糖尿病になった年齢が若いほど認知症のリスクが高い
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
糖尿病と認知症が密接な関係にあることはもうご存じですよね。
糖尿病を患っている人は2倍も認知症になりやすいのです。
ところであなたは何歳で糖尿病を患いましたか?
糖尿病になった年齢が低いほど認知症のリスクが高くなる
というのです。
糖尿病になった年齢が低いほど認知症のリスクが高い
2017年の日本糖尿病学会の“糖尿病の死因に関する調査委員会”の調査によれば、
糖尿病患者の平均年齢は、
- 男性71.4歳
- 女性75.1歳
で、10年前に比べて男性では3.4歳、女性では3.5歳も高齢になったそうです。
さらに、 30年前の調査結果に比べると、男性では8.3歳、女性では10.2歳も延長したと言うことです。
糖尿病患者の平均年齢が上がったということは「糖尿病患者の寿命が延びた」ということで喜ばしいことではあるのですが、
糖尿病で認知症の患者
も増えているのです。
イギリスの研究グループは、
糖尿病患者は認知症を発症するリスクが高いことが知られているが、
糖尿病を発症した年齢が低いほどその認知症になるリスクが高くなり、
60歳未満で糖尿病発になると70歳での認知症リスクが2.12倍になる
という衝撃的な研究結果を発表しました。
Association Between Age at Diabetes Onset and Subsequent Risk of Dementia
In this longitudinal cohort study with a median follow-up of 31.7 years, younger age at onset of diabetes was significantly associated with higher risk of subsequent dementia
詳しく見る ⇒ 原著論文
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研究グループは、ロンドンの公務員を対象とした疫学調査データなどを用い、
2型糖尿病の発症年齢と認知症の発症リスクの関連について検討したのです。
研究では男女10,095例(登録時の年齢35~55歳)について30年以上の追跡を行ったのです。
追跡期間中に、
- 1,710例が2型糖尿病を発症
- 153例が認知症を発症
したのですが、
- 70歳で糖尿病ではなかった人での認知症は8.9件
でしたが、
- 65~70歳で糖尿病になった人では10.0件
- 60~65歳で糖尿病になった人では13.0件
- 60歳未満で糖尿病になった人では18.3件
ということで、
糖尿病になった年齢が若いほど認知症の発症が多かったのです。
多変量解析による統計解析では、
70歳で糖尿病でなかった人に比べて、
- 60歳未満で糖尿病になった人の認知症のリスクは2.12倍
- 60~65歳で糖尿病になった人の認知症のリスクは1.49倍
- 65~70歳で糖尿病になった人の認知症のリスクは1.11倍
という結果で、
糖尿病になった年齢が若いほど認知症のリスクが高いことが分かったのです。
研究グループは、
今回の研究で糖尿病の発症年齢が低いほど認知症のリスクが高く、
さらに、脳卒中を合併する糖尿病患者ではさらに認知症のリスクがより高いことが分かったと述べています。
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まとめ
糖尿病では認知症(痴呆)になりやすいことはこのサイトでも何回もお伝えしてきましたが、もはや疑う余地のない科学的にも根拠のある事実です。
糖尿病と認知症の関係についても多くの研究論文が発表されていますが、
については、九州大学の研究グループが糖尿病で脳が萎縮して認知症になる
ことを明らかにしています。
糖尿病は血管の病気です。高血糖が血管壁にダメージを与え、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などを引き起こしますが、
大きな血管にダメージを与えれば脳卒中などを引き起こし、脳の血管にダメージを与えれば痴呆症を引き起こすのです。
糖尿病の女性は認知症になりやすいことも明らかになっていますが、糖尿病の前段階である糖尿病予備群でも認知症のリスクが高いのです。
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