糖尿病における食事回数と血糖値の関係

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。

 

はじめに

最近、ダイエットのために朝食を摂らないという人が増えています。

少しでもカロリーの摂取カロリーを少なくしからでしょうが、

朝食を抜くと食後高血糖を引き起こすのです!

血糖値が高めのあなたはきちんと3食を摂る方が良いのです。

 

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糖尿病では食事回数を減らした方が良い?

メタボを解消したいから、、、

血糖値が気になるから、、、

と朝食を摂らない人が増えているそうです。

 

。厚生労働省の「平成21年 国民健康・栄養調査」によると、

朝食をほとんど食べない男性は

  • 20歳代男性 : 21.0%
  • 30歳代男性 : 21.4%

と、2割を超え、

  • 20歳代女性 : 14.3%
  • 30歳代女性 : 10.6%

と男性よりはやや低めですが、朝食を摂らない女性も結構多いのです。

 

早稲田大学理工学部で「時間栄養学」の研究を進めている柴田重信教授によれば、

朝食を摂る人では、

  • 朝早く起きる生活パターンが出来上がっている
  • 朝から昼にかけての活動で失敗が少ない

と朝食を摂ることを勧めていますが、

余談として、

  • 朝食を摂っている学生は就職活動に成功する
  • 朝食を摂った方がテストの成績や就職活動の成果につなる

と朝食を摂ることを進めています。

 

朝食を摂らないと食後高血糖を引き起こす

メタボや糖尿病のために朝食を抜いてカロリー摂取を抑えようとしたら、逆効果です。

 

イスラエルのテルアビブ大学の研究グループは、

糖尿病患者が朝食を抜くと食後高血糖を起こす可能性がある

と報告しています。

 

Fasting Until Noon Triggers Increased Postprandial Hyperglycemia and Impaired Insulin Response After Lunch and Dinner in Individuals With Type 2 Diabetes: A Randomized Clinical Trial.

 

    詳しく見る ⇒ 原著論文

 

この研究では、

  • 2型糖尿病 : 22人
  • 平均年齢 : 56.9歳
  • 平均BMI : 28.2

を対象にして、

参加者は全員が全く同じ量のカロリーで同じ内容の食事を摂ったのですが、

  1. 1日目は朝食を摂る
  2. 2日目は朝食を摂らない

としたところ、

 

朝食を食べた : 昼食後の血糖値 192mg/dL、 夕食後の血糖値 215mg/dL

朝食を抜いた : 昼食後の血糖値 268mg/dL、 夕食後の血糖値 298mg/dL

 

と、朝食を食べなかった日の昼食と夕食の食後血糖が異常な高値を示したというのです。

 

朝食を摂らないと昼食と夕食の食後血糖値が上がる理由として、

夕食と次の日の食事の間の時間が長くなるとインスリン分泌細胞の記憶が失なわれインスリン分泌が悪くなる

からだと説明しています。

 

食事間の間隔が長くなると、

  • インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が重要な役割を忘れてしまうために昼食時のインスリン分泌量が減る
  • 血中の脂肪細胞の量が増加してインスリンの効果を減弱してしまう

というのです。

研究グループは、糖尿病患者や血糖値が高い人では決して朝食を抜いたりしないようにと忠告している。

朝食を抜くと、昼食や夕食で食べ過ぎたりしなくても、β細胞の機能に重大な障害が起き食後高血糖になってしまうのです。

 


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少量の食事を何回も取る方が太らない

糖尿病に良かれと朝食を抜くとむしろ逆効果になってしまうのですね。

朝食を抜く理由は、少しでもメタボを解消したいという気持ちからなのですが、むしろ、食事回数を増やした方がメタボにならないという研究報告もあるのです。

英国の研究グループは、「1日に少量の食事を何回も取るとほどBMIが下がる」と、食事回数が多いほど太らないと報告しています。

 

The Impact of Eating Frequency and Time of Intake on Nutrient Quality and Body Mass Index: The INTERMAP Study, a Population-Based Study.

  詳しく見る ⇒  J Acad Nutr Diet. 2015 Apr;115:528-536.e1.

 

この研究は、イギリスのロンドン大学の研究グループが、J Acad Nutr Diet. 2015 4月号に報告したものです。

 

研究グループは、

40~59歳の男女約2,700人を対象に、食事回数がBMIに及ぼす影響を調べたのです。

  • 食事回数が6回以上の人のBMIは4回より少ない人よりも低い

という結果が得られたのです。

 

また、

  • 食事回数が6回以上の人の総エネルギー摂取量、食事のエネルギー密度は4回より少ない人よりも低い

という結果も得られており、食事回数が多かったから摂取エネルギーも多かったわけではないのです。

さらに、

  • 朝よりも晩のエネルギー摂取量が多いと、BMIが増える傾向があった

そうです。

 

食事回数とダイエット効果については、

  1. 小量を
  2. 回数多く食べ
  3. 夕食は少なめに

が効果的だということです。

 


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朝昼夕のバランスは3:4:3

メタボを防ぐとして、

  • 朝食抜き
  • 1日1食
  • プチダイエット
  • 酵素ダイエット

など、様々な方法が雑誌などを賑わしていますが、糖尿病予備軍や糖尿病の方は、朝、昼、晩の三食をきちんと摂り、空腹時間を短くすることにより、食後の血糖値の急激な上昇を抑え、さらに暴飲暴食を抑えることができるのです。

朝食抜きや1日1食では「まとめ食い」をしてしまう結果となり、

  • 急激な食後高血糖
  • インスリンの分泌が疲弊

ということで糖尿病への拍車がかかってしまいます。

食事は1日3食を摂ることにしても、毎食の割合が気になるところです。

 

 理想的な食事摂取カロリー割合は、朝:昼:夕=3:4:3 です。

 詳しく見る ⇒ 糖尿病の血糖値を下げるための食事の摂り方(2)

 

糖尿病なら朝昼晩の三食

 

糖尿病の食事法は決して病人食ではありません。

糖尿病の食事法は、「健康食」、「長寿食」なのです。

 

まとめ

日本人の食事法は本来、質素な健康食で、それが元となって世界一の長寿国になったのですが、

食事内容の欧米化やファストフードの氾濫によって乱れてきたようなのです。

食事内容の欧米化も悪いことではないのですが、

最近の日本における肥満や糖尿病患者の増加は、

我々に「この辺で一度、食事内容を見直しなさい」と言っているのではないでしょうか。

 

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