糖尿病の罹病10年で50%が糖尿病網膜症になる
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。
はじめに
糖尿病を患っているのであれば糖尿病網膜症はご存じですよね。
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
と供に、糖尿病の三大合併症の1つで、
糖尿病網膜症は失明にも至る怖い合併症です。
年間約3,000人もが糖尿病網膜症で失明しているのですが、
糖尿病の診断を受けてから10年後には50%が網膜症を患うというのです。
失明にいたる糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の中の網膜が障害を受け視力が低下する病気です。
糖尿病網膜症は、
- 糖尿病神経症
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
と糖尿病の三大合併症といわれるものの1つで、
網膜全体の血管が、糖尿病による高血糖に長期間さらされることにより血管壁が破れてしまうのです。
糖尿病網膜症は3段階を経て進行し、
- 初期では : 自覚症状はないが、網膜では小さな出血などがある
- 中期では : 目がかすむなどの症状があり、網膜では血管がつまるなどの障害がある
- 末期では : 視力低下や飛蚊症があり、網膜の出血、網膜剥離なども見られ失明に至る
最終的には失明にいたる場合も多いのです。
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糖尿病で10年後には50%が糖尿病網膜症に
厚生労働省糖尿病調査研究班による平成2年度の糖尿病合併症調査によると、
50~60歳代の糖尿病患者のうちの39%に相当する300万人糖尿病網膜症を併発していると推定されています。
国内での年間の失明者は約2 万人とされますが、糖尿病網膜症による失明者は年間3,000 人とも言われていますが、
50~60歳代では失明の原因の第一位が糖尿病網膜症なのです。
詳しく見る ⇒ 厚生労働省eヘルスネット
糖尿病の診断を受けてから10年後には50%が糖尿病網膜症に
日本糖尿病眼学会の「糖尿病網膜症診療ガイドライン」によれば、
日本人 2 型糖尿病患者 976 名を平均 8.3 年追跡したコホート研究では、
糖尿病網膜症の発症率は年3.98%であったというが、
成人糖尿病患者1,221 名
40~70 歳(平均年齢 58.2 歳)
平均罹病期間 9.8 年
HbA1c 値 8.2%)
を8年間追跡調査したところ、
糖尿病網膜症の発症率は年 3.83%であったと報告している。
詳しく見る ⇒ 糖尿病網膜症診療ガイドライン
一方、自由が丘清澤眼科の清澤源弘院長は、
糖尿病患者の5人に1人は、
最初に糖尿病と診断されたときに既に糖尿病網膜症を患っていて、
ほとんどの糖尿病患者は時間経過とともにある程度の網膜症を発症します
と述べています。
さらに、
糖尿病の最初の3~5年では視力を脅かす網膜症は希ですが、
糖尿病に10年以上罹患すると約50%に糖尿病網膜症がみられ、
20年以上では約80%に糖尿病網膜症に罹患する。
というのです。
慢性的に高血糖が持続すると、網膜の毛細血管が障害を受け、血栓ができて詰まったり、血管の一部が破れて出血したりと網膜症が進行します。
従って、
- 糖尿病の罹病期間
- 高血糖の程度
は糖尿病網膜症の発症と進行に最も強く影響するのです。
HbA1cが1%減少するごとに微小血管病変のリスクは35%減少する
という報告もあり、
糖尿病網膜症の予防は血糖コントロールが重要なのです。
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まとめ
年間約3,000人もが糖尿病網膜症で失明していますが、
糖尿病と診断されたときに既に5人に1人が糖尿病網膜症になっており、
糖尿病の診断を受けてから10年後には50%が糖尿病網膜症に陥っているそうです。
糖尿病網膜症が進行して、レーザー光凝固療法などでの有効な治療も進んでおり、
糖尿病と診断されたら年に一度は眼科検診を受けることをお勧めします。
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