「薬を飲んでいるから大丈夫」だと思っていませんか?
血糖値がやや高いといわれたあなたは、
「症状がないから大丈夫」だと思っていませんか?
糖尿病治療の基本は食事療法なのです。
自覚症状がなくても血糖値が高ければ合併症はドンドン進んでいくのです。

糖尿病は生活習慣病ですから、食習慣の見直しは絶対に必要なことなのです
【この記事からわかること】
・糖尿病は生活習慣病だから食習慣の見直しは必須
・食事療法では食後高血糖を抑えること
・食事療法を守れば合併症を回避できる
※本記事は20年以上にわたり糖尿病治療薬の研究開発に携わってきた医学博士けんぞうが、科学的根拠と実測データに基づいて解説しています。
食事療法は糖尿病治療の基本です
糖尿病は生活習慣病ですから食生活習慣の改善が必要なのです
がんや感染症などの病気では治療の中心は薬物投与ですが、
生活習慣病の一つである糖尿病の治療では食事療法が基本です。
糖尿病治療の土台はまず食事療法と運動療法であり
薬は食事療法と運動療法で十分にコントロールできないときに使われる。
糖尿病の治療では食事療法と運動療法を基本とし、それらで改善が見られない場合に薬物療法を導入する。
糖尿病の診断後には食事療法と運動療法と同時に、あるいはすぐに薬物療法をおこなう
と述べており、
糖尿病の治療では食事療法は欠かせない治療法の一つなのです。
糖尿病患者の半数が「食事管理」に苦しんでいるとの実態も報告されていまが、糖尿病の食事療法はコツさえ理解すればそんなに難しいことではないのです。
【この章からわかること】
・糖尿病は生活習慣病の一つ
・生活習慣病の治療には食事・運動・などの生活習慣の改善が必要
・食事療法とは食生活習慣を見直すこと
食事療法の目的は食後高血糖を抑えること
糖尿病の食事療法では食後高血糖を抑えることが大きな目的です
食後には健康な人でも血糖値が上昇しますが、
糖尿病や糖尿病予備軍の人では食後に血糖値が急上昇するのです。

これはグルコーススパイク(食後高血糖)とよばれ、
- インスリンの過剰分泌で膵臓が疲れる
- 高血糖で血管壁が傷つけられる
ことによって「糖尿病が進行」したり「合併症が進行」する大きな原因になるのです。

食事療法の重要性を分かっていただくためには、グルコーススパイクの記事もお読みください。👉 グルコーススパイクとは何か
治療薬を飲んでいても食事療法が不要になるわけではない
糖尿病の治療薬を飲んでいても食事療法は必要です
様々な糖尿病治療薬が開発され、日本の糖尿病治療薬のは2025年度の売上げは8,361億円に達しています。
糖尿病治療薬の目的は「血糖値を下げる」という簡単なもの。
そして、治療薬の作用は、
- 糖の吸収を遅らせる
- 糖の排泄を早める
- インスリンの分泌を高める

というもので、
「糖の吸収を遅くする」、「糖の排泄を早くする」という治療薬を飲んでいても、「ドンドン糖を取り入れ」るようなことをしたら、治療薬の効果が半減してしまうことは明らかです。
【この章からわかること】
・食事療法の目的は食後高血糖を抑えること
・治療薬を服用していても食事療法は必要
・食事療法を併用すれば治療効果の向上が期待できる
【まずは今のあなたの状態を確認してみましょう】
A:健康診断で『血糖値高め』と言われた人 ⇒ 食後の血糖値変動を知ることから始めましょう(👉リブレを使って血糖トレンドをみる)
B:治療中だが数値が下がらない人 ⇒ 食べる『順番』と『GI値』を意識した食事療法が鍵です(👉食ベ物の選び方、👉食ベ方のコツ)
C:合併症が不安でたまらない人 ⇒ 糖尿病ドミノの仕組みを正しく理解し、今すぐできる予防策を確認しましょう(👉糖尿病ドミノを止めて合併症を予防)
食事療法の考え方は変化してきている
糖尿病の食事療法では「カロリー制限」が中心でしたが、その後様々な食事療法が提唱されました。

① カロリー制限
摂取カロリーを制限し、バランスの良い食事
体重減少に効果的
② 糖質制限
炭水化物の摂取を制限
食後高血糖の抑制に効果的
オリーブオイルと魚介類の摂取を重視
心血管疾患の低下
④ DASH食
塩分を控え野菜や果物を摂る
血圧を下げる効果
などです。
DIRECT試験が食事療法を変えた
食事療法の流れを考えるうえで重要なのが2008年発表されたDIRECT試験です。
東イングランドでおこなわれた大規模無作為試験では、
- 低脂肪食
- 地中海食
- 低炭水化物食
の3つの食事療法の有効性と安全性を2年間にわたり比較されました。
その結果、
空腹時血糖やインスリン抵抗性の改善では「地中海食」群が最も優れ、
減量や善玉コレステロールなどの脂質代謝改善では「低炭水化物食」が最も改善効果があったことが判明し、

それまでの「カロリー制限(低脂肪食)こそが唯一の食事療法」とされていた食事療法にパラダイムシフトを起こし、
「糖質制限」や「地中海食」が注目を浴びるようになったのです。
【この章からわかること】
・糖尿病の食事療法は、 糖質を少し控えてバランスの良い食事
実証:食事療法はいつもの食事にちょっとした工夫で良い
糖尿病の食事療法は「糖質を少し控えてバランスの良い食事」ですが、あなたの食習慣をチェックしましょう。
食習慣のチェックリスト
- □ 白米や麺類ばかりに偏っていないか
- □ 単品食べが多くないか
- □ 食べるスピードが速くないか
- □ 野菜を先に食べているか
- □ 間食や食事間隔が乱れていないか
あなたの食習慣で何が問題なのか分かりましたか?
食後高血糖を下げるために心掛ける要点は2つ
食事療法の大きな目的は食後高血糖を抑えることです。
そのためにすることは、
- 糖を減らす
- 糖の吸収を遅くする
- 糖の消費を高める
という3つです。

