糖尿病が遺伝しているか遺伝子検査で分かるのか?
アンジェリーナ・ジョリーが「遺伝子検査」で乳癌になるリスクが高いことが分かったとして、両乳房を切除したことは大きな反響を呼びました。
では、 糖尿病は遺伝するのでしょうか?
自分が糖尿病になるかどうかを調べることができるのでしょうか?
糖尿病は遺伝するのか?
私の家内の家系は糖尿病の家系のようです、、、
- 父は糖尿病と高血圧で心筋梗塞、脳梗塞を起こして死亡
- 長兄は糖尿病で加療中(肥満体)
- 次兄は糖尿病で加療中(肥満体)
- 弟は肥満体で糖尿病予備軍
そんな家系の中の妻ですから、糖尿病が心配なのです。
家内の家系を見る限り、
家内も糖尿病になってもおかしくないのですが、
私はやせ型で肥満はイヤなので食べ過ぎには気を遣っていますから、家内も肥満体にならず糖尿病からも逃れています。
日本人に多い2型糖尿病の場合は、遺伝するのは「糖尿病になりやすい体質」のようです。
糖尿病になりやすい体質は遺伝する
体質は、太りやすい、剥げやすい、、などの容姿などを含めた、
「その人らしさ」は遺伝子のバリエーションによって決まるといわれています。
遺伝子は、
- A (アデニン)
- C (シトシン)
- T (チミン)
- G (グアニン)
のたった4つの塩基の配列によって作られているのです。
個人、個人の遺伝子を比較すると、遺伝子の配列は大変似ているのです。
しかし、
数百個に1個位の割合で、A(アデニン)のある場所がG(グアニン)だったりするような排列の場所があり、これが遺伝子の遺伝子のバリエーションで、遺伝子多型 (SNP:single nucleotide polymorphism) と呼ばれているのです。
SNPは一人につき300万から1000万個あると考えられ、ある遺伝子の特定のSNPが特定の疾患と関連しているときに、その遺伝子はその疾患の感受性遺伝子と呼ばれます。
われわれは、糖尿病にかかりやすいタイプか、かかりにくいタイプかのいずれかのSNPを持っており、親から子に遺伝するのですが、糖尿病の発症は1個のSNPによっては決まらないので、糖尿病そのものが遺伝することはないと考えられているのです。
Sponsored Link
遺伝子検査で何が分かるのか
少し難しかったでしょうか、、、 。
私の家内の家系では、両親と子供6人中4人が糖尿病を発症していますので、家内も「糖尿病になりやすい体質」であることは明らかなのです。
遺伝子検査では、「糖尿病になりやすい体質を受け継いでいるか否」が分かるのです。
病院の糖尿病の問診票や、糖尿病に関する本の自己診断の第一の項目に、 『あなたの両親や兄弟で糖尿病の方はいますか?』 という項目があるのはこのような理由があるのです。
糖尿病遺伝子検査とは
2型糖尿病の感受性遺伝子のSNPを調べることは可能です。
しかし現時点では、
何種類の遺伝子のSNPが糖尿病の発症に関与しているか
が明確になっていません。
ですから、一般の医院における糖尿病の診療では2型糖尿病感受性遺伝子のSNP検査は行われていないのが現状です。
しかし、
個人で糖尿病の遺伝子診断を受けることは可能です。
GeneLife ZEROでは、
糖尿病も含め、脳梗塞、心筋梗塞、2型糖尿病、胆石、尿路結石症、腰痛、痛風、不眠症、円形脱毛症、花粉症、緑内障、アトピー性皮膚炎、貧血傾向、十二指腸潰瘍、アルコール、ニコチン依存症、過食症、長寿・寿命、
など52項目についての遺伝子診断を行っています。
しかし、興味本位で受けてみるにしては非常に高価ですし、
専門書を見ても、
現時点でのGeneLife ZEROが検査できるとしている52疾患におけるSNP診断の確率は低いようです。
Sponsored Link
アジア人は糖尿病になりやすい
個人レベルの遺伝ではなく、民族レベルでの糖尿病の遺伝はどうなのでしょうか?
2014年時点の日本の糖尿病患者は721万人で、世界ランキングでは2013年と同じ第10位でした。
世界で最も糖尿病患者数が多いのは
- 第1位 : 中国 9,629万人
- 第2位 : インド 6,685万人
- 第3位 : アメリカ 2,578万人
地域別では、日本を含む西太平洋地域での患者数が最も多くて1億3800万人もいるのです。
アジア人は遺伝的に糖尿病のリスク因子を持っており、
アジア人はインスリン分泌能力が西洋人よりも低いことが判明しています。
脂肪の貯蔵のメカニズムも西洋人と異なり、
アジア人は糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるとされている内臓脂肪が付きやすい体質なのです(西洋人では体脂肪よりも皮下脂肪が付きやすい)。
西洋人と日本人のBMIを比べると、西洋人では30前後(米国32.3、英国29.4)ですが、日本人は23.1だといわれています。
ですから、日本を含めアジア人では、少し太るだけで糖尿病のリスクがグンと高くなってしまうのだそうです。
環境要因を排除することが大事
お分かりただけたように、
糖尿病の「体質的なかかりやすさ」は遺伝する
ようです。
あなたの親、兄弟、そして祖父母に糖尿病の方がいたら、「糖尿病にかかりやすい体質を受け継いでいる」と考えた方が良いでしょう。
詳しく見る ⇒ 糖尿病は遺伝子診断でわかるのか?
糖尿病は生活習慣病
しかし、家内は糖尿病にはなっていません。
なぜでしょう?
糖尿病体質であっても、肥満、高脂血症などの要因が加わらなければ発症しないのです。
もう少し分かりやすくいえば、
- A型の父親とA型の母親の子供の血液型はA型です
- 肥満体の父親と肥満体の母親の子供は肥満体とは限りません
血液型は遺伝で決まりますが、
肥満は「環境因子」で決まるのです。
肥満体の父親と肥満体の母親から生まれた子供でも食生活を管理すれば肥満体にはなりません。
糖尿病の環境因子は生活習慣で、その最も重要な因子が、「肥満」です。
食生活を管理して肥満を防げば、
あなたが「糖尿病体質」を受け継いでいたとしても糖尿病にはなりません。
関連記事(一部広告を含む)