糖尿病でもメトフォルミンで長生きできる

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

糖尿病になると寿命が短くなります。

男性では9.6歳、女性では13.0歳も短いのです。

しかし、糖尿病治療薬のメトフォルミンは寿命を延ばし長生きできるそうなのです。

あなたは、糖尿病の薬をきちんと飲んでいますか?

 

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糖尿病薬のメトフォルミンに長生き効果

今月初め、sciencealert.com は衝撃的なニュースを流しました。

 メトフォルミンは寿命を120歳まで延ばすことができるかも知れない

というのです。

  詳しく見る ⇒ sciencealert.com

A common diabetes drug will be trialled as an anti-ageing elixir from next year

Research suggests it could help people live to 120.

Based on these observations, the Food and Drug Administration (FDA) has now green-lit the drug to be trialled for its anti-ageing properties as early as next year. And if it ends up being approved, it’ll be the first time that the FDA recognises ageing itself, rather than a specific disease, as a drug target.

 

アメリカのFDA(日本の厚労省に相当する政府機関)は、このメトフォルミンの長生き効果を確認するための試験を許可したというのです。

臨床試験は2016年に、癌、心臓病、認知症などのリスクを持つ、70~80代の男女3,000人を対象にして行われるそうです。

 

糖尿病治療薬のメトフォルミンに寿命を延ばす効果が有るのではないかということは10年以上前から多くの研究者から言われてきました。

こうした多くの報告を受け、FDAは臨床試験の開始にゴーサインを出したのです。

この試験の成績が判明すれば、癌、糖尿病、認知症など加齢に伴っう個々の疾患を予防するのではなく、加齢自体を遅らせることでこれらの疾患の発生を予防することができるのではないかと期待されるのです。

 


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長生きが期待出来る糖尿病薬のメトフォルミンとは

トホルミン(metformin)は、経口糖尿病治療薬の一つです。

メトホルミンは1959年に最初にフランスで承認されて以来、世界各国で糖尿病治療薬として承認されました。

日本では1961年に承認され半世紀にわたり使用されています。様々な治療薬が開発されるなか、十分な有効性と安全性を備えた薬剤でなければ、これほど長くは使われてこなかったでしょう。

メトフォルミンは、ビグアナイド系薬(BC薬)として分類されますが、BG薬には長い歴史があります。

中世ヨーロッパ時代において、多年草マメ科の植物であるガレガソウに、糖尿病の症状である多尿や口渇を和らげる作用があることから薬草として使われていましたが、ガレガソウの抽出物のグアニジンに血糖低下作用のあることが1918年に明らかになりました。

しかし、グアニジンは毒性が強く、その後開発されたジンタリンも毒性により薬にはならなかったのですが、1950年代後半になって、グアニジン誘導体である「フェンホルミン」、「ブホルミン」、「メトホルミン」の3つのBC薬が開発され、糖尿病治療薬として使われるようになったのです。

糖尿病薬のメトフォルミンに長生き効果がある

日本では、大日本住友製薬のメトグルコ、メルビン®(販売中止)、日本新薬のグリコラン、ジェネリックとしてはトーアエイヨーのメデットや三和化学のネルビスがありますから、飲まれておられる方も多いと思います。

非常に安価な医薬品で、健康保険を使って処方された場合には、1日当たり8円程度です。

メトホルミンの作用は、

  1. 肝臓での糖生成を抑制
  2. 末梢組織での糖利用を促進
  3. 腸からの糖の吸収を抑制

と、3つの作用で血糖を低下させることから、身体的な負担も少なく、血糖値をコントロールできる薬として広く利用されています。

 


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メトフォルミンの長生き効果

メトフォルミンに長生き効果があると言うことは動物を用いた研究で報告されています。

2013年にベルギーの研究者らは、線虫というハリガネムシともいわれる小さな細長い寄生虫なのですが、この線虫を用いた実験で、メトフォルミンは線虫の老化を遅らせて長生きさせることが報告されています。

米国立衛生研究所によるマウスへを用いた実験でも、寿命が40%も延び、骨などの老化を防ぐことが確認されています。

しかし、FDAが人における臨床試験の開始を許可した背景には、人においても寿命を延ばす可能性があることが報告されているからです。

2014年に英カーディフ大学が行った疫学調査では18万人以上を対象にした大規模調査が実施され、

  メトホルミンを服用した糖尿病患者は、他の治療薬を服用した患者に比べて8年長生き

であることが明らかになったのです。

 

さらに、

  メトホルミンを服用した糖尿病患者は糖尿病でない人よりも長生きする

ことも分かったのです。

  詳しく見る ⇒ Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Jun 17;111(24)

 

糖尿病の人は長生きできない

 

糖尿病の人は短命であるということは良く知られています。

このサイトでもお知らせしたように、

  • 糖尿病の男性の寿命は糖尿病でない男性より9.6歳も短い
  • 糖尿病の女性の寿命は糖尿病でない女性より13.0歳も短い

のです。

  詳しく見る ⇒ 糖尿病の健康寿命は短い

 

この背景には、

 糖尿病であるにもかかわらず適切な治療をしていない人が多い

ということがあるのです。

 


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まとめ

糖尿病と診断されたにもかかわらず、4割の方が治療薬を服用していないといわれています。

それは、糖尿病には自覚症状が無いため、薬を飲んでいる効果を実感できず途中で服用を止めてしまう人も多いのです。

そして、気付いたときには、心筋梗塞などの副作用が容易に起きてしまうのです。

 

糖尿病だと診断されたらきちんと薬を服用してください

メトフォルミンを飲めば糖尿病も治るだけでなく長生きできるのです

 

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