照ノ富士の糖尿病はどれほど重症?悪化と復活の理由を解説

2025年1月に現役を引退し、現在は伊勢ヶ濱親方として後進の指導にあたっている元横綱・照ノ富士。
照ノ富士の糖尿病は、現役力士としてはかなり重症の部類に入る状態でした。

実際に大関から序二段まで転落するほど体調が悪化しており、その背景には膝のケガだけでなく糖尿病の影響も大きく関係していました。

しかしその後、生活習慣の見直しによって状態を改善し、横綱にまで復活を果たしています。

つまり照ノ富士のケースは、「糖尿病でも改善できるが、油断すると一気に悪化する」という典型例でもあるのです。

この記事では、

  • 照ノ富士の糖尿病はどれほど重症だったのか
  • なぜ悪化したのか
  • なぜ復活できたのか
  • 糖尿病の本当のリスク

について、分かりやすく解説します。

※本記事は、製薬会社で20年以上糖尿病治療薬の研究開発に携わってきた筆者が、科学的根拠に基づいて解説しています。

照ノ富士の糖尿病はどれほど重症だったのか

照ノ富士は大関から序二段まで転落するという、極めて異例の経歴をたどっています。
その背景には、

  • 糖尿病
  • C型肝炎
  • 両膝の手術
  • 腎臓結石

といった複数の病気がありました。
特に糖尿病は体重管理や回復力に大きく影響し、照ノ富士の相撲人生を大きく左右する要因となっていたのです。
自身も、「糖尿病の悪化で死ぬんだろうな」と感じるほどの苦痛を抱えながら土俵に上がり続けていたと述べています。

照ノ富士の糖尿病はいつ発症したのか(過去)

照ノ富士に糖尿病の症状が出はじめたのは、2017年末頃で26歳の時だったと言われます。
2015年夏に大関昇進 (1度目)を果たしたものの、2017年秋場所では左膝半月板損傷で大関から陥落した頃で、2018年には「糖尿病で1週間の療養が必要」と診断され、休場に至っています。

当時は、

  • 膝の故障による稽古不足(運動不足)
  • 大関陥落、幕内陥落という不安(ストレス)
  • 貴ノ岩暴行事件の余波(ストレス)
  • 永谷園のCM撮影(カロリーオーバー)

などが重なり、血糖コントロールが悪化していと言われています。

当時、NHKの相撲解説者を務めた北の富士勝昭も「稽古ができない状態で食事を取ると糖尿病になる」と指摘しています。

力士は肥満なのに糖尿病になりにくい、といわれていますが、1日に7,000〜8,000kcalと成人女性の4倍もの食事を摂取するため、運動量が落ちると血糖値が急激に上がるリスクがあるのです。

照ノ富士の糖尿病はなぜ悪化したのか

照ノ富士は、両膝の慢性的な負傷に加え、持病の糖尿病が悪化し、2023年から2024年にかけて長期休場を繰り返し、休場は12度目を超えました。
照ノ富士の糖尿病が悪化した最大の理由は、

  • 急激な体重増加
  • 運動量の低下

という、膝の負担を減らすための減量と、復帰に向けた増量の繰り返しが糖尿病を悪化させた原因とされています。

2023年に両膝の手術と糖尿病の悪化で4場所連続休場した際には、膝への負担を減らすため20kg以上減量、禁酒を守ったことで糖尿病は改善の兆しが見えたそうですが、再出場に備えて体重を急に増やしたところ糖尿病が悪化したと語っています。

つまり、

  • 減量 → 糖尿病改善
  • 急激な増量 → 糖尿病悪化

という典型的なパターンだったのです。

なぜ照ノ富士は復活できたのか

序二段まで落ちた照ノ富士は、横綱まで奇跡の復活を果たしたのですが、その背景には、

  • 糖尿病などの治療に専念(食事療法と入院)
  • 膝への負担軽減( 筋力トレーニングの強化)

があったのです。

糖尿病の照ノ富士

糖尿病の改善については、

  1. 激しい減量と体重管理(10〜20kg以上の減量)
  2. 食事内容の見直し
  3. インスリン治療などの薬物療法

により、「寛解(かんかい)」に近い状態を維持できたということです。
糖尿病は完治することはできませんが、食事療法、運動療法、薬物療法などによって通常に近い状態を維持できる(寛解)ようになるのです。
これは糖尿病が、適切な生活習慣によって改善可能な病気であることを示しています。

照ノ富士から分かる「糖尿病が悪化する条件」

相撲力士は太っているにもかかわらず糖尿病になりにくいといわれますが、👉 どうして相撲力士は糖尿病になりにくいのか、それは筋肉量が多く、運動量が多いためです。
かつての、現役力士の糖尿病罹患率は「数値ギリギリ」の力士も含めて10~12%だったといいます。
しかし、食事量はそのままで稽古不足になると一気にリスクが高まり、現役を引退した元力士は糖尿病になる危険が大きいのです。
つまり、食事と運動のバランスが崩れた瞬間に糖尿病に一気に傾くということです。

あなたが食べている量は、あなたの必要量をオーバーしていませんか?

  • 摂取 = 消費:体重が維持される、健康的な適正体重の維持
  • 摂取 > 消費:エネルギー過多となり、肥満や糖尿病のリスクが上昇
  • 摂取 < 消費:エネルギー不足となり、体重が減るり低栄養のリスク

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、このエネルギー収支バランスが保たれているかを確認する最も客観的な指標として、BMI(体格指数)を採用しています。
定期的に体重やBMIをチェックすることで、自分の食べる量と消費量のバランスが丁度いいかを知ることができます。

糖尿病の本当のリスクは糖尿病合併症

糖尿病は血糖値が高いだけの病気ではありません。
高血糖状態が持続すると、

  1. 神経障害 → 下肢切断
  2. 腎症 → 人工透析
  3. 網膜症 → 失明

といった重篤な合併症を引き起こすのです。

グルコーススパイクは糖尿病合併症の原因

最悪の場合は足の切断に至り、年間1万人以上が下肢の切断に至っています。👉 糖尿病で足切断に至る確率は

糖尿病を防ぐためには、血糖値を上げすぎない生活が重要ですが、特に食後高血糖といわれるグルコーススパイクを抑えることが必要です。

食後高血糖グルコーススパイク

グルコーススパイクは食後の血糖値の急上昇ですが、👉 グルコーススパイクは健康診断でも分からないといわれていますが、食後高血糖が続くと血管壁が損傷され、糖尿病合併症が急加速するのです。

グルコーススパイクは糖尿病ドミノをすすめる

そのためには、

  1. 食べ物の工夫(炭水化物の調整) 👉 食べ物でグルコーススパイクを抑える
  2. 食べ方の工夫(糖の吸収をゆっくりにする) 👉 食べ方でグルコーススパイクを抑える
  3. 糖の消費を早める(食後の運動) 👉 運動はグルコーススパイクを抑える

ことが重要なのです。

まとめ

照ノ富士の糖尿病は、

  • 運動不足
  • 急激な体重の増減

によって悪化しましたが、

  1. 食事の改善
  2. 体重の管理
  3. 食べ方の工夫

によって横綱に復活することができたのです。

糖尿病は生活習慣病といわれ、食事習慣や運動習慣で悪化も改善もする病気なのです。
照ノ富士のケースは、「運動量が落ちた状態で食事量が多いと糖尿病は一気に悪化する」という典型例でもあります。

糖尿病の食事療法については 👉 「糖尿病治療で食事療法が最も重要な理由」で解説しています。

最終更新日:2026年4月 初掲載日:2023年4月