今回の話は食事療法ですから、3番目の「糖の消費を高める」という運動療法については別の記事に分けていますので、そちらを見てください (👉 運動で糖の消費を高めて食後高血糖を抑える)
食べる糖の量を減らして食後高血糖を抑えるには
食後高血糖になる糖の量を減らすには、
・食べる炭水化物(糖質)の量を減らす
・食べる炭水化物の種類を変える
と、なんといっても食べる炭水化物の量を控えることです。
血糖となるグルコースは炭水化物が分解されて作られているからです。

しかし、ご飯の量を半分に、パンの量を半分に、、ということは辛いことです。
そのようなときには「炭水化物の種類を変える」ことでも可能なのです。

玄米は白米とほぼ同じ糖質ですが、血糖値を上げにくいのです。
これは、玄米はGI値が低く血糖値を上げにくいのです (👉 血糖値を上げにくい食べ物の選び方)
実証実験:白米を玄米に替えたら食後高血糖が下がった
カレーライスは食後高血糖を起こしやすい食べ物で。私の場合も食後2時間の血糖値は175mg/dlまで上がりました。
そこで、白米を玄米に替えて食べたところ食後2時間の血糖値は124mg/dlまで下がったのです。(👉 玄米カレーは食後高血糖を下げた)

さらに、「あなたは、【白米vsチャーハン】どちらを選ぶ?」や「あなたは、【うどんvsスパゲッティー】どちらを選ぶ?」でも紹介したように、同じ米や麺でも調理法などで食後高血糖の上がり方が違うのです。
これはGI値といって食物毎にどれだけ血糖値を上げるかの指標で、血糖値が高い人はGI値が60以下の食品を摂るように薦められているのです。

糖の吸収を遅くして減らして食後高血糖を抑えるには
同じ糖の量でも吸収を遅くすれば糖の上昇はなだらかになり、食べ方でグルコーススパイクを抑えることができるのです。

糖の吸収をゆっくりにするには、
・食べるスピードをゆっくり(ドカ食いをしない、よく噛む)
・食べる順番を変える(ベジファースト)
・食べる間隔を一定に(3食をきちんと食べる、間食も良い)
といった簡単なことで変わるのです。
一気食いでは血糖値も一気に上がります。

実証実験:フリースタイルリブレで分かった食後高血糖にも書きましたが、カレーライスや牛丼で食後高血糖になったのは食べ方の影響も大きかったのです。
実証実験:ベジファーストで食後高血糖が下がった
ファーストは誰でも知っている言葉になりましたが、ベジフリースタイルリブレを装着し、ベジファーストを実践したところ、2時間後の血糖値は、140mg/dl ⇒ 130mg/dl まで下がりました(👉 ベジファーストは食後高血糖を下げた)。
| サラダなし | ベジファースト | |
| 糖質量 | 117.1g | 124.2g |
| 食後高血糖 | 183mg/dl | 191mg/dl |
| 2時間後血糖値 | 140mg/dl | 130mg/dl |
食べる間隔を一定に、3食をきちんと食べる、間食をしても良い、ということは体のリズムを正しく整えたりドカ食いを防ぐということでも効果があるのです。
【この章からわかること】
・糖尿病の食事療法は我慢ではなく工夫
・血糖値を上げにくい食べ物に替える
・糖の吸収をゆっくりさせる工夫をする
食事療法を後回しにする合併症はドンドン進む
食後高血糖をくり返せば自覚症状がないまま合併症が進みます
糖尿病は血管の病気です。
食後高血糖をくり返すと血管壁が傷害され、知らない間に糖尿病合併症が進行していきます。

最初は細い血管が障害され「神経障害」「網膜症」「腎症」などが、
太い血管へと進むと「心筋梗塞」「脳卒中」などが引き起こされます。
(👉 糖尿病ドミノと合併症について)

神経障害では、ちょっとした傷から感染、壊疽と進み、足切断に至る人は毎年1万人もいるのです。
また、失明する人は年間3,000人。糖尿病から人工透析となった人は10万人といわれています。

糖尿病合併症はこれらだけでなく、
・がんのリスクを高める
・認知症のリスクを高める
・EDのリスクを高める
など、そして糖尿病の人は寿命が短いということもわかっているのです。
食後高血糖から始まる糖尿ドミノはあなたにしか止められないのです。
【この章からわかること】
・食後高血糖を抑えなければ糖尿病ドミノは重篤な合併症へ進む
・合併症は自覚症状がないから気づいたときには手遅れも
・糖尿病ドミノは食事療法で止められる
まとめ|食事療法は難しいことではない
糖尿病は生活習慣病で食習慣から始まった病気ですから、食習慣の改善は必須なのです。
食習慣の改善といっても難しいことではありません。
- 糖の量を減らす(食品を替える)
- 糖の吸収を遅くする(ちょっとした工夫)
- 糖の消費を高める(食後の短い運動)
ということだけで大丈夫なのです。
私も白米が大好きで、カレーライスを我慢するなんて無理だと思っていました。でも、玄米に変えたり、少し運動を取り入れたりするだけで、食後高血糖が抑えられるのです。
完璧を目指さなくて大丈夫です。まずは今日の一食から、小さな工夫を試してみませんか?
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
薬の中止や変更は自己判断で行わず、治療については医師の指導に従ってください。
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最終更新日:2026年6月 初掲載日:2022年5月






