糖尿病で歯がなくなると認知症のリスクが高くなる
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
今までお話ししたように歯周病は糖尿病の原因の一つであり、
糖尿病と歯は密接な関係にあります。
糖尿病に限らず加齢に伴って歯を失う人が多いのですが、
アメリカ、ニューヨーク大学の研究グループは、
糖尿病患者が歯を失うと認知機能低下リスクが上昇する
という研究結果を報告しました。
糖尿病で歯を失うと認知症リスクが高くなる
糖尿病患者が歯を失うと認知機能低下が高くなる
という研究論文を発表したのはアメリカ、ニューヨーク大学、ローリーマイヤーズ看護学部の研究グループです。
Diabetes, Edentulism, and Cognitive Decline: A 12-Year Prospective Analysis
詳しく見る ⇒ Journal of Dental Research
研究グルプは、
就労や定年退職と健康に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータベースに2006~2018年に登録された、
高齢者9,948人 (65~74歳5,440人、75~84歳3,300人、85歳以上1,208人)
を対象に、
- 糖尿病の有無
- 無歯症(歯が全くない状態)
などによって群分けし、
- 2年毎に認知機能を検査
したのです。
その結果、
糖尿病と無歯症である65~74歳の高齢者は対照群より認知機能の低下が早い
ことが判明したというのです。
研究グループは、
65歳から74歳の高齢者では糖尿病と無歯顎症の併発が認知機能の悪化と認知機能低下の加速につながることを実証した
と結論しています。
なお、85歳以上の高齢者群ではこの傾向は認められなかったのですが、
このことについては、
糖尿病と無歯症の両者が併存している場合、80代前半までに死亡する人が多いためではないかとしています。
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高齢者の3割が総入れ歯になる
高齢になると自分の歯の本数が減ってくるのですが、
- 後期高齢者の歯の平均値は約16本
- 高齢者の約3割のが総入れ歯
と言う調査結果があります。
年齢が高くなるほど歯の喪失が進み、高齢者では歯のない人が多くなるのですが、
厚生労働省による2016年の歯の喪失の実態調査によると、
高年齢層ほど自歯の本数が減り、
75歳以上の後期高齢者では、本来の自歯数(28本)の半数近くが失われ、
後期高齢者で20本以上の自歯を持つ人はわずか46%しかいなかったそうです。
さらに、自歯を失ったことで、
- ブリッジ
- 部分入れ歯
- 総入れ歯
などの義歯を使っている人の割合は年齢とともに増え、
後期高齢者の84%が何らかの義歯を使っているおり、
ことが分かりました。
後期高齢者では約3割が総入れ歯を使用している
ことが判明しました。
WHOの調べによると日本人における無歯顎者率(歯のない人の割合)は欧米やアジア各国と比べても低く、
日本人の加齢に伴う歯の喪失率は低いのですが、それでも後期高齢者の30%が総入れ歯になっているのです。
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まとめ
“8020運動(80歳まで20本の歯を残そうという運動)”などの普及もあり、高齢者の残存歯数が飛躍的に増加していると言われていますが、
それでも後期高齢者の30%が総入れ歯なのです。
今回ご紹介したように、糖尿病患者が歯を失うと認知症リスクが高まるのです。
糖尿病であるなら歯の健康に充分気を付けてください。
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