にでも変化できる万能細胞
- ES細胞 : 授精卵を利用した幹細胞(ヒトでは倫理上の問題あり)
- iPS細胞 : 皮膚などの細胞に遺伝子を導入して作った医療用の幹細胞
ということで、ノーベル賞を受賞した中山伸也教授らの研究によるiPS細胞とは、
皮膚などの細胞に遺伝子を入れてどんな細胞にでも変化できる幹細胞のことなのです。
さて、
中内教授らの研究グループは、2010年に同じような方法でマウスの体内にラットの膵臓をつくることに成功していたのですが、
できた膵臓が小さいために、充分な効果がなかったのです。
そこで今回は、
マウスのES細胞やiPS細胞をラットの子宮に移植し、マウスの膵臓をもったラットを産ませ、マウスの膵臓を作ったのです。
さらに、
できたマウスの膵臓を、タクロリムスという物質で糖尿病にしたマウスに移植したところ、
膵臓を取り出すまで1年間にわたって血糖値が正常に保たれたのです。
膵臓の再生医療については、世界中で多くの研究がおこなわれていますが、
別の種類の動物で作った臓器を他の動物に移植して治療効果を確認したのは世界で初めてだそうです。
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ヒトにおける糖尿病の再生医療の現状
中内教授らの研究グループの成果は世界で初めての成果ですが、まだマウスにおける実験段階です。
今後は、
ヒトの糖尿病治療につなげられるように、サルの膵臓をブタで作らせる実験を計画中
とのことですが、
iPS細胞による実験、治療については倫理上の問題が大きく、
文部科学省の指針では、
ヒトのiPS細胞などを動物の受精卵に入れて一定期間培養することは可能だが、子宮に戻して子どもを生ませることは禁じられており、技術的な問題もさることながら、倫理上の問題が立ちはだかっているのです。
現時点で、膵臓の再生医療に関する研究では、先にもご紹介した、
大塚製薬の研究が注目されます。
この研究は、
というのもです。
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ブタの膵臓を直接、人間に移植すると、拒絶反応により移植した膵臓は正常に機能しません。
そこで、
大塚製薬のグループはブタの膵臓を特殊なカプセルに入れてヒトに移植する研究をおこなっています。
特殊なカプセルに入れることにより、膵臓組織には栄養や酸素が供給され、血糖値の上昇に伴ってインスリンが分泌されるのですが、
免疫細胞はカプセル内に侵入できないために、免疫反応が起こらないのです。
厚生労働省は、ウシのBSE(ウシ伝達性海綿状脳症)やクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)などの感染の恐れから、
動物→ヒト、など動物の臓器や細胞をヒトに移植する「異種移植」を解禁する方針を明らかにし、2016年5月にも事実上解禁としたことから、2~3年後には糖尿病患者への治療が開始される可能性が大きい。
アルゼンチンで行われた臨床研究では、糖尿病患者に豚の膵島を移植したところ血糖値が下がることが確認されており、実用化も遠い夢ではないのです。
くわしく見る ⇒ 糖尿病における膵臓の再生医療
今回の研究で、
糖尿病の再生医療がまた一歩前進しました。
しかし、あなたの糖尿病に適応されるまではまだまだ長い時間がかかります。
それまでは、
- 食事療法
- 運動療法
が、最も効果がある治療法なのです。
血糖低下薬を服用すれば血糖値は下がります
が、、、
服薬を中止すれば血糖値は再び上昇してしまいます。
糖尿病では、食事療法や運動療法で、
糖尿病体質を改善する
ことが必要なのです。
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