糖尿病合併症の糖尿病腎症を予防する
糖尿病患者では血糖値ばかりに気を取られがちなのですが、重要なのは、糖尿病合併症です。
血糖値が高いといわれたら、糖尿病合併症に気をつけてください。
糖尿病合併症が発症したら糖尿病合併症の治療法はないのです。
糖尿病だといわれているあなたは糖尿病合併症の検査を受けていますか?
糖尿病合併症の検査の受診率は低い
糖尿病だと診断されたら、一番に気を付ける必要があるのは合併症です。
糖尿病は自覚症状に乏しいくサイレントキラーともいわれる病気です。
糖尿病だと診断された時点で合併症を発症していることも希ではなく、
合併症の発症によって糖尿病だと気付く人も多いのです。
早期発見のための定期検査を受けている人は少ない
糖尿病合併症の発見には定期検査が必要ですが、
糖尿病で定期受診している糖尿病患者でも、糖尿病網膜症や糖尿病腎症など合併症の早期発見のための検査の受診率は非常に低いのです。
東京大学の公衆衛生学・小林廉毅教授らの研究グループの調査では、
2010年に医療機関で糖尿病で治療を受けている患者約7,500人の、2011年の診療内容を調べたところ、
- 糖尿病網膜症の検査を受けた糖尿病患者 : 36%
- 糖尿病腎症の検査を受けた糖尿病患者 : 15%
と、非常に低いことが分かったそうです。
特に、20~50代の男性の受診率が低かったそうです。
糖尿病診療ガイドラインでは、年1回の網膜症検査と腎症の検査を受けることを推奨しているのです。
糖尿病腎症が進めば人工透析しかない
糖尿病腎症は非常に重篤な合併症です。
- 日本で糖尿病腎症が原因で透析療法を受けている数は10万7,985人
- 人工透析の費用は患者1人当り年間約500万円
- 適切な治療を受けないと、発症してから20~30年で腎不全まで進行する
腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、尿として排泄する臓器ですが、糖尿病腎症が発症したら早期に適切な治療を行わないと次第に進行し、やがて腎臓がほとんど機能しない腎不全になり、人工透析療法が必要となるのです。
糖尿病腎症で人工透析をしなければならない患者は、
毎年16,900人も増えている
のです。
国際糖尿病連合の調査では、軽度な腎症も含めれば、糖尿病患者の約1/3で糖尿病腎症を発症していることが分かっています。
軽度な腎症でも、適切な治療を受けなければ、腎症を発症してから20~30年で人工透析が必要な腎不全まで進行してしまいます。
さらに、腎症は心疾患のリスクファクターでもあり、尿検査で微量のアルブミン尿が認められる早期の腎症であっても、心疾患を発症するリスクは2~3倍に高まるのです。
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糖尿病腎症を早期発見する
糖尿病腎症を早期に発見するには、まずは内科を受診することです。
内科で、
- 血液検査
- 尿検査
を受ける必要があります。
そして、糖尿病性腎症の疑いがあれば、
- 内分泌科
- 糖尿病外来
- 腎臓内科
などを受診する必要があります
尿検査
糖尿病による高血糖で、腎臓の糸球体と言われる非常に細い血管が傷害されると、本来は尿中に出ることのない、蛋白質や糖が尿中に出ますが、尿蛋白や尿糖は簡単に専用の試験紙で検査することができます。
しかし、試験紙で調べても尿糖や尿蛋白質がないとしても、糖尿病や糖尿病腎症ではないとは言い切れませんので、目安だと考えてください。
腎機能検査
尿に糖や蛋白が出たときや、更に詳しく腎機能を検査するには、採血をして血液中に含まれるクレアチニンという物質や尿酸、電解質、赤血球の値などを調べる必要があります。
クレアチニンは、筋肉など使われたエネルギーの代謝産物で、腎機能に問題がなければ尿に排泄されるのですが、腎機能が障害されると尿に排泄されないため血液中のクレアチニン濃度が高くなるのです。
また、クレアチニンを投与し、血中のクレアチニンがどれだけ尿中に排泄されるかによって、腎臓のろ過機能、推算糸球体ろ過量を調べることによって腎機能の障害の程度を診断することができるのです。
糖尿病腎症を予防するには
糖尿病腎症は早期発見し、適切な治療を早期に開始すれば、人工透析まで進行することを避けることが出来ます。
早期発見は上に書いたとうりですが、糖尿病腎症の予防は、
- 血糖のコントロール
- 血圧のコントロール
です。
血糖コントロール
糖尿病腎症の最大の原因は高血糖です。
高血糖が持続すると血管壁が傷害されるからで、糖尿病腎症を予防するには高血糖の改善が第一です。
血圧コントロール
血圧コントロールも糖尿病腎症の進行を抑えるのに効果的です。
血圧は、130/80mmHg以下が理想的です。
しかし、
すでに蛋白尿が出ている場合には、125/75mmHg未満に抑える必要があります。
糖尿病腎症における高血圧の治療では、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬といわれる薬が糖尿病腎症の進行を抑えるのに有効であることが明らかになっています。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、
- カプトプリル
- レニベース
- セタブリル
- アデカット
- インヒベース
などの薬です。
その他には、
低蛋白食
禁煙
コレステロールなど脂質のコントロール
減量
運動
節酒
なども糖尿病腎症の進行には有効だといわれています。
特に、たばこは腎症の危険因子で、禁煙により腎症の進行を30%低下させることが出来るのです。
糖尿病腎症は糖尿病合併症のなかでも非常にやっかいな合併症です。
糖尿病腎症で人工透析をしている腎不全患者は10万7,000人で、毎年1万7、000人づつ増えているのです。
糖尿病合併症の糖尿病腎症を予防するには早期発見、早期治療しか有りません。
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