製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
チーズは糖質が少なく、たんぱく質やカルシウムを含む身近な食品です。
チーズは糖尿病にとって良い食べ物なのでしょうか?
チーズの摂取と糖尿病の発症リスク、血糖値、HbA1cとの関係を調べた研究が報告されています。
さらに、チーズの種類によって血糖関連指標との関係が異なる可能性を示した研究も発表されました。
今回は、チーズと糖尿病の最新研究を紹介しながら、なぜ乳製品が血糖値と関係するのか、そして毎日の食事にどう取り入れればよいのかを考えてみましょう。
【2026年最新研究】チーズをよく食べる人ほど糖尿病の有病率が低かった!
雪印メグミルクと立命館大学の研究グループは、
チーズと糖尿病の関係を明らかにするため、
米国全国健康・栄養調査(NHANES)の2003~2006年のデータを使用し、成人2,331人を対象として「チーズ摂取と糖尿病の関係」分析しました。
その結果、
チーズ予よく食べる人ほど、
- 糖尿病の有病率が低い
- HbA1cが低い
- ビタミンDの値が高い
ということが明らかになったのです。

研究結果のグラフは、雪印メグミルクの公式資料で確認できます。
チーズの種類によってHbA1cとの関係に違いがあった!
今回の研究では、チーズの種類との関係も分析されました。

| 種類 | 特徴 | 味わい | 用途 |
|---|---|---|---|
| カッテージチーズ | 脱脂乳などが原料で、脂肪分が非常に低く高タンパクな非熟成のフレッシュチーズ | クセが少なく、淡白でさっぱりとした味わい | サラダやパスタのトッピング、ダイエット中の食事やおつまみに適している |
| 低脂肪チーズ | クリームチーズなどの通常のコクがあるチーズをベースに、脂肪分をカットして作られる | カロリーや脂質を抑えながらも、ミルクのコクや風味が感じられる | ヘルシーにコクを出したい料理やお菓子作りに使われる |
| クリームチーズ | 生乳にクリームを加えて作られる、乳脂肪分が豊富なリッチなフレッシュチーズ | 滑らかな舌触りと、豊かなコク、マイルドな酸味が特徴 | パンに塗る、チーズケーキなどのデザートやディップソースの原料に向いている |
その結果、
カッテージチーズ・低脂肪チーズ
食べる頻度が高い人ほど、
・HbA1cが低い
・ビタミンDの値が高い
という関連が認められました。
クリームチーズ
クリームチーズでは、食べる頻度が多くなるにつれ、糖尿病有病率の低さや血糖指標との関連
が関連が弱まる傾向が認められ、
研究グループは、脂肪含量や製法などの違いが関係している可能性があるとしています。
チーズをたくさん食べる人では糖尿病のリスクが7%も低かった!
2023年6月、学術誌『Advances in Nutrition』に、チーズの摂取と健康との関係を幅広く調べた研究が発表さています。
約67万人のデータを分析!糖尿病の発症リスクは7%低下
この研究では、チーズ摂取と糖尿病について調べられた25件の研究を横断的に統合し、67万4,107人について分析し、この中では4万4,584人が糖尿病を発症しました。
チーズの摂取量が「最も多いグループ」と、「最も少ないグループ」を比較した結果、
・摂取量が多いグループでは糖尿病の発症リスクが約7%低いという関連が認められ、
統計的にも有意な結果でした。
つまり、チーズを多く食べる人では糖尿病を発症するリスクが低いことが立証されたのです。
さらに、研究グループは、チーズの摂取量と糖尿病発症リスクの変化するかについても分析していますが、
チーズをたくさん食べるほど糖尿病の発症リスクが下がるという関係は確認されませんでした。
「摂取量が多いグループでは発症リスクが低かった」という結果は得られましたが、「食べる量を増やすほどリスクが下がる」ということではないのです。
チーズを食べれば心血管疾患や脳卒中のリスクも下がる
さらに興味深い結果も得られています。
チーズの摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループと比較して、
- 心血管疾患の発症リスク: 約8%低い
- 冠動脈疾患の発症リスク: 約8%低い
