スローカロリー食品は糖尿病に良い

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

女性の間で、「スローカロリー・ダイエット」が流行っていますが、

スローカロリーは糖尿病にも良い食事法なのです。

今、注目を集めている「スローカロリー」とはどんな食べ物なのでしょうか?

 

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スローカロリーとは

スローカロリーとは、糖質が小腸でゆっくり消化され吸収される状態のことを意味し、カロリーが少ない、ということとはちょっと意味が異なります。

糖尿病の食事療法では、糖質の量にばかり気をとられがちですが、

  糖質の量だけでなく、糖質の質や食べ方にも配慮し健康を保ちましょう

というのがスローカロリーの考え方で、

 

 スローカロリー ⇒ ゆっくり消化吸収をされる糖質の摂り方

を意味しており、単に食品を指すものではありません。

 

2015年2月に、「スローカロリー」を提唱し広く広める目的から「スローカロリー研究会」が発足しました。

 詳しく見る ⇒ スローカロリー研究会

 

糖質の質や食べ方に注意を払う

メタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病を予防するためにカロリー制限が注目され、現在でも日本糖尿病学会では糖尿病の食事療法ではカロリー制限を主体としています(ちょっと遅れているのですね、、、)。

しかし、摂取カロリーの制限だけでは生活習慣病はなくならないことから、米国糖尿病学会では2013年にカロリー制限食から糖質制限なども認容する食事療法に変更されています。 

(詳しく見る ⇒ 米国糖尿病学会の食事療法

 

国内でも、

  • 糖質ゼロ
  • 炭水化物ゼロ

などと、単に糖質を摂らないことが良いことだと推奨する考え方もあるのですが、

糖質は身体にとって大切な栄養素の一つで、摂りすぎはいけませんが、全く摂らなければ良いというものでは有りません。

 

実際に、「完全糖質ゼロ」では、白米、うどん、パンなど、血糖値を上げる糖質を全く摂らない食事法ですが、2日や3日などであれば実行できますが、日本人である私達が、「今後一切白米を食べない」ということを実行することは不可能に近いことです。

 

スローカロリーでは、

  1. 摂取する糖質の種類
  2. 糖質の摂取の仕方

などをも考慮して健康的に糖質を摂取しようという考え方なのです。

 

スローカロリーにおける3つのポイント

スローカロリーでは3つのポイントが有ります。

  1. 食べる順番を考える
  2. 良く噛んでゆっくり食べる
  3. ゆっくり消化吸収される糖質食品を食べる

 

食べる順番を考える

このサイトでも、食事の時には食べる順番が大事だということを何回もお話ししました。

白米や食パンのような糖質を最初に食べてしまウト血糖値が急上昇してしまいます。そこで、食物繊維が多い、野菜、海草、キノコ類などを最初に食べることが重要です。

つづいて、蛋白質の肉や野菜などのおかずを摂り、その合間に糖質であるご飯やパン、麺などを摂るようにしてください。

「ベジタブルファースト」これが鉄則です。

 

良く噛んでゆっくり食べる

早食いはいけません。

早食いをすると、「満腹になった」という信号が満腹中枢に伝わる前にたくさん食べてしまい、食べすぎになりがちです。ゆっくりとよく噛むと、満腹中枢に信号が伝わり、少量でも満腹感が得ら、食べすぎを防ぐことが出来ます。

また、咀嚼回数が増えると血糖値の急上昇を抑えるホルモンの分泌も良くなるといわれており、過剰なインスリン分泌を抑制することができます。

 

ゆっくり消化吸収される糖質食品を食べる

白米や精製された小麦で作られたパンなどは消化吸収が早く、食後血糖値を急上昇させます。

玄米や全粒粉で作ったパン、大麦、雑穀などの食物繊維が多い食物を摂ることも重要です。

 

スローカロリーな食生活では、血糖値の上がり方のみを気にして、糖質の摂取を大幅に減らしたり、GI値のみを考えて食品を選ぶのではなく、消化吸収速度を考えて食品を選ぶことが重要なのです

 


