超加工品は肥満のリスクを上げる

製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。

はじめに

「植物由来の食品なら健康に良い」そう考えている人は多いのではないでしょうか。

最近人気なのが、植物由来の「豆腐バー」や「大豆バー」。

ある会社の「豆腐バー」は累計売上げ1億本を突破し、ある食品会社の「豆腐バー」は売上げ高を15億円押し上げたそうです。

ところが、
「超加工食品を多く摂取している人では肥満につながるリスクが高くなる」
との研究結果が発表されています。

加工度が高い超加工品とはどんな食品なのか?

超加工品(超加工食品:UPF:Ultra-Processed Food)とは、工業的に作られたきわめて加工度の高い食品のことです。

食品は、未加工~超加工まで4段階に分類されますが、超加工品は最も加工度が高い食品群のことで、
一般家庭では使われないような、抽出・精製された原材料に、成分着色料・香料・乳化剤・保存料などの添加物が数多く含まれているのが特徴です。

超加工食品は肥満のリスクを上げる

しかし、超加工品とは、
・安さ
・利便性
・美味しさ
・長期間の保存性
などから、私たちの食生活に深く浸透しているのが現状です。

植物由来の超加工品とは具体的にどんな食べ物?

「野菜や植物がベースだからヘルシー」そうに見える植物由来の超加工品ですが、実際は工業的に高度な抽出・精製・合成プロセスを経て作られた加工度の高い食品で、下記のようなものがあります。

植物由来の代替肉
大豆や小麦からタンパク質を抽出し、本物の肉に似せるために結着剤、着色料、植物油、香料などを大量に混ぜ合わせて作られた大豆ミートやフェイクミート

植物由来の代替チーズ・乳製品
植物油脂やでんぷん分解物、大豆成分などをベースに安定剤、pH調整剤、人工香料などを工業的に配合したもの

濃縮還元ジュース・野菜ジュース
一度濃縮した後に水や砂糖、香料、酸味料などを加えて元に戻したもの

砂糖・人工甘味料たっぷりの朝食用シリアル
トウモロコシや小麦などの穀物を精製し、大量の砂糖、果糖ブドウ糖液糖、植物油、着色料などで味付けして工場で大量生産されたもの

植物性・ヴィーガン向けの市販スナックや菓子
ポテトチップス、植物性バターを多用したビスケット、クッキー、ヴィーガンケーキ

ドレッシングやスープ類
野菜ベースでも、植物油、異性化糖、乳化剤、調味料が多分に含まれている調味料やインスタントスープ

超加工品の具体的種類
超加工品の種類

・大豆ミートハンバーグ、植物性バーガーパティ
・大豆から作ったから揚げ、植物性チキンナゲット
・クッキーやケーキ
・豆乳で作ったシュレッドチーズ(とろけるタイプ)、植物性スライスチーズ
・マーガリン全般

家ではそれらを食べないという方でも、ファミレス、ファストフード店、コンビニ弁当、などで知らずのうちに食べていると思われます。

🔎【超加工品を見分けるワンポイントアドバイス】
パッケージの原材料表示に「5種類以上の成分」、「家庭では馴染みのない添加物の名前」がズラリと並んでいるものは、おおよそ超加工品だと見抜くことができます。

植物由来でも「超加工品」を多く食べる人では肥満のリスクが高い

2026年7月、イギリスの研究グループは、

植物由来でも超加工食品の摂取量が増えると肥満リスクが上昇する

The association of plant or animal food origin and processing level with BMI and waist circumference: a prospective cohort study of the UK Biobank.

との研究論文を発表しました。

詳しく見る⇒ 原著論文(PMC)

研究グループは、
・40~69歳の17,374人を対象に、
・食事内容
・BMI、腹囲の変化
・平均5.3年間
追跡調査したのです。

食事内容は、
・植物由来か動物由来か
・加工度
によって分類しました。

植物由来の超加工品を食べる量が多いと肥満リスクが上昇

追跡期間中にBMIが5%以上増加した人は2,477人、腹囲が5%以上増加した人は4,567人でしたが、

超加工品とBMI、腹囲との関係を調べた結果、
・植物由来の超加工食品の摂取量が増えるほどBMIが増加するリスクが高くなる
・植物由来の超加工品の摂取量が増えるほど腹囲が増加するリスクが高くなる

超加工品の摂りすぎは肥満のリスクを上げた

という結果が得られたのです。

植物由来の非加工品を多く食べる人では肥満のリスクが下がる

そして、
植物由来の未加工食品を多く食べる人では、
・摂取する量が多くなる毎にBMIの増加するリスクが減少する
・摂取する量が多くなる毎に腹囲の増加するリスクが低くなった
ということで、
植物由来の超加工食品の摂取が多かった人が非加工品に替えた場合でもBMIや腹囲の増加するリスクが低下することが明らかになりました。

超加工品の割合を少なくしたら肥満のリスクが下がった

👉 糖尿病と肥満の関係について詳しくはこちら

なぜ「植物由来の超加工食品」はヘルシーに見えるのにリスクがあるのか?

超加工品を販売する食品会社では、「ヘルシー」や「健康」をマーケティングに利用しているケースが多いため、“植物性=体に良い”というイメージを持っている人は多いでしょう。

しかし、摂りすぎは良くなさそうなのです。

植物由来なのにどうして?

研究グループは、超加工品は製造工場で高度な加工を受けるので、

①余計なものが足されている
例えば、植物由来の代替肉やチーズでは、味や見た目、食感を「本物の肉やチーズ」に近づけるために、大量の塩分、精製植物油、添加物が投入されているためだとしています。

②大切な栄養が消えている
植物が本来持っている食物繊維や抗酸化物質(ファイトケミカル)やビタミンなどが製造過程で削ぎ落とされてしまっているようなのです。

植物性食品のメリット

植物性食品の大きなメリットは、

①カロリーが少ない
②植物繊維やビタミンが豊富
ということですが、
「食べやすくする」「吸収しやすくする」という加工によって、栄養素が失われたり、エネルギー摂取量が増加しているのではないかと推察されているのです。

このサイトでも「りんごとりんごジュースのどちらが体に良いか」という記事を紹介したことがありますが、同じようなことなのです。

フルーツジュースはGI値低い
りんごジュースとりんごのどちらが体に良いのか

超加工品との上手な付き合い方

今の時代において、超加工品の摂取を「ゼロ」にすることは極めて困難だと思われます。
そこで、
頼りすぎずに見極める
菓子パンならおにぎりに替える
クッキーならせんべいに替える
といつも超加工品に頼らずに、原材料表示を見てシンプルな植物性食品を選ぶ

プラス1品で補う
カップ麺や菓子パンを食べる時は、生野菜サラダ、カットフルーツなどをプラスして超加工品で不足する食物繊維やビタミンを補う

未加工の食品をベースに
外食やテイクアウトにばかり頼らず、自炊の割合を少し増やしたり、
おやつをナッツや果物に変えるだけでも超加工品の割合を減らすことができるのです。

👉 血糖値を上げにくい食べ物の選び方はこちら

まとめ

超加工食品は、安く手軽に食べられること、常温でも保存が利くことなど、現代の食生活では欠かすことが出来ない食品になっています。

しかし、今回の研究では、植物由来であっても超加工品の摂りすぎは、糖尿病など生活習慣病の元となる肥満のリスクを高めることが明らかになりました。

研究チームは、植物由来だとして販売されているものを含めて超加工品を減らすことを提言していますが、現在の生活で超加工品を「ゼロ」にすることは極めて困難ですから、

排除するのではなく「頼りすぎないバランス」が重要なのです。

最終更新日:2026年9月