糖尿病の原因と肥満の関係が解明

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

糖尿病と肥満は密接な関係にあり、

肥満の人ほど糖尿病のリスクが高いことが分かっています。

国立国際医療研究センターの調査では、

30歳の男性サラリーマンの3人に1人が65歳までに糖尿病を発症する

ことが明らかになっていますが、

肥満の男性サラリーマンの糖尿病率は77%

だったということも分かっています。

 

では肥満だとどうして糖尿病のリスクが高いのか?

慶応大学の研究グループは肥満と糖尿病の関係を明らかにしました

 

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肥満による脂肪細胞の炎症が糖尿病に関係する

糖尿病の直接的な成因は、

  1. インスリンの分泌不足
  2. インスリンの効果が低下

です。

 

インスリンの分泌が低下したり、インスリンの効果が低下することによって血糖値が下がらなくなることが糖尿病なのです。

 

インスリンの効果が低下することは、「インスリン抵抗性が増加する」と追い言葉が使われます。

すなわち、通常であれば10のインスリンが分泌されれな100の効果が見られるのですが、10のインスリンが分泌されても50の効果しか出なくなることから、20のインスリンが必要になり、やがて膵臓は疲れてインスリンの分泌も低下してしまうのです。

 

肥満はインスリン抵抗性を増加させる

2 型糖尿病の発症の大きな原因の 1 つとして、

  • 肥満はインスリン抵抗性を増加させる

という考え方が最も有力です。

しかし、

肥満によりインスリン抵抗性が起きる理由については今なお充分に解明されていない点が多く、インスリン抵抗性発症メカニズムの研究は糖尿病の治療や治療薬開発における最も重要な課題の 1 つなのです。

 

肥満によるインスリン抵抗性の増加に関して、

現在、最も有力な機序は、

脂肪細胞から、「アディポネクチン」という生理活性物質が分泌され、アディポネクチンには様々な働きがあるのですが、

アデポネクチンはインスリンの働きを高める作用

があるのです。

 

しかし、

肥満により内臓脂肪が増えると同時に脂肪細胞も肥大し、

  • アディポネクチンの分泌が減少する
  • TNF-αやIL-6などの生理活性物質が分泌される

ようになるのです。

  • TNF-αやIL-6はインスリン抵抗性を高める

作用があるのです。

 

さらに、

徳島大学の研究グループは、

脂肪細胞が肥大したり変性して破壊された細胞からDNAが放出され、この遊離DNAはインスリン抵抗性を高めていると推察しています。

 

肥満と糖尿病の関係は内臓脂肪の増加にあるのです

 

まとめると、

  1. 肥満すると脂肪細胞が肥満し変性破壊される
  2. 肥満した肥満細胞からTNF-αやIL-6が分泌される
  3. TNF-αやIL-6はインスリン抵抗性を高める
  4. 破壊された肥満細胞のDNAはインスリン抵抗性を高める

ということになるのです。

 


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糖尿病の原因は肥満による腸内の炎症と関係がある

このように、

 肥満による内臓脂肪の増加はインスリン抵抗性を増加させて糖尿病を引き起こす原因になる

のですが、

 

最近の研究では、

肥満がおこる前から腸管内の腸内細菌叢のバランスが崩れる

ことが分かっており、糖尿病との関係が示唆されていました。

 

慶應義塾大学医学部の研究グループは、

 高脂肪食の過剰摂取による大腸の慢性炎症がインスリン抵抗性を引き起こし糖尿病の発症につながる

ことを明らかにしました。

 

 詳しく見る ⇒ 慶応大学プレスリリース

Colonic Pro-inflammatory Macrophages Cause Insulin Resistance in an Intestinal
Ccl2/Ccr2-dependent Manner

 Ccl2-Ccr2 経路を介した高脂肪食負荷に伴う大腸の炎症性マクロファージ浸潤が全身のインスリン抵抗性を引き起こす

 

研究グループは、

脂肪を60%含む高脂肪食を摂取させたマウスについて詳細な実験を行ったところ、

脂肪組織よりも先に、

  1. 腸管において蛋白質Ccl2の産生が増加
  2. Ccl2は大腸の慢性炎症が引き起こす
  3. インスリン抵抗性が増加する

ということを見いだしたのです。

さらに、Ccl2を産生できないマウスでは、

  1. 大腸の炎症が起こらない
  2. インスリンの抵抗性が改善

 

その結果、

インスリンの効果が良くなり、血糖値の上昇が30%抑制されたと

報告しています。

慶応大学によって肥満と糖尿病の関係が明らかになりました

研究グループは、

肥満によるインスリン抵抗性の増加は腸管の炎症である

として、

将来的には腸の炎症をおさえる新らしい糖尿病治療薬の開発が期待される

と結論しています。

 

いずれにしても、

  1. 肥満は 脂肪細胞を介して インスリン抵抗性を増加させる
  2. 肥満は 腸管の炎症により インスリン抵抗性を増加させる

ということで肥満がインスリン抵抗性を増加させることに違いはありません。

糖尿病にならないためには肥満を解消する必要がある

ということには変わりはありません。

減量すれば糖尿病は予防できることはイギリスの研究グループが明らかにしています。

 

しかし、痩せているからと言って糖尿病にならないとは限りません。

内臓脂肪が多いと痩せていても糖尿病になるのです。

 


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肥満度を知るにはBMIが世界的に一般的になっています。

BMIでの肥満の判定は、

BMI 判定
18.5未満 低体重
18.5~25 普通
25以上 肥満

 

BMI25以上では糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病が起きやすくなるのですが、

最近の研究では、

BMIが27になると糖尿病のリスクが2倍になる

ことが分かっています。

あなたのBMIはいくらですか?

 

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