糖尿病のSAP療法は究極のインスリン療法か

糖尿病でインスリン分泌が低下するとインスリン注射療法をする必要があります。

最近は糖尿病の症状が比較的軽くてもインスリン注射を始める場合が多いのです。

最近のインスリン注射はさまざま改善され、痛みもなくなり注射回数も少なくて済むようになりました。

しかし、

体に注射をするという面倒や低血糖の危険も少なくはないのです。

そんなインスリン注射を改善する、SAP療法が脚光を浴びています。

はインスリン注射に取って代わるか

SAP療法では注射の必要もなく血糖値の管理も全て自動的におこなわれます。

SAP療法はインスリン注射に取って代わるのでしょうか?

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糖尿病のSAP療法とは

2015年2月に、糖尿病においてSAP療法が認可されました。

SAP療法とは、Sensor Augmented Pumpの略で、日本語で言えば、「センサー付きインスリンポンプ」というところでしょうか。

  • 持続皮下インスリン注入(CSII)機器
  • パーソナル持続血糖モニター(CGM)測定機器

が一体となった装置で、

  1. パーソナル持続血糖モニターによってリアルタイムに血糖値を測定し、
  2. 皮下インスリン注入(CSII)機器が自動的にインスリンを注入

することができる装置なのです。

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CGMで細胞間質液中のグルコース濃度を測定し、その値をセンサグルコース値としてインスリンポンプのモニタ画面に表示されるので、患者はリアルタイムで血糖値を確認することができるのです。

さらに、

およそ5分毎に自動測定された血糖値がワイヤレス信号でインスリン注入(CSII)機器に自動的におくられるのです。

そして、

モニター画面には血糖値が折れ線グラフで表示され、グラフが上昇中なのか、下降中なのかも矢印で示され、設定した血糖値の範囲を超えるとアラートで通知してくれるという万全な設置になっています。

患者は、モニターの音や振動による警報によってインスリンを注入することになります。

SAP療法とは

SAP療法では、

  • 患者自身が血糖値を測定する必要がない
  • 注射時間を気にする必要がないので患者の行動の制約がない

など、糖尿病患者にとっては夢のような装置なのです。

 

しかし、

パーソナル持続血糖モニター(CGM)測定機器が測定している血糖値は、

 血液中のグルコース濃度ではなく細胞間質液のグルコース濃度なのです。

細胞間質液のグルコース濃度は、

血液中のグルコース濃度よりやや遅れて変化するため、

1日に3〜4回、間質液のグルコース濃度を血糖値に較正(補正)する必要があるのです。

 

従来のインスリンポンプにおいても、1日に4〜5回の補正が必要で、自動車の運転をする患者は運転前に補正することが求められていました。

しかし、

SAP療法では従来のインスリンポンプに比べて補正の回数が少ないため、特に補正を多くおこなわなければならなかった患者においては手間が省けることになります。

 

SAP療法では、血糖値の上限と下限を定めて、そん範囲内で血糖値が推移するように設定し、その上限や下限に近づくと音や進堂で患者にインスリン注入の必要性を知らせてくれるため、非常に厳格な範囲で血糖値を管理することができるのです。

さらに、インスリンの注入単位を0.025単位と非常に小量からできるため、血糖値の管理が個々の患者の状態によって非常に正確にできるのです。

SAP療法を導入した患者では、従来のインスリンポンプに比べてHbA1cが有意に改善することが、多くの臨床試験で実証されています。

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しかし、

それらの臨床試験においても、重症低血糖の発生率に従来のインスリンポンプに比べて差はなく、インスリンポンプのアラート機能によって低血糖の発生に気付き重度の低血糖を回避できた例もあるが、

SAP療法においても重症低血糖の発現が減少したわけではないようです。


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SAP療法の費用は

 

SAP療法において問題がないわけではないものの、患者の利便性が向上し、QOLも上がることは間違いないようです。

問題は医療費です。

1型糖尿病患者で自己負担額が3割の患者がSAP療法を導入した場合には、

 従来のインスリンポンプより月に約1万円程度の増加

で済みそうですが、年に12万円は少なくはないでしょう。

しかし、

保険の対象になるのは1型糖尿病患者だけ

で、残念ながら2型糖尿病患者では保険適用にはならないのです、、、。

 

 

2016年9月、アメリカにおいては、完全自動制御(closed-loop)の携帯型インスリンポンプが世界で初めてFDAにより承認された。

Closed-loopシステムは、SAP療法がさらに進化したもので、CGMにより測定された血糖値に応じてインスリンポンプが自動的にインスリンを注入する装置で、SAP療法で問題となる重症低血糖の発生が抑えられているように、インスリンの投与量を自動調整するようにされ、

「携帯型人工膵臓」とも呼ばれるものです。

携帯型人工膵臓は究極のインスリン治療というべきものでしょうが、2型糖尿病であればインスリン注射までは行き着きたくないものですね。


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