糖尿病はヨーグルトで予防できる

製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。

はじめに

「ヨーグルトを食べると糖尿病を予防できる」

以前なら、少し大げさに聞こえたかもしれません。

しかし、ヨーグルトをよく食べる人では糖尿病の発症リスクが低いという研究は、ハーバード大学やケンブリッジ大学などから以前から報告されてきました。

食後高血糖を下げるおすすめは食前のヨーグルトです

そして2024年には、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、

「ヨーグルトを定期的に食べることは、2型糖尿病のリスクを下げる可能性がある」

という限定的な健康強調表示を認めました。

ヨーグルトを食べれば糖尿病を予防できると完全に証明されたわけではありませんが、身近な食品であるヨーグルトが糖尿病に良い可能性があることが明確になったのです。

ヨーグルトを食べる人は糖尿病のリスクが低い

ヨーグルトと糖尿病のリスクに関する研究報告を見てみましょう。

ハーバード大学|ヨーグルトをたくさん食べる人では糖尿病のリスクが18%低い

ハーバード公衆衛生大学院の研究グループは、10万人以上を対象とした大規模な追跡研究から、乳製品の摂取と糖尿病発症との関係を調べました。

ヨーグルトと糖尿病予防

その結果、ヨーグルトの摂取量が多い人では、糖尿病を発症するリスクが約18%低いという結果がえられたと報告しました。

一方、牛乳など他の乳製品全体では、ヨーグルトほど明確な関連は確認されませんでした。

参考:Harvard T.H. Chan School of Public Health

これは「ヨーグルトを食べさせた人と食べさせなかった人」を比較した研究ではなく、普段の食生活を追跡した観察研究ですから、ヨーグルトそのものが糖尿病を18%予防したと断定することはできません。

少し難しい言い回しかもしれませんが、例えば、ヨーグルトをたくさん食べる人は運動も良くしていた、ヨーグルトをたくさん食べる人では野菜もたくさん食べていた、ということもありうるので、「ヨーグルトをたくさん食べると糖尿病のリスクが下がる」とは断定できないのです。

ケンブリッジ大学|ヨーグルトをよく食べる人では糖尿病のリスクが28%低い

イギリスのケンブリッジ大学の研究グループも、成人約3,500人を約11年間追跡し、乳製品の摂取と2型糖尿病発症との関係を調べています。

ヨーグルトを食べる人では糖尿病リスクが低い

その結果、低脂肪の発酵乳製品を多く食べていた人では、ほとんど食べなかった人に比べて2型糖尿病の発症リスクが低く、特にヨーグルトをよく食べる人では糖尿病のリスクが約28%低いという関連がみられました。

さらに、ポテトチップスなどのスナック菓子の代わりにヨーグルトを食べていた人では、糖尿病発症リスクが47%低いという結果も報告されています。

参考:University of Cambridge

これも観察研究ですので、「ポテトチップをヨーグルトに置き換えれば糖尿病リスクが47%下がる」という意味ではありません。

このように、ヨーグルトを日常的に食べている人では糖尿病のリスクが低いということは明らかなようです。

FDAはヨーグルトと糖尿病予防の関係を認めた

こうした研究が積み重なるなか、2024年3月、アメリカ食品医薬品局(FDA)はヨーグルトと糖尿病について新しい判断を示しました。

FDAは、一定の条件を満たしたヨーグルトについて、「ヨーグルトを定期的に食べることは、2型糖尿病のリスクを下げる可能性がある」という「Qualified Health Claim(限定的健康強調表示)」を認めたのです。

どのくらいヨーグルトを食べれば良いのか?目安は週2カップ、3食分以上

FDAが示した摂取量の目安は、週に少なくとも2カップ(3食分)のヨーグルトです。

毎日必ず食べなければならないということではありません。

週3回程度でも、日常の食生活に取り入れられる量です。

参考:FDA「Yogurt and Reduced Risk of Type 2 Diabetes」

FDAはヨーグルトの効果について「根拠は限定的」

ここは誤解しないようにしてください。

FDAが認めたのは、通常の健康強調表示ではなく「限定的な科学的根拠に基づく表示」です。

FDA自身も、ヨーグルトと糖尿病に関する研究の多くは観察研究であり、因果関係を証明したものではないと説明しています。

つまり、

  • ヨーグルトをよく食べる人では糖尿病が少ない傾向がある
  • しかしヨーグルトが直接的に糖尿病を防いでいるとは断定できない

というのが、現在の科学的に妥当な受け止め方なのです。

ヨーグルトを食生活に取り入れながら、食べる時間も工夫して減量した例もあります。

 

