高齢者の血糖値を下げるコツはコミニュケーション
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
年齢とともに糖尿病になる頻度は高くなります。
それは、年齢とともにインスリンの分泌量が低下し、インスリンの働きも悪くなるからです。
糖尿病の高齢者は増加しており、国内の糖尿病患者950万人のうちの2/3は65歳以上の高齢者とみられています。
日本糖尿病学会は、高齢の糖尿病患者の血糖コントロールの目標値を策定しています。
年齢や健康状態、治療内容などにより無理なく血糖値を下げるように工夫されています。
さらに、
高齢の糖尿病患者では「重症低血糖」が起こりやすく、低血糖は認知機能を障害し心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めるのです。
しかし、
高齢者では心身機能の個人差が大きく血糖コントロールは若い糖尿病患者よりも困難なのです。
広島大学の研究グループは、
高齢者の血糖値を下げるには他の人とのコミュニケーションが重要
だとの報告をしています。
適度に友人と会うことは血糖を下げることに効果があるというのです。
高齢者の血糖管理の目標
年齢とともに糖尿病のリスクが高まり、国内の糖尿病患者の2/3は65歳以上の高齢者だと言われています。
しかし、
高齢者では身体機能の個人差が大きく、
- 血糖コントロールが困難で、
- 低血糖を引き起こす危険も大きい
のです。
重症な低血糖は、認知機能を障害したり、心血管疾患を引き起こす原因にもなるのです。
このような背景から、
日本糖尿病学会と日本老年医学会は2016年5月20日に、
「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」
を定めています。
詳しく見る ⇒ 日本糖尿病学会
この高齢者の血糖コントロール目標では、
- 日常生活動作レベル
- 認知機能
- 薬物療法の内容
などによって、
HbA1cを 7.0%未満~8.5%未満
の3段階としてきめ細かな目標値を策定しています。
また、血糖値の下げすぎによる
低血糖を避けるためにHbA1cが6.5~7.5%の下限値を設定しています。
これは、欧米など他国では見られない日本の独自の試みなのです。
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高齢者の血糖値を下げるコツはコミュニケーション
高齢者では、
- 食欲にムラがある
- 運動量にムラがある
などから、高齢者の糖尿病において血糖値を下げるのは年齢の若い患者に比べて難しいのです。
広島大学病院の研究グループは、
適度な頻度で友達に会っている人では血糖値のコントロールが良い
という研究結果を発表しています。
Association between Social Relationship and Glycemic Control among Older Japanese: JAGES Cross-Sectional Study.
CONCLUSIONS :
Meeting with friends occasionally is associated with better glycemic control among older people.
くわしく読む ⇒ 原著論文
研究グループは、
- 65歳以上の9,554人を対象に、
- 血糖値と社会的な関わりの関係
について調べたのです。
具体的には、
- 友達と会う回数
- スポーツや老人会などへの参加の回数
と、
- 糖尿病(HbA1c)
との関連を調べたのです。
その結果、
- 月に1~4回程度、友達に会う人はほとんど会わない人に比べて血糖のコントロールが良い
- この効果は女性より男性で明らか
- 友人がいない人では血糖コントロールが不良となるリスクが3.9倍も高い
ということが分かったというのです。
さらに、
スポーツのグループに加わっている人は血糖コントロール不良となるリスクが1/2
ということも分かったそうです。
ただし、
友達に会う回数が多ければ多い程よいというわけではありません。
月に1~4回程度友人に会っている人が最も血糖値のコントロールが良く、
週に2~3回友人に会っている人では血糖値コントロールの悪化率がやや高かったそうです。
自分の生活習慣をコントロールできている人ほど血糖コントロールも良いということなのでしょうか。
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