残業が多いと糖尿病になりやすい

。将来は病気にかかりやすい体質的素因が明らかになると予想されていますが、これまでの遺伝子研究によって慢性疾患における環境要因の重要性が改めて浮き彫りになっています。

残業が多いと糖尿病になりやすいのか?

国際医療研究センター疫学予防研究部は、糖尿病やがん、循環器疾患などの慢性疾患と生活習慣(食生活、肥満、運動、喫煙、飲酒、肥満、運動)などとの関係を調べています。

その中で、残業による長時間労働は、睡眠不足、運動不足、ストレスと関係するため、糖尿病や高血圧のリスクを高めるとして、

 月100時間を超える長時間残業と糖尿病や高血圧のリスク

についての研究成果を発表しています。

 Overtime work and prevalence of diabetes in Japanese employees: Japan epidemiology collaboration on occupational health study.
  PLoS One. 2014 May 1;9(5):e95732. (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24787995) 

研究では、

職域多施設研究に参加した会社の従業員について、

  • 従業員40,861名(16~83歳、男性35,170名、女性5,691名)
  • 100時間の残業時間と糖尿病、高血圧との関連

を調べたのです。

その結果は、

 

月100時間未満の残業では残業時間が長いほど高血圧や糖尿病を持つ人の割合は少なかった

糖尿病では、月99時間まで、残業時間が長いほど糖尿病を持つオッズ比は低くなりましたが、

月100時間以上の残業におけるオッズ比は月45時間未満の残業とほぼ変わりませんでした(左下図)。

高血圧についても、残業時間が長いほどオッズ比は低くなりましたが、糖尿病と異なり、月100時間以上の残業で最もオッズ比が低くなりました(右下図)。

残業時間が多いと糖尿病になりやすい

研究グループは、

  • 残業時間が多くても糖尿病や高血圧の割合は高くなかった
  • 残業時間が多いと高血圧はむしろ低下する傾向にあった

として、残業時間が多いと1日あたりの総身体活動量が増えるので、残業時間が長いほど高血圧が予防的に働いたのではないかとしています。

しかし、

 残業が多いと糖尿病や高血圧のリスクが高まるとの研究報告があるので、今後さらに検証する必要があると述べています。


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残業が多く55時間労働では糖尿病のリスクい

そうなんです、

 残業が多いと糖尿病や高血圧のリスクが高まるとの研究報告もあるのです。

2014年4月25日、医学情報サイトであるMedical News Todayは、The Lancet

 

 1週間に55時間以上の労働は糖尿病のリスクを高める可能性がある
 Working 55 Hours A Week Increases Risk Of Type 2 Diabetes

との論文を報告しています。

週休2日の企業では、5日間の8時間労働ですから、55時間労働というと、

1日当たりの残業時間は3時間

にすぎませんから、国内ではこの程度の残業をしている人はざらにいるのではないでしょうか?

あなたはいかがでしょうか、、、ざん

55時間というと、1日11時間。毎日3時間残業していることになるので、19時定時の女性は毎日22時に退社する状況が危険だということ。これくらい、通常の会社員なら何も考えずに残業してしまいますよね……。

そもそも、長時間労働は昔から健康に悪いと言われてきましたが、今回初めて2型糖尿病にもつながると明らかになりました。

 

ちなみにこの発見は、男女22万2,120人のデータから判明した事実になります。研究を行ったチームは当初、1週間に55時間以上働くグループと35~40時間しか働かないグループの間に、最初は違いがあるとは思っていませんでした。

しかし、低賃金の労働者で1週間に55時間以上働く人々は、2型糖尿病を発症する可能性が30%も高いことがわかったのです!

それで、研究チームのミカ・キビマキ氏は「実は、長時間労働があらゆる層の糖尿病リスクを高めるわけではありません。長時間労働が低賃金で働く人々の2型糖尿病リスクを明らかに増加させる、ということなのです。これは、医療関係者なら必ず知っておくべき事実です」と話してい

 

Working long hours linked to increased risk of type 2 diabetes in people doing low socioeconomic status jobs

September 24, 2014 The Lancet

Amanda Stewart , Design & Trend
Sep, 25, 2014, 11:22 AM

 

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残業が多く糖尿病の危険が多いときに守ること

理由は、長時間労働によって引き起こされる不健康な生活習慣、ストレス、うつ状態、質の悪い睡眠などが、糖尿病の発症に影響しているからだそうです。

仕事などで忙しくしている人は、食生活も不規則になりがちです。そんな人が糖尿病になったら仕事と治療の両立はかなり苦労すると思います。なぜなら糖尿病の治療の基本は、食事と運動という生活習慣の改善です。そのため仕事が忙しければそれだけ、生活習慣が乱れることになり、治療もままなりません。

忙しく仕事をしている人は、それに時間をとられて糖尿病の治療に専念できないかもしれません。しかし血糖値の変動をよく理解していれば、忙しくてもある程度血糖値の上昇を抑えられます。

残業で夕飯が遅くなるときはどうしたらいい?
食事療法の成績を上げるには、3食規則正しく食べることが求められます。しかし仕事をしていると残業などでそれどころではないという方もいるでしょう。しかしそれによって夕飯が遅くなると、夜はインスリンの働きが鈍るため就寝中の高血糖につながるおそれがあります。
そこで、残業などで夕飯が遅くなりそうな場合は夜の6~7時くらいの時間でおにぎりなどの炭水化物だけを食べておき、帰宅してからおかずだけを食べるようにするとよいです。これによって血糖値が高くなりすぎるのをおさえることができます。ちなみに理想は就寝の3時間以上前に夕飯を済ませることです。

時間がなくても一度に大量に食べるのはダメ!
忙しいと、「この時間を逃したら、しばらくご飯を食べられない」ということもあると思います。しかし、だからと言って1回の食事量をたくさんにしてしまうと、血糖値の上昇が大きくなってしまいます。もちろん食べないことも低血糖をまねくので良くないのですが、食べられない場合は飴や砂糖などで糖分補給を適宜する方法があります。糖尿病患者さんの場合、空腹感に先立って血糖値の変動を考えられるとよいですね。

ただしあくまでも食事療法の基本にあるのは、カロリーと栄養がコントロールされた食事内容だということを、覚えておかなければいけません。

治療よりも目の前の仕事を優先してしまう人も多いかと思います。しかしその仕事自体、体が資本ですから、体を壊してしまっては意味がありません。目の前の仕事と自分の健康に折り合いをつけるのも、ひとつの大事な仕事です。

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