- 脳卒中の発症リスク : 約7%低い
という関連も明らかになったのです。
チーズを食べると糖尿病のリスクが下がると言うだけでなく、心疾患のリスクも下げるということは非常に注目すべき結果です。
チーズやヨーグルトが糖尿病に良いとされる理由
チーズをはじめ乳製品には糖代謝に関係するさまざまな成分が含まれていますが、
チーズと同じ乳製品であるヨーグルトについても、糖尿病との関係を調べた研究が数多く報告されています。
ヨーグルトをよく食べる人では、2型糖尿病の発症リスクが低いという研究結果があります。
さらに2026年には、ヨーグルトを継続して食べることで、血糖値の変動や腸内細菌の状態が変化する可能性を示した日本の研究も発表されました。
ヨーグルトと血糖値の最新研究については、こちらの記事で紹介しています。
👉 ヨーグルトで血糖値が改善?明治の研究で分かった腸内細菌との関係
低GI食品であること:糖の吸収が穏やかで、食べた後の血糖値が急激に上がりにくい特徴があります。
腸内環境を整える:ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクス(善玉菌)が腸内バランスを良くし、血糖値のコントロールを助けます。
短鎖脂肪酸の働き:チーズなどに含まれる発酵由来の脂肪酸や短鎖脂肪酸が、
インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きをサポートします。
豊富なタンパク質と脂質:糖質単体に比べて胃腸での消化・吸収がゆっくり進むため、食後の血糖値の乱高下を防ぎます。
① 乳たんぱく質がインスリン分泌を助ける
乳たんぱく質の一種であるホエイには、GLP-1などの消化管ホルモンやインスリンの分泌を促す働きが報告されています。
胃から食べ物が送り出される速度にも影響し、食後の血糖値の上昇を抑える可能性があります。
ただし、主にホエイを使った研究の結果であり、チーズでも同じ効果が得られるとは限りません。
② ミネラルやビタミンDが糖代謝を支える
カルシウムやマグネシウムは、インスリンの分泌や働きに関係する栄養素です。
ビタミンDについても、糖代謝との関係が研究されています。
今回の2026年の研究では、チーズの摂取頻度とビタミンDの高値との関連も認められました。
ただし、チーズの種類によって栄養成分は異なり、これらの栄養素が今回の研究結果を生み出したと確認されたわけではありません。
③ 乳脂肪に含まれる特殊な脂肪酸
乳脂肪に含まれるトランスパルミトレイン酸などの脂肪酸と、糖尿病リスクの低さとの関連が報告されています。
インスリンの働きや炎症との関係も研究されていますが、具体的な仕組みについては、まだ研究が進められている段階です。
④ 発酵による腸内環境への影響
チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品では、発酵によって生まれる成分や微生物が注目されています。
腸内細菌が作る短鎖脂肪酸には、糖代謝やインスリンの働きに関係する可能性があります。
ただし、すべてのチーズに生きた乳酸菌が含まれているわけではありません。
乳酸菌や腸内細菌と糖尿病の関係については、ヨーグルトの記事でも紹介しています。
まとめ
チーズの摂取頻度が高い人ほど、糖尿病の有病率が低く、HbA1cが低く、ビタミンDの値が高いという関連が認められ、2023年の大規模研究でも、チーズの摂取量が多いグループで糖尿病の発症リスクが約7%低いという関連が報告されました。
今回の2026年の研究は横断解析であり、チーズを食べること自体による予防効果を検証したものではありません。
チーズは糖質が少なく、たんぱく質やカルシウムを含む食品です。
毎日の食生活の中で、種類や量を考えながら上手に取り入れたいですね。
参考文献
- 雪印メグミルク:チーズ摂取頻度と糖尿病有病率に関する研究発表(2026年9月16日)
- Associations of different cheese types with type 2 diabetes and glycemic biomarkers(2026)
- Cheese consumption and multiple health outcomes(2023)






