肥満女性でインスリン抵抗性を改善するには
肥満女性のインスリン抵抗性改善に骨格筋の量が大事です。
高血糖だからといってダイエットで体重を落としてもインスリン抵抗性の改善は期待できません。
インスリン抵抗性を改善するには骨格筋量が重要なのです。
インスリン抵抗性を改善するには筋肉量
肥満女性で、血糖値が高いからといってダイエットで体重を落とそうとする人がいますが、良い方法ではありません。
関西医科大学の福島氏らは、
肥満女性のインスリン抵抗性改善に骨格筋が重要だ
との研究報告を発表してます。
Importance of Lean Muscle Maintenance to Improve Insulin Resistance by Body Weight Reduction in Female Patients with Obesity.
Diabetes Metab J. 2016;40:147-153.原著論文 ⇒ http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4853222/
福島氏らは、女性肥満患者の減量時における、インスリン抵抗性の改善に関与する体の組成を調べたのです。
食事療法、運動療法などによって5%以上の減量に成功した女性肥満患者(BMI:33.2±4.6)、92人について、インスリン抵抗性と、体脂肪、骨格筋量などの体組成を調べたのですが、
その結果、
5%以上の減量に成功した肥満女性では、
- インスリン抵抗性が有意に改善
- 運動耐容能、最高酸素摂取量が有意に改善した
- 総体脂肪量、総除脂肪量、体脂肪率が有意に減少
- 骨格筋率は有意に増加
したのですが、
インスリン抵抗性の改善と有意な相関があったのは骨格筋量の増加
だったのです。
インスリン抵抗性とは何か?
糖尿病、高血糖というと必ず、「インスリン抵抗性」という言葉が出てきます。
インスリン抵抗性とは、分かっているような、何だか分からないような、、、
インスリン抵抗性とは、
インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態のことをいいます。 インスリン抵抗性があると、食事で高くなった血糖値を感知して、すい臓からインスリンが分泌されても、筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込まないため、血糖値が下がらず、糖尿病の発病につながります。
これは、糖尿病治療薬などを販売しているアステラス製薬のHPに記載されている、インスリン抵抗性の定義です。
インスリン抵抗性とは、英語の insulin resistance のそのままの和訳ですから何だか意味が良く分からないのですが、
インスリン抵抗性 = インスリンが効かない状態
だと思ってください。
ですから、
- インスリン抵抗性がやや高い → インスリンがやや効かない
- インスリン抵抗性が高い状態 → インスリンが効かない状態
だと考えてください。
アステラス製薬のHPでは、インスリン抵抗性を下のような図で表しています。
- 食事で摂られた炭水化物はブドウ糖に分解
- ブドウ糖は小腸で血液に吸収され血糖になる
- 血糖はインスリンの作用により筋肉に取り込まれる
というステップで血液中に取り込まれたブドウ糖は吸収されるのです。
しかし、インスリン抵抗性が高くなると、
インスリンが作用してもブドウ糖が筋肉に取り込まれない状態
なのです。
インスリン抵抗性が高くなると、
- 膵臓がインスリンを分泌しても血糖値が下がらない
- 膵臓はさらにインスリンを分泌する
- 膵臓は疲れてインスリンの分泌が低下
- 血糖値が下がらず糖尿病に、、
というように進行するのです。
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インスリン抵抗性の改善には筋肉が必要
インスリン抵抗性が高くなる原因には様々な要因があるのですが、最も大きな原因は、
内臓脂肪の過剰蓄積
です。
内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症を誘発し、耐 糖能異常を伴うメタボリックシンドローム の原因となるのです。
内臓脂肪の蓄積は、
- 食生活の変化に伴うカロリー摂取過剰
- 身体活動量の低下に伴う運動量低下
が、大きな原因で、内臓脂肪過剰蓄積を基盤とする、肥満、糖尿病などの生活習慣病が急増しているのです。
インスリン抵抗性の改善には運動
厚生労働省が生活習慣病対策のため策定 した標語のように、
一に運動、二に食事、しっ かり禁煙、最後にクスリ
です。
運動は筋肉量を増やす
インスリン抵抗性は、全身のさまざまな 部位で生じていますが、糖尿病予防において最も重要なのは、筋肉、脂肪組織、肝臓です。
運動によって骨格筋の量が増えることによって、糖を取 り込む容量が増えることと同時に、筋肉組織における解糖系とクエン酸回路が活性化し、さらに、インスリンシグナル伝達機構の糖輸送担体であるGLUT4が増えることによってイン スリン抵抗性が改善することが多くの研究成果で明らかになっています。
運動は内臓脂肪減らす
インスリン抵抗性の原因は、内臓脂肪から分泌されるTNF-αといわれるサイトカインの作用によることが明らかになっています。
TNF-αは免疫系の組織で産生されるサイトカインの一種なのですが、脂肪組織でも産生されインスリン抵抗性を増悪させる因子の一つで、満腹中枢に作用するレプチンなどもインスリン抵抗性の増加に関与しているといわれています。
運動による体脂肪減少効果は内臓 脂肪に選択的に現れ、TNF- α やレジスチンが減少し、ア ディポネクチンが増加して、インスリン抵 抗性が改善します。
運動は血糖の消費を促進する
運動による骨格筋の活動により、筋肉活動のエネルギー源である血中ブドウ糖や遊離脂肪酸の筋肉内での利用が向上し、その結果として血液中のブドウ糖の取込みが亢進し、血糖が下がるのです。
食事量の制限でも減量は可能ですが、その場合には体脂肪量の減少が主で、イ ンスリン抵抗性の改善をあまり期待できま せん。
運動による減量では、体 重の低下が少なくても、インスリン抵抗性が改善 します。
血糖値が高く糖尿病の予防や治療では、
- 食 事療法
- 運動療法
が理想的な糖尿病の療法なのです。
糖尿病の食事療法では貴方の血糖値の応じた適度な炭水化物の制限が効果的です。
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