カーボラストの元木大介

製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。

はじめに

元巨人の元木大介さん(以下敬称略)が、2026年9月16日放送のテレビ東京系、「出川・サンド富澤のカラダにイイワケ【血糖値スパイク&高血圧】」に出演し、糖尿病と診断された後に続けている食事法を紹介しました。

番組では、元木が糖尿病の発覚をきっかけに約5年間続けているという「カーボラスト」が紹介されました。

カーボラストとは、ご飯などの炭水化物を最後に食べるという、とても簡単な食べ方です。

本当にこれだけで食後血糖値は変わるのでしょうか?

元木大介さんが5年間続けている「カーボラスト」

元木は現役引退後に体重が増加し、一時は約90kgまで増えていました。

その後、糖尿病と診断され、2020年に虫垂炎で緊急入院したことをきっかけに生活習慣を見直したといいます。

今回の番組で紹介されたのが、約5年前から続けている「カーボラスト」という食べ方です。

方法は非常にシンプルです。

  • 最初にサラダやおかずを食べる
  • ご飯などの炭水化物は後にする
  • 食べ始めてから10~15分後に炭水化物を食べる

「カーボラスト」は逆から言えば、あなたもよく知っている「ベジファースト」ですね。

ベジファーストは食後高血糖を抑える

番組でも元木さんはサラダや小鉢などから食べ始め、約15分後にご飯を食べていました。

元木さんは、この食べ方がすでに習慣になっていると話しています。

元木さんが糖尿病と診断された当時の血糖値や、その後20kg以上体重が減少した経緯については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

👉 元木大介さんの糖尿病|HbA1cと20kg以上の体重減少について

カーボラストで食後血糖値はどう変わる?

番組では、元木さんがカーボラストを行った場合と、行わなかった場合の食後血糖値も測定されました。

番組で紹介された結果では、

カーボラストを行わなかった場合、食後血糖値は175mg/dLまで上昇しました。

一方、カーボラストを行った場合は134mg/dLまでの上昇でした。

という結果で、食べる順番によって食後の血糖値の上がり方に違いがみられました。

番組では、元木の現在の血糖値は102mg/dL、HbA1cは5.8%と紹介されており、この方法を5年間実践したことで糖尿病を克服したと言います。

食後高血糖とは

食後高血糖とは、食後に血糖値が急上昇することです。

食後2時間目の血糖値が140mg/dl以上になれば食後高血糖と診断されます。

食後には誰でも血糖値が上がるのですが、糖尿病や糖尿病予備軍では急激に上がり「グルコーススパイク」とも呼ばれます。

食後高血糖グルコーススパイク

食後高血糖が続くと膵臓は多量のインスリンを分泌することになり、やがて膵臓が疲れてインスリンの分泌は低下し、糖尿病が進行するのです。

食後には健康な人でも血糖値が上がりますが、これは炭水化物がグルコースに分解されて腸から吸収されて血糖となります。

ですから、炭水化物が食後高血糖を引き起こす食品だといえます。

食後高血糖を起こすのは炭水化物

そして、健康診断での空腹時血糖値が正常だったとしても食後高血糖になっているかは、残念ながら分からないのです。

👉 食後高血糖は健康診断では分からない

「カーボラスト」には科学的根拠がある

炭水化物を最後に食べるというカーボラストには科学的根拠があります。

2017年に発表された研究では、2型糖尿病患者16人を対象に、同じ食事を食べる順番だけ変えて比較しています。

比較したのは、

  1. 炭水化物を最初に食べる
  2. タンパク質と野菜を先に食べ、炭水化物を最後に食べる
  3. 全てを一緒に食べる

という3つの食べ方でした。

その結果、炭水化物を最初に食べた場合と比べて、炭水化物を最後に食べた場合は、

  • 食後180分までの血糖上昇:53%低下
  • 食後血糖値のピーク上昇 :54%低下

していました。

研究では、食事内容そのものではなく、同じ食事の「食べる順番」を変えて比較しています。

参考文献: Carbohydrate-last meal pattern lowers postprandial glucose and insulin excursions in type 2 diabetes

私自身も持続的血糖測定器(フリースタイルリブレ)を使って実際に測定してみました。

👉 ベジファーストは食後高血糖を下げるのか?

大豆を先に食べる「大豆ファースト」も食後高血糖を抑える

食べる順番によって食後血糖値の上昇を抑える方法は、カーボラストだけではありません。

このサイトでは以前、食事の最初に蒸し大豆を食べる「大豆ファースト」についても紹介しています。

大豆ファースト

大豆には良質のたんぱく質と共に、糖の吸収をゆっくりにする働きがある食物繊維が多く含まれています。

蒸し大豆を食べてから、塩おにぎりを食べた試験では、おにぎりだけを食べた場合や野菜を先に食べた場合と比較して、食後血糖値の上昇が抑えられました。

また、健康な成人男性を対象とした別の研究では、豆腐を白米より先に食べることで、食後血糖値の上昇が抑えられたことも報告されています。

カーボラストとは「炭水化物を取りやめにする」という意味ではなく「炭水化物を最後にする」という考え方ですが、大豆ファーストも結果的には炭水化物より大豆を先に食べることになります。

👉 大豆ファーストで食後血糖値はどう変わる?ベジファーストとも比較

まとめ|元木大介さんが続けるカーボラストとは

今回の番組では、現在の血糖値は102mg/dL、HbA1cは5.8%と紹介され、5年間、カーボラストを実践したことで糖尿病を克服したのです。

カーボラストとは、サラダやおかずを先に食べ、ご飯などの炭水化物を食事の最後にする簡単な方法です。

食べる順番については、蒸し大豆や豆腐を先に食べる「大豆ファースト」でも食後血糖値を抑えることが明らかになっています。

食べる順番を変えるだけで糖尿病を克服できる、あなたにもやれるのではないでしょうか。

👉 【食事の基本】糖尿病で知っておきたい食べ方・選び方

最終更新日:2026年9月