GLP-1ダイエットはどうして危険なのか

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。

 

はじめに

かまいたちの山内さんがGLP-1ダイエットをしていたことを公表しました。

かまいたちのGLP-1ダイエット.jpg

かまいたち山内がGLP-1ダイエットで減量

 

GLP-1ダイエットとは糖尿病薬であるGLP-1受容体作動薬を使ったダイエット法です。

GLP-1ダイエットは、

  • 簡単にダイエットできる
  • リバウンドしない

などと若い女性に人気なのですが、

GLP-1ダイエットは危険だともいわれています。

 

GLP-1ダイエットについて詳しく説明します。

 

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GLP-1ダイエットは適応外使用

3ヵ月で8kgの減量に成功したとYouTubeで明らかにしたかまいたちの山内健司さん。

 

GLP-1ダイエットというのは(Glucagon-Like Peptide-1、グルカゴン様ペプチド-1)を使ったダイエットです。

 (正確にはGLP-1の分泌を促進するGLP-1受容体作動薬を使ったダイエット)

 

GLP-1は食事の後に血糖値をコントロールする働きがあり、

GLP-1受容体作動薬は糖尿病薬として世界で広く処方され、

国内でも2010年1月にノボ ノルディスクの「ビクトーザ」皮下注射剤が厚生労働省に承認され、以後多くのGLP-1受容体作動薬が承認されています。

 

GLP-1には血糖値の上昇を抑制する他にも、

  • 食欲を抑制する効果がある

ことから、食事摂取量を減らして体重を減らすことを目的としたダイエットに使われているのです。

 

多くのGLP-1ダイエットは適応外使用

「GLP-1ダイエット」で検索すると多くのクリニックの宣伝が表示されますが、

これらのほとんどは「適応が使用」によるものです。

 

適応外使用というのは、

医薬品を、承認内容の範囲外、すなわち添付文書に記載されている効能・効果、用法・用量の範囲外で使用すること

のことで、

自己責任による保険適応外の自由診療なのです。

 

簡単に言えば、

糖尿病薬をダイエット目的で使用することです。

 

医師会などでは、

GLP-1のダイエット利用はやめて
~糖尿病治療薬の目的外使用(日本医師会 今村聡副会長)~

   詳しく見る ⇒ 時事メディカル

 

とGLP-1受容体作動薬をGLP-1ダイエットで使うことに警告を出しています。

 


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GLP-1が肥満の適応でも国内承認

米国ではGLP-1は抗肥満薬として承認されいますが、

つい先日3月27日、

ノボ ノルディスク ファーマのGLP-1受容体作動薬「ウゴービ皮下注SD」が抗肥満薬として承認されました。

 

過体重や肥満の糖尿病を対象にしたSTEP臨床試験で有効性が認められた

として厚生労働省から抗肥満薬として承認を受けたのです。

 

その適応対象は、

適応症 肥満症

高血圧脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、
食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、

以下に該当する場合に限る。
BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害がある
BMIが35以上

という糖尿病で肥満の患者に限られ、

美容目的でのダイエットでの使用は自由診療であり保険適用外なのです。

 


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日本人に肥満症はほとんどいない

このたび肥満症治療薬として承認されたGLP-1受容体作動薬。

日本人585人を含む5,085人の過体重肥満症を対象にした臨床試験で、

68週間の投与で5%以上の体重減少を示したものがプラセボより多かった

という有効性が得られています。

 

 

肥満は脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、

 肥満症とはBMI 25以上で健康障害を合併する者

と定義されています。

 

具体的には、

  • 身長150cmで体重が56.3kg 
  • 身長160cmで体重が64kg
  • 身長170cmで体重が72.3kg

で肥満に伴う健康被害があるヒトがが肥満症だということになります。

 

米国でのGLP-1の肥満症への適応は、

BMI 30以上で食事療法と運動療法で体重管理を実行している患者

と指示されています。

 

米国では国民の38.2%がBMIが30以上だと言われていますが、

日本ではBMI30以上の肥満者は国民の4.5%(男性5.4%、女性3.6%)しかいないのです。

さらに肥満症の薬物治療の治療対象となるBMI35以上はわずか0.5%しかいないのです。

 

GLP-1の肥満症への使用は承認されましたが、

BMI25以下のGLP-1ダイエットにおける安全や有効性のデータはないのです。

厚生労働省社会保障審議会医療部会でもGLP-1ダイエットにおいて、

  • 下痢
  • 腹痛
  • 頭痛
  • めまい

などの副作用が確認されたと報告しています。

 


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まとめ

3月27日にGLP-1注射薬の肥満症への適応が承認されました。

対象はBMI25以上で糖尿病や高脂血症であり食事療法や運動療法で減量効果が得られなかった者です。

多くのクリニックでGLP-1ダイエットを手軽に受けることができるようですし、個人輸入でもGLP-1ダイエットをすることができますが、これらは全て自己責任による適応外使用です。

BMI25以下におけるGLP-1受容体作動薬の有効性や安全性データは無く、安直にGLP-1ダイエットをおこなうことは避けた方が良いでしょう。

 

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