中年男性はどうして糖尿病になりやすいのか

男性は女性より糖尿病になりやすいと言われています。

どうして男性は糖尿病になりやすいのでしょうか?

暴飲暴食?、肥満?

どうやら男性が糖尿病になりやすいのは男性ホルモンが関係しているようです。

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男性が糖尿病になりやすいのは男性ホルモンのせい?

男性が女性より糖尿病になりやすいことは多くの疫学調査で示されています。

その理由についてはまだ良く分かっていないのですが、

アメリカのノースウェスタン大学やシカゴ大学などの共同研究グループは、

 男性ホルモンには血糖値を調整する抗糖尿病作用がある

ということを明らかにしました。

Extranuclear Actions of the Androgen Receptor Enhance Glucose-Stimulated Insulin Secretion in the Male.

Guadalupe Navarro8, Weiwei Xu8, David A. Jacobson, Barton Wicksteed, Camille Allard, Guanyi Zhang, Karel De Gendt, Sung Hoon Kim, Hongju Wu, Haitao Zhang, Guido Verhoeven, John A. Katzenellenbogen, Franck Mauvais-Jarviscorrespondence

Cell Metabolism Vol 23, Issue 5, p837–851, 10 May 2016

男性ホルモンであるテストステロンは、筋力、骨量、体力、性機能、毛髪、性格など、様々な男性の機能に関わっていますが、

研究チームは、

  1. 男性ホルモン値が低い男性は血糖値が上がりやすい
  2. 治療により男性ホルモン受容体が少ない前立腺がん患者は糖尿病になりやすい

という点に注目し、

 男性ホルモンが受容体と結合するとインスリンの作用が増強される

という仮説を立てたのです。
 (ホルモンは各組織にある受容体という部位に結合することによって効果を発揮するのです)

この仮説を検証するために、

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞に男性ホルモン受容体がないマウスを作出し、インスリンの効果や血糖値の変化を正常なマウスと比較したのです。

その結果、

男性ホルモン受容体がないマウスではインスリン分泌量が低下し血糖値が上昇したのです。

これと同じ結果は、ヒトの培養した膵臓細胞でも確認されました。

男性ホルモン受容体を持つ細胞と持たない細胞に、男性ホルモンとブドウ糖を投与したところ、受容体が内細胞ではインスリン分泌量が低下し、研究チームの仮説通り、

 男性ホルモンが受容体と結合するとインスリンの作用を増強する

ということが立証できたのです。

中年男性は糖尿病になりやすい

男性は女性より糖尿病患者が多いことが明らかになっています。

厚生労働省の平成26年(2014年)「国民健康・栄養調査」を見てみると、

20歳以上の日本人の糖尿病有病率は、

  • 男性では 15.5%
  • 女性では  9.8%

と、男性の糖尿病有病率は女性より有意に高いことが明らかになっています。

男性でも女性でも微増の傾向にありますが、2006年以降、いずれの年度においても男性の有病率は女性より高いのです。

どうして男性は女性より糖尿病になりやすいのかが分かってきました

中年男性は糖尿病になりやすい

年齢別に糖尿病の有病率を見てみましょう。

いずれの年齢でも男性の有病率が女性より高いのですが、男性も女性も年齢とともに糖尿病の有病率が上昇することが明らかです。

男性も女性も50歳以降、糖尿病の有病率は急上昇し、男性では70歳以上では4人に1人(22.3%)が糖尿病です。

女性でも70歳代では6人に1人(17.0%)が糖尿病です。

糖尿病の男女比では男性が糖尿病になりやすいことが分かっています

 

40歳、あるいは50歳以降に糖尿病の有病率が急上昇します。

男性ホルモンは加齢に伴って低下する

男性が女性よりも糖尿病が多い理由として、日本活習慣病予防協会では、

  • 男性は肥満傾向にある
  • 女性はやせ傾向にある

ことが関係しているのではないか指摘しています。

しかし、上で紹介した、

アメリカのノースウェスタン大学やシカゴ大学などの共同研究グループの研究成果である、

 男性ホルモンには血糖値を調整する抗糖尿病作用がある

ということを考慮して、男性ホルモンの加齢による変化を見ると、、、

男女ともに、男性ホルモンのレベルは50歳代、60歳代になると、ピーク時の50%程度まで低下するのです。

女性でも男性ホルモン、、?、と思われるでしょうが、女性においても副腎などで男性ホルモンが作られ、ワキ毛や陰毛などの成長に関与しています。

中年男性では糖尿病が多いのは男性ホルモンの低下によるのです

中年男性が糖尿病になりやすいのは男性ホルモンの低下が関与しているらしいのです。


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男性は糖尿病になりやすい

今回紹介した、アメリカのノースウェスタン大学やシカゴ大学などの共同研究グループの研究成果では、男性が糖尿病になりやすいのは男性ホルモンの低下が関与しているのではないかと言うことなのですが、カナダの研究グループは性ホルモンの違いが男女の糖尿病の発症に関与していることを発表しています。

これは、既にこのサイトでも紹介しましたが、読んでおられない方もあると思いますので、簡単にご紹介します。

カナダのマクマスター大学の研究グループは、

  • PTENといわれる蛋白質が関与している

ということを明らかにしています。

詳しくは、 男性は女性より糖尿病になりやすい という記事を見ていただきたいのですが、

男性が女性より糖尿病になりやすいのは、筋肉中のPTENと呼ばれる蛋白質が男女で異なるからだとしているのです。

Sex differences in skeletal muscle Phosphatase and tensin homolog deleted on chromosome 10 (PTEN) levels: A cross-sectional study

Scientific Reports 5, Article number: 9154 (2015)

 原著論文 ⇒ http://www.nature.com/articles/srep09154

PTENといわれる筋肉中の蛋白質の活性が高いときは、

 インスリンの筋肉に対する作用が阻害されて糖の摂り込みが低下する

からだと述べています。

男性ではPTNEの活性が高いためインスリン抵抗性が増加して糖尿病が発症しやすくなるというのです。

 

中年男性は糖尿病になりやすいということは疫学調査で明白です。

中年男性が糖尿病になりやすい理由も最近の研究で明らかになってきました。

貴方も、糖質の摂り過ぎには充分気を付けてください。

朝食のパンを半分に、夕食のご飯を半分に、これが大事です。


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