歯周病を治すと糖尿病も治る

歯科業務標準化機構(大阪市)が主催する、

「歯と全身の健康の関係を考えるセミナー」を聞く機会がありました。

演者は、「歯周病専門医が教える 糖尿病がよくなるとっておきの方法」を出版したカナザキ歯科(松山市南梅本町)の金崎伸幸院長。

「歯周病が糖尿病や心筋梗塞などさまざまな疾患に悪影響を与えている」と指摘し、糖尿病を治すにはまず歯周病を治すべきだと訴えました。

歯周病とは

歯周病という名前は良く聞くのですが、歯周病とはどんな病気なのでしょう。

歯周病は細菌の感染によって引き起こされる歯肉の炎症性疾患です。

歯は歯肉によって包まれていますが、歯と歯肉の間には隙間(歯肉溝)があるため、食事などによる食べカスなどが詰まるため、充分に清掃しなければ多くの細菌が繁殖し、歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりするのです。
歯周病では痛みを感じないため、多くの場合放置されることが多く、炎症が進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目がさらに深くなり、歯を支える歯槽骨が細菌の酸により溶かされて歯が抜け落ちてしまうのです。

歯周病の原因

口の中には、口中常在菌といわれる300~500種類もの細菌が住んでいます。

口中常在菌は、普段は悪いことはしませんが、歯磨きが不充分だったり、甘いものを摂りすぎたりすると、細菌はネバネバした物質を作り出して歯の表面にくっつきます。

これが歯垢(プラーク)で、粘着性が強いためにうがい程度では除去できません。歯垢1mgの中には10億個もの細菌が存在していて、虫歯や歯周病をひき起こすのです。

歯垢は充分な歯磨きやジェットウォッシャー などで取り除かなければ、硬化して歯石となり歯の表面に強固に付着してブラッシングだけでは取り除くことができなくなります。

歯石の中や周囲には常在細菌が入り込み、歯周病をさらに進行させるのです。

歯周病と糖尿病の関係

「歯と全身の健康の関係を考えるセミナー」での、「歯周病専門医が教える 糖尿病がよくなるとっておきの方法」を出版した金崎伸幸医師の口演では、

歯周病の患部からはインスリンの効果を妨げる物質が出ており糖尿病を悪化させる

との話でしたが、あなたにもご説明します。

糖尿病と歯周病の関係

糖尿病の治療では、食事療法、運動療法、それらで効果がないとインスリンや糖吸収抑制薬などの薬物療法がとられます。

金崎医師の話では、糖尿病で歯周病の患者さんが歯周病を治療すると、血糖値やヘモグロビンA1cの値が下がったという例が多くあり、このような事例は、様々な研究論文でも報告されているそうです。

さらに、糖尿病予備軍の患者が本当の糖尿病に進む確率は、歯周病があると3倍にも跳ね上がることも疫学調査で明らかになっているそうです。

金崎医師の著書では、糖尿病を改善させる有効な歯周病治療について、分かりやすく解説されているので、歯周病などが気になる方は是非お読みになった方が良いと思います。

歯周病は、糖尿病だけでなく、心血管系疾患、呼吸器感染症、早産・低体重児出産、骨粗鬆症など、さまざまな疾患との関連性が指摘されており、最近では、歯周病はメタボリックシンドロームとも関連性あると報告されています。


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歯周病は糖尿病の合併症

歯周病と糖尿病、一見無関係の病気のように思うでしょうが、歯周病と糖尿病は密接な関係にあります。

金崎医師の話でも書きましたように、糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて、歯周病になる確率が2~3倍も高く、歯周病になると進行が早く、治るのも遅くなるそうです。

糖尿病の人では免疫力が低下しており、また組織の修復力も弱いために、細菌による組織破壊が進行しやすいのです。

歯周病は糖尿病の合併症

糖尿病に罹患し、血糖値が高くなると、血液中の糖化蛋白質が増加します。

糖化蛋白質というのは、ブドウ糖が体内の蛋白質に結合したものですが、最近は老化現象の主原因として注目されていますが、糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、癌、末端神経障害さらには難聴や失明などの原因となるとも言われています。