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スローカロリーとGI値の違い

誰でも食事で炭水化物(糖質)を摂取すると、血糖値が上昇します。

これは炭水化物がブドウ糖に分解されて小腸から吸収されて血液中に入ったからで、これは食後高血糖といわれるものです。

しかし、摂食後に血糖値が上がるまでの時間や上がる度合いは、摂取する糖質の種類によって異なります。

GI値((Glycemic Index;グライセミックインデックス)は、糖質摂取後2時間までに血中に入る糖質の量を、ブドウ糖を摂ったときを100として相対的な数字で表したものです。

 詳しく見る ⇒ 糖尿病の血糖値はGI値の影響が大きい

 

GI値が低くスローカロリーの食品は糖尿病の食後血糖値を上げない

GI値が低い(小さい)ほど食後に血液中に吸収される量が少なく、急激な食後血糖の上昇がないことから、インスリンの分泌量を抑えられ、糖尿病ではGI値が60以下の食品を摂ることが薦められています。

一方、スローカロリーとは、体内でゆっくり吸収される食べ物のエネルギーを意味するのですから、GI値が低い食物が相当します。

 

スローカロリーな食品とは

スローカロリー研究会が推奨しているスローカロリー食品の1つは、パラチノースです。

精製された糖は吸収速度が速いのですが、パラチノースは、精製された糖であるのにもかかわらず、ゆっくり吸収されるのです。

大部分の糖質は小腸に届く前に消化吸収されて血糖値が早く上昇してしまうのですが、パラチノースは小腸まで届き、時間をかけて吸収されるので満腹感が得られやすい糖質だからで、小腸の末端まで糖質が届くことによってGLP-1という消化管ホルモンが分泌され血糖値を下げる効果も期待出来るのです。

 

GLP-1は肥満を抑制する効果があり、食欲を抑制し、胃の運動を抑制して食行動を抑えることから、血糖上昇が少ないだけでなく、内臓脂肪を減らし肥満になりにくいということも分かっています

スローカロリー研究会の賛助会委員である三井製糖は、パラチノースを使った「スローカロリーシュガー」を発売しており、井村屋も「スポーツようかんプラス」を、そしてスポーツドリンクやプロテイン食品など多くの製品が商品化されています。

 

糖尿病の食事療法に有利なスローカロリーの食品


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スローカロリーは糖尿病に良い

糖尿病の食事療法というと、カロリー制限や糖質制限だと思ってしまいますが、量だけではなく、

  • 質を選ぶ
  • 食べ方を考える

ということがスローかろり-の考え方だということをお分かりいただけたと思います

スローカロリー研究会では、スローカロリーが糖尿病にどのような効果を与えるかを詳しく説明しています。

糖尿病の食事療法に有効なスローカロリー食品の効果

スローカロリーはうつ病を予防する

糖尿病ではうつ病を併発する場合が非常に多いのです。糖尿病のヒトの30%はうつ病の症状があるともいわれています。

 詳しく見る ⇒ 糖尿病のヒトはうつ病になりやすい

 

糖尿病のうつはスローカロリー食品で予防できる

 

コロンビア大学の研究グループは、白米や精製された小麦粉を使ったパンなど、精製した炭水化物によるGI値の高い食事を摂ることにより、うつ病のリスクが高くなると発表しています。

 詳しく見る ⇒ American Journal of Clinical Nutrition(英文)

 

研究では、GI値の大きい食事を摂ったグループは、GI値が最小の食事を摂ったグループに比べて、うつ病発症リスクが22%も高く、食事に添加された糖分の摂取量が最も多かったグループでのうつ病発症リスクは23%も高かったそうです。

GI値の高い食事とうつ病発症の因果関係が完全に解明されてはいないものの、生活習慣病の予防とうつ病の発症を抑制するという意味でも、低GIの食事を中心にしたスローカロリーの糖質を選んで摂取したいものです。

 

スローカロリーはスポーツにも良い

スポーツでは糖質のエネルギー補給が不可欠ですがスローカロリーがスポーツにも良い影響を与えることが明らかになっています。

スローカロリーでは、糖質の吸収がゆっくりと、長い時間かけて糖質が供給されるので運動中にエネルギー不足を起こさないという利点があるのです。

ジョギング、マラソン、登山など、長時間の運動でエネルギー補給においてはスローカロリーが有利なのです。

 

 

糖尿病の食事療法では、

  1. 糖質の量
  2. 糖質の質
  3. 糖質の摂り方

が非常に重要なのです。

 

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