新型コロナの流行で糖尿病患者の血糖コントロールが悪化
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
新型コロナウイルス感染がなかなか収まりません。
さらに、冬にかけて感染が拡大するのではないかと予期されています。
糖尿病患者では新型コロナ感染が重症化することが明らかになっているので注意が必要ですが、
新型コロナに感染していないにも関わらず、
糖尿病患者の血糖コントロールが悪化しているというのです。
どうしてなのでしょうか?
糖尿病患者の血糖コントロールが新型コロナの流行で悪化している
今月初めに第63回日本糖尿病学会年次学術集会がWebで開催されたました。
緊急特別シンポジウム として、
「COVID-19~我が国の現状と糖尿病診療との関わり~」
が設けられ、
京都府立医科大学の研究グループは、
「COVID-19感染拡大下における糖尿病診療」
と題して、
糖尿病患者の生活習慣と血糖コントロールについて講演したのですが、その概要をお伝えします。
詳しく見る ⇒ 日本糖尿病学会緊急集会
研究グループは「新型コロナによる糖尿病患者の生活習慣の変化」を調べるため、
来院患者203人に、
- ストレス
- 睡眠時間
- 運動量
- 食事量
- 間食
- 野菜摂取量
などについてアンケート調査をおこなったのです。
なお対象患者の内訳は、
- 性別 男126人、女77人
- 年齢 平均年齢67.4歳
- 糖尿病歴 平均14.4年
- 経口薬を服用中 170人
- インスリン注射中 135人
で、やや高齢の糖尿病歴が長い患者集団です。
アンケートを集計した結果は、
新型コロナ感染の影響で、
- ストレスの増加
- 食事摂取量の増加
- 運動量の減少
ことが明らかとなり、
- HbA1cが増加して血糖コントロールが悪化
していることが明確になったというのです。
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研究グループは、
新型コロナの流行により、
- 外出回数の減少
- 在宅時間の増加
などによる影響とみていますが、
- 65歳未満の患者
- 運動習慣のない患者
においては、
- 運動量の減少による体重増加
- 間食や惣菜摂取量の増加
よる影響で、
- 体重の増加
- HbA1cの上昇
が顕著だったとしています。
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まとめ
新型コロナの流行下では、
ストレスや生活習慣の変化により血糖コントロールが悪化していることが明らかになりました。
このような現象は、台風や地震などの災害時にも報告されています。
糖尿病患者では新型コロナ感染が重症化しやすいことが明らかになっていますが、
血糖コントロールが悪化すると感染症にかかりやすくなることから、
- 運動
- 食生活
- 睡眠
に充分気を配る必要があるようです。
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