20秒話すだけで糖尿病が分かる?AIが「声」から糖尿病リスクを判定

製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。

はじめに

「20秒ほど話すだけで、糖尿病のリスクが分かる」、、そんな検査が実現するかもしれません。

現在、糖尿病の診断には血糖値やHbA1cなどの血液検査が使われています。

ところが、人の「声」をAIで分析することで、2型糖尿病のリスクを判定できる可能性が最新の研究で報告されました。

スマートフォンや電話に話しかけるだけで、糖尿病のリスクが分かるようになるというのです。

20秒の音声から糖尿病のリスクが判定できる

9月28日にイタリアのミラノで開催された欧州糖尿病学会で、英国の医療AI企業の研究グループは、「20秒の音声記録による2型糖尿病の検出:大規模検証研究」という研究成果を発表しました。

研究チームは、英国と米国の2万1,129人から集めた6万3,283件の音声データを使い、20秒の音声記録から糖尿病のリスクを判定するAIモデルを開発し、2型糖尿病のリスクを判別できるかを検証しました。

その結果、音声AIには2型糖尿病のリスクが高い人を識別する能力が認められ、さらに、音声AIによって低リスク・中リスク・高リスクと判定された人の中から801人を選び、採血してHbA1cを測定して比較したところ、音声AIは該当する人の82%を高リスクとして拾い上げていることが分かりました。

研究チームは、音声AIで糖尿病の可能性がある人をスクリーニングし、その後の血液検査につなげるという有用性を想定しています。

糖尿病患者では声が変わる

糖尿病では、声帯・喉頭筋・それを制御する神経系への影響によって、声に微細な変化が生じている可能性があるとされているのですが、糖尿病患者の声の変化については、2023年にカナダの研究チームも報告しています。

研究では、267人を対象に、スマートフォンで、決められたフレーズを、1日に最大6回、2週間にわたって、録音されました。

1万8,465件にのぼる音声データを、声の高さや強さ、声の微細な揺らぎなど14種類の音響的特徴を解析しました。

その結果、2型糖尿病の人と糖尿病ではない人の声には、複数の特徴に違いが認められ、声の特徴に年齢やBMIなどを組み合わせた解析では、女性89%、男性86%の精度で2型糖尿病を判別できたとしています。

まとめ

AIと音声解析技術(声のバイオマーカー)を組み合わせた革新的な医療スクリーニング技術の開発が世界的に注目を集めています。

現在、糖尿病の検査では採血による空腹時血糖値やHbA1cの測定が必要であるため、病院やクリニックでの健康診断を受けることが不可欠ですが、近い将来、スマホでの会話で糖尿病のリスクを調べ、リスクが高い人は血液検査を受けるというスクリーニング方法が実現する可能性も高いようです。

参考情報