糖尿病患者では日本人一般の平均寿命よりも男性で約10年、女性で約15年の寿命が短いと言われていますが、これにも糖化蛋白質が関与しているのです。

さて、歯周病との関係ですが、糖化蛋白はマクロファージという炎症細胞を刺激して、サイトカインを分泌させます。

特に、TNF-αというサイトカインは、血糖を下げるインスリンの働きを悪くする(インスリン抵抗性を高める)ことから、歯周病の進行は血糖値を上昇させ、糖尿病のコントロールをますます困難にするとともに、歯周病をますます進行させるという悪循環に陥ってしまうのです。

詳しく見る ⇒ 日本臨床歯周病学会

糖尿病の人は歯周病になりやすい

 

歯周病を治療すると糖尿病が改善する

歯周病は気づきにくい疾患ですが、

成人の8割が歯周病を持っている

といわれています。

歯周病が虫歯のように痛みがありません。

歯茎が赤みを持ち、やや柔らく腫れますが痛みを伴わないため、気づかない人が多いのです。

歯周の炎症は、歯肉炎さらには歯周炎に発展し、細菌の出す酸性物質によって歯槽骨が溶け、ついには歯が抜けてしまいますが、これが歯周病なのです。

歯周病の危険度をチェックする

歯周病は初期に治療すると簡単に治りますので、早期発見が重要です。

以下の項目で思い当たるものは有りませんか?

  • 朝起きたときに口の中がネバネバする
  • 口臭が気になる
  • 歯磨きの時に歯茎から出血する
  • 歯茎がむずかゆかったり痛い
  • 歯肉が赤く腫れている
  • かたい物が噛みにくい
  • 食べ物が良く歯に挟まる
  • 歯が長くなったように見える(歯肉が後退した)
  • 歯と歯の間に隙間がでてきた(歯肉が痩せた)

これらの項目に当てはまることがあったら、歯周病の可能性があります。

 

糖尿病の治療は歯周病の治療から始める

糖尿病がある歯周病患者で、歯周病を治療したら血糖値が改善したという例がたくさんあるのです。

厚生労働省 メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイトには、歯周病を治したら血糖値が改善した例がたくさん記載されています。

 

【症例B】の写真左側は2009年2月時の口腔内写真です。
(血糖値141mg/dl,HbA1c7.4%(NGSP値)) 糖尿病のコントロール状態はやや改善傾向にあり、歯周組織の局所的な軽度の炎症がみられました。
現在、スルフォニル尿素薬(ダオニール®)・α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ®)・ビグアナイド薬(メルビン®)およびチアゾリジン薬(アクトス®)を服用中です。
歯周組織が改善し、糖尿病のコントロール状態がさらに良好(HbA1c6.8%(NGSP値))となりました(2010年5月)

 

【症例C】は、72歳男性、上顎左側臼歯部の歯肉疼痛を主訴に来科しました。
狭心症・高血圧症・2型糖尿病のため通院加療中でした。写真左側は初診時の口腔内写真(2003年4月)です。2型糖尿病(血糖値175mg/dl、HbA1c7.9%(NGSP値))を伴う慢性歯周炎の診断のもと、歯周病治療を開始しました。
歯周組織の炎症はコントロールされ、辺縁歯肉の腫脹や急性炎症は消失しました(写真右側 7年後 2010年3月)。
初診時、α-グルコシダーゼ阻害剤(ベイスン®)を服用中で、現在も同薬剤を服用中ですが、2007年8月から、HbA1c6.4%(NGSP値)前後で現在(80歳)まで推移してきています。

 

歯周病は糖尿病を悪化させる原因の一つでもあるのです。

血糖値が気になるなら、まづは歯周病の検査をしてください。


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