製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
1日のうち食事をする時間を8時間以内にして、残りの16時間は食べない「8時間ダイエット」。
医学的には「時間制限食(Time-Restricted Eating:TRE)」とも呼ばれ、肥満や糖尿病を対象とした多くの研究が行われています。
このサイトでも、2型糖尿病患者が8時間ダイエットを6カ月間行った研究を紹介しました。
👉 8時間ダイエットは本当に痩せる?16時間断食と糖尿病への効果
これまでの研究は主に2型糖尿病を対象としたものでした。
今回、1型糖尿病の人が8時間ダイエットを6カ月間行った研究が発表されましたのでご紹介しましょう。
#糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、当ブログについて等に記載しているように、本サイトでは主に2型糖尿病に関する情報を扱っており、特に区別が必要な場合を除き、「2型糖尿病」を「糖尿病」と表記していますが、今日は1型糖尿病についての情報です。
1型糖尿病患者で8時間ダイエットを6カ月間実施したら
米国の研究グループは、「過体重または肥満のある成人1型糖尿病患者」を対象に、8時間の時間制限食(以下、8時間ダイエット)の効果と安全性を調べました。
研究には32人の過体重または肥満のある成人1型糖尿病患者が参加し、
- 8時間ダイエット(食事内容の制限無し)
- 1日の摂取カロリーを25%減らすカロリー制限
- 食事の内容や時間に制限無し
の3つのグループに分け、6ヵ月間比較しました。
8時間ダイエットのグループでは、カロリー制限は行いませんが、食事をしてよい時間を、正午~午後8時までの8時間に限定し、それ以外の16時間には食事をしないという方法です。
これは、このサイトで以前から紹介している「8時間ダイエット」と基本的に同じ方法です。
8時間ダイエットでは体重が2.19%減少した
研究で最初に調べられたのは体重の変化です。
6カ月後の体重変化率は、
・8時間ダイエット群 : 2.19%減少
・カロリー制限群 : 0.47%減少
でした。
8時間ダイエット群では、摂取カロリーを制限しませんでしたが、食事をする時間を正午から午後8時までの8時間に限定しただけで、カロリー制限群よりも体重の減少が大きかったのです。
8時間ダイエットではHbA1cもカロリー制限より改善した
今回の研究でもう一つ注目されたのがHbA1cです。
8時間ダイエット群とカロリー制限群のHbA1cを比較すると、その差は0.46%でしたが、
8時間ダイエット群のHbA1cはカロリー制限群より有意に低く、
カロリー制限群では1日の摂取カロリーを25%減らしたのですが、食べる時間を8時間に制限しただけの8時間ダイエット群ではよりHbA1cの改善が認められたのです。
8時間ダイエットでは低血糖などの副作用も無かった
1型糖尿病の人が16時間食べないと気になるのが低血糖などの副作用です。
今回の研究では安全性についても調べられました。
その結果、8時間ダイエット群では、
・糖尿病性ケトアシドーシス
・重度の低血糖
・重度の高血糖
などの、絶食による副作用は全く見られなかったのです。
8時間ダイエットでは何を食べても良いのか?
8時間ダイエットの特徴の一つは、食事内容の制限をしないことです。
今回の研究でも、時間制限食グループには摂取カロリーの計算を求めず、「正午から午後8時までに食事をする」という時間だけを制限する方法がとられました。
8時間ダイエットの方法や、これまでに行われた糖尿病患者の研究についてはこちらの記事にまとめていますが、
👉 8時間ダイエットは本当に痩せる?16時間断食と糖尿病への効果
方法はシンプルで、
・食べる時間を8時間に制限し食べ物の種類や量は自由
・のこりの16時間では原則としてカロリーのない水分補給のみ
というものです。
TVの番組で「8時間ダイエットでは何を食べても太らないのか?」という挑戦もおこなわれましたが、常識のある方はこんなことはしないでしょう。
【自己判断での8時間ダイエットは要注意】
研究グループは、「時間制限食が1型糖尿病患者の血糖管理において、安全かつ効果的な方法となる可能性を示す結果が得られたが、
食習慣を変えようとする場合には、内分泌専門医などの医療従事者と連携しながら取り組むことが重要だ」と述べています。
#2型糖尿病で血糖低下薬を服用している方も低血糖になる危険がありますから、8時間ダイエットをする場合には主治医と相談することをお薦めします
まとめ
8時間ダイエットについては2型糖尿病の患者を対象に研究でも有効性が示されていますが、過体重または肥満のある1型糖尿病患者での有効性も確認されました。
国内でも多くの人が挑戦し、ダイエット効果が得られたと報告しています。
最近は、2型糖尿病治療薬を痩身目的での使用する方法などもブームになっているようですが、「適応外使用」本来の治療目的ではない使用で、危険なリスクを伴うこともあるので避けるべきです。
最終更新日:2026年9月