インフルエンサーのむめいさんは、マンジャロなどのGLP-1系の薬を使わず、「ヨーグルト生活」とオートファジーを取り入れ、56kgを超えていた体重を48.8kgまで減らしたことを明かしています。

もちろん、ヨーグルトだけで痩せたわけではありませんが、ヨーグルトを日常の食事にどう取り入れるかという実例として参考になります。

    👉 むめいさんはマンジャロを使わずにどうして痩せられたのか?

ヨーグルトはなぜ糖尿病予防と関連するのか?

ヨーグルトと糖尿病の関係については、いくつかの可能性が考えられています。

ヨーグルトには、タンパク質やカルシウムなどが含まれるほか、発酵食品であることが特徴です。

また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌などと腸内環境との関係も研究されています。

ただし、「この乳酸菌があるから糖尿病を予防できる」と単純に説明できる段階ではありません。

ヨーグルトと腸内細菌、プロバイオティクス、血糖値との関係については別の記事で詳しく紹介します。

  👉 糖尿病はヨーグルトで予防できるのか?腸内環境との関係

糖尿病を予防するならどんなヨーグルトが良いの?

では、実際にヨーグルトを食生活に取り入れるなら、どんなものがよいのでしょうか。

FDAが評価したヨーグルトと糖尿病リスクとの関連は、特定の商品や特定の乳酸菌だけに限定されたものではありません。

ただし、糖尿病や体重が気になる人が日常的に食べるなら、砂糖を多く加えたものより無糖のプレーンヨーグルトの方が使いやすいでしょう。

甘味が欲しい場合には、砂糖やシロップを大量に加えるのではなく、少量の果物やナッツなどを組み合わせる方法もあります。

そしてヨーグルトには、糖尿病を「予防するかどうか」だけでなく、食べ方にも興味深い研究があります。

白米などの炭水化物より先にヨーグルトを食べる「ヨーグルトファースト」で、食後血糖の上昇が抑えられたという研究です。

  👉 食後高血糖を下げるには食前のヨーグルトがおすすめ

ヨーグルトだけで糖尿病を予防できるわけではない

ヨーグルトについて多くの研究があるからといって、毎日ヨーグルトを食べれば糖尿病にならないわけではありません。

糖尿病の発症には、

  • 肥満
  • 運動不足
  • 食べ過ぎ
  • 食事内容
  • 遺伝的な体質
  • 加齢

など、さまざまな要因が関係しています。

大切なのは「糖尿病に良い食品」を一つ探すことではなく、普段の食生活全体を整えることです。

ヨーグルトなら、朝食の一品にしたり、高カロリーのお菓子の代わりにしたり、食事の最初に食べたりするなど、無理なく続けやすいのが利点です。

また、何を食べるかだけでなく、夜遅くまで食べ続けないなど食べる時間を考えることも大切です。

👉 8時間ダイエットで肥満や血糖値を改善

まとめ

ヨーグルトをよく食べる人では、2型糖尿病を発症するリスクが低いという研究が以前から報告されています。

ハーバード大学の大規模研究では約18%、ケンブリッジ大学の研究では約28%低いという関連がみられました。

そして2024年にはFDAも、「週に少なくとも2カップ(3食分)のヨーグルトを定期的に食べることは、2型糖尿病のリスクを下げる可能性がある」という限定的な健康強調表示を認めました。

ただし、FDA自身が「科学的根拠は限定的」としています。

ヨーグルトは糖尿病を予防する薬ではありません。

それでも、お菓子の代わりに食べる、朝食に加える、食事の最初に食べるなど、日常の食生活に取り入れやすい食品です。

ヨーグルトを食べて糖尿病を予防

私は20年来、手作りヨーグルトを食べています。

特別な食品を一時的に食べるよりも、こうした身近な食品を無理なく食生活に取り入れて長く続けることの方が大切だと思います。

  👉 糖尿病とヨーグルト・腸内環境について詳しく見る

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最終更新日:2026年9月