ブタ膵臓で糖尿病の再生医療が可能に

厚労省は、5月にも「異種移植」を解禁する方針とのことだ。

これは糖尿病患者にとっては大きな朗報だ。

ブタすい臓の移植による糖尿病の再生医療が実現する

まずは1型糖尿病の治療が優先されるが、将来的には2型糖尿病にも適用が広がる可能性が大きい

ブタのすい臓を使って糖尿病の再生医療が可能に

2016年4月11日の朝日新聞は、

厚生労働省が動物の臓器や細胞を移植する「異種移植」を事実上解禁する方針だという。
5月にも事実上解禁とし、2~3年後には1型糖尿病患者に移植する計画だ。

と報じた。

厚生労働省は、動物の臓器や細胞を人に移植する「異種移植」を禁じてきた。

しかし、厚労省の研究班は、この指針を見直す方針を打ち出し、5月にも厚労省の部会に報告し、異種移植が解禁となる見通しだ。

異種移植の解禁を受けて、国立国際医療研究センター研究所の研究グループは数年後にも、1型糖尿病患者を対象にしたブタすい臓細胞の移植を計画していることから、糖尿病の再生医療が可能になる。

実現すれば、糖尿病患者はインスリン注射から解放され重い負担を軽減できることになる。

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ブタすい臓の異種移植とは

異種移植というのは、ブタやサルなどの臓器を人間に移植することです。

ブタ→人間、サル→人間、などのような種の違う動物間の移植では、

免疫反応による拒絶反応により移植は無理なのですが、

慢性的な提供者不足を背景に、免疫抑制剤等技術や、バイオテクノロジーの進歩などによって、

異種移植という治療法の開発が進んでいるのです。

 

動物の細胞を用いた体外灌流装置等は海外では多くの実施例があり、提供者が見つかり同種移植までの繋ぎや急変時の対応移植として期待されているのです。

また、遺伝子改変によって異種抗原を発現せず、拒絶反応が起きないブタを作出なども試みられており、近い将来、ブタの細胞、組織あるいは臓器を人間に移植する可能性も大きくなってきているのですが、厚労省は異種移植を禁じているのです。

それは、ウシでは、BSE(ウシ伝達性海綿状脳症)やクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)などの感染症の問題や、ブタの遺伝子に組み込まれたウイルスであるブタ内在性レトロウイルス(PERV)の感染の危険性があるからです。

厚労省は、2001年にブタのPERV感染の危険性から「排除されるべき病原体」としたことから事実上、移植が禁止されていたのですが、

海外ではPERVが人間やサルに感染した報告がないことなどから、危険性の評価を見直し、移植後30年間にわたって経過を観察することを条件に、ブタの異種移植が解禁される見通しなのです。


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ブタすい臓を用いた糖尿病の再生医療

国立国際医療研究センター研究所の研究グループが数年後に臨床研究を開始しようと計画している「ブタすい臓を用いた糖尿病の再生医療」は、先日このサイトでもご紹介した技術です。

 詳しく見る ⇒ 糖尿病における膵臓の再生医療

この、ブタ膵臓の移植は、

  1. 無菌ブタから膵臓を取り出す
  2. 膵臓からインスリン分泌細胞(β細胞)を分離
  3. β細胞を特殊なカプセルに入れる
  4. カプセルを患者の皮下か腹腔に移植

という方法で行うのです。

 

ブタ膵臓の利用で糖尿病の再生医療がもうすぐ可能になります

異種移植での問題は、拒絶反応なのですが、β細胞を入れるカプセルは、

  • 分泌されるインスリンをカプセル外に通す
  • 人間の免疫細胞や抗体を通さない

とう特殊な膜でできているため、拒絶反応が起きないのです

 

大塚製薬工場は2014年10月10日に、ニュージーランドのベンチャー企業であるDiatranz Otsuka Limited(DOL)社とカプセル技術の「DIABECELL」でライセンス契約を締結して研究を続けて来ました。

さらに、大塚製薬工場の研究グループは、アルゼンチンで「DIABECELL」を用いた臨床研究を行っており、糖尿病患者への移植で血糖値の低下などの有用性が確認しています。

朝日新聞の報道によると、国立国際医療研究センター研究所の研究グループは2~3年後にも、第三者委員会に実施を諮った上で、1型糖尿病患者で移植試験を開始する方針で、異種移植の実現で膵島の不足を解消したい、述べています。

いずれは、2型糖尿病にも適応される可能性はありますが、重度の2型糖尿病患者が対象でしょう、、。

2型糖尿病では膵臓の再生医療を期待するよりは食事療法と運動療法を行うのが近道です。

糖尿病の治療は、「食事療法」と「運動療法」が基本です。

「食事療法」と「運動療法」を真面目にやれば必ず糖尿病から離脱できます


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