今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
昨日のNHKスペシャルは、「血糖値スパイクが危ない」~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~
というタイトルでした。
食後高血糖はグルコーススパイクや血糖値スパイクとも言われるのですが、
グルコーススパイクが日本人に蔓延し、突然死や認知症の原因になっているというのです。
NHKスペシャルを見逃したあなたに、
グルコーススパイクや血糖値スパイクとも言われる食後高血糖がどうして危険なのかをご説明します。
グルコーススパイク(血糖値スパイク)とは?
2016年10月8日の、NHKスペシャルは、
「血糖値スパイクが危ない」~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~
というタイトルでした。
グルコーススパイクとは、
食後高血糖
のことです。
食事をすると、誰でも血糖値が上がります。
それは、炭水化物がブドウ糖に分解され、腸から吸収されて血液に入るからです。
通常は、
インスリンの働きによって血糖値は食後2時間程度で再び食事前の血糖値まで低下します。
しかし、
隠れ糖尿病といわれる糖尿病予備軍の人では食後の血糖値が非常に高くなります。
糖尿病予備軍ではインスリンの分泌が悪かったり、インスリンの効きが悪かったり(インスリン抵抗性が高い)するため、食後高血糖が非常に高く、グルコーススパイクを呈するのです。
臨床的には140mg/dlを越える食後高血糖をグルコーススパイクといわれますが、
NHKの調査では、
健康診断では正常と言われた成人65人中20人でグルコーススパイクが判明し、
別の調査でも、やせ型の20代女性の5人に1人でグルコーススパイクが認められたそうです。
グルコーススパイクは、上の図でも分かるように、血糖値は食後に急激に上昇しますが、3~4時間でほぼ正常レベルまで低下しますので、健康診断時の空腹時血糖の検査では、「正常」と判定されてしまうのです。
厚生労働省は「2014年国民健康・栄養調査」によると国内の糖尿病患者は720万人ですが「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性で15.5%、女性9.8%と、急増しているのです。
問題は、グルコーススパイクは健康診断の空腹時血糖の検査では見つけることができず、食後1~2時間の血糖値を調べない限り、グルコーススパイクを見つけることができないのです。
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グルコーススパイクは
どうして食後高血糖であるグルコーススパイクが問題かというと、
- 糖尿病に移行する可能性が高い
- 血管壁がダメージを受ける
からです。
食後高血糖が高く、グルコーススパイクがある人はこのまま放置すると、確実に糖尿病になります。
食後高血糖が高い人 ⇒ 糖尿病予備軍
なのです。
グルコーススパイクは心筋梗塞の原因
NHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~では、
食後の血糖値の急上昇は、動脈硬化を引き起こすとして注意を促していました。
健康診断では心臓に問題を指摘されたことがなかった40代の男性は心筋梗塞を起こして病院に運ばれたのだそうですが、心臓から出る太い血管が動脈硬化を起こして、細くなって血流が滞ってしまっていたのだそうです。
血管内壁が糖濃度が高い血液と低い血液に晒されることによって細胞から大量の活性酸素が発生し、動脈硬化を引き起こすのだそうです。
グルコーススパイクは認知症のリスクを高める
認知症の一つであるアルツハイマー型病は、脳内にアミロイドベータが蓄積するが進むことによって引き起こされます。
NHKスペシャルでは、
インスリンが多い状態では、記憶力が衰えやすいことが、ネズミの実験で確かめられ、脳を調べたところアミロイドベータの蓄積が確認されたと紹介していましたが、このサイトでもご紹介したように、
アルツハイマー病は第3の糖尿病 とも言われるように、インスリンと密接な関係にあるのです。
さらに、血管型認知症においても糖尿病では脳が萎縮して認知症になるという研究報告がなされています。
さらに、インスリンには細胞を増殖させる働きがあるため、高血糖状態が続き、血中のインスリン濃度ががん細胞の増殖も促す危険性が指摘されています。
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グルコーススパイクを防ぐには
食後高血糖であるグルコーススパイクを防ぐにはどのようにしたら良いでしょうか?
NHKスペシャルでは、
3つの方法を上げていましたが、このサイトをよく読んでくださっている方はもうご存じのことばかりで、私も、「間違ったことを書いていなかった」と安心した次第です。
1) 食べる順番を変える
食べる順番を変えることで糖の吸収を穏やかにすることができます。
最初に、食物繊維を多く含む野菜などを最初に食べることにより、食物繊維が糖の吸収を抑え、食後の血糖の急上昇を抑えることができるのです。
食べる順番で糖尿病を予防できる でご説明したように、
- ご飯 → 唐揚げ → サラダ
の順番より、
- サラダ → 唐揚げ → ご飯
の方が、血糖の上昇は穏やかになるのです。
このように、
- サラダを先に食べると、食物繊維が糖の吸収を抑える
- 蛋白質や脂質は、腸のインクレチンの分泌を促し胃腸の動をゆっくりにする
という効果が期待出来るのです。
しかし、
食べる順番を変えても、ご飯の食べ過ぎは食後血糖値を上げてしまいますから要注意です。
2) 食後30分以内の軽い運動
腸から吸収されたブドウ糖は血糖と呼ばれるわけですが、血糖はインスリンの働きによって組織でエネルギー源として使われます。
従って、運動をして筋肉を動かすことは血糖の消費を高めてグルコーススパイクを低くすることができるのです。
このサイトでもお知らせしたように、食後のちょっとした散歩でもグルコーススパイクが下がることが明らかになっています。
糖尿病の運動療法で必要な運動の種類と運動量 でも書きましたように、
糖尿病の食後30分以内の運動はグルコーススパイクを抑えることができます。
具体的には、
- 1回、15~30分間、朝夕2回
を、毎日でなくても良いですが、最低でも1週間に3日以上は続けてください。
運動療法は糖尿病治療の基本なのです。
3) 朝昼夕と3食を食べる
朝は忙しいから朝食抜きという人も少なくありませんが、
朝食を食べずに昼食を食べるとグルコーススパイクがおきやすい
ことが分かっています。
さらに、
朝食も昼食も食べずに夕食を食べるとグルコーススパイクはより一層おきやすくなってしまいます。
糖尿病にならないためには、朝、昼、夕と3食をきちんと食べることが大事なのです。
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グルコーススパイクを防ぐには糖質制限
NHKスペシャルの、「血糖値スパイクが危ない」~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~では、
グルコーススパイクは、
- 糖尿病
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- がん
- 認知症
の原因になるので、
健康診断で「正常」という結果を得ても日頃の血糖値の変化に関心を持つことが大切です
と説明していました。
グルコーススパイクを予防するには、
- 食べる順番を変える
- 食後に軽い運動をする
- 朝昼晩3食を食べる
の3項目を挙げていましたが、
もう一つ忘れてはいけないのが、
糖質制限
です。
糖質の摂りすぎは食後血糖値を上げるのです。
焼き肉を食べても血糖値は上がりませんが、白米を食べると血糖値は急激に上昇します。
糖質制限といっても無理をする必要はありません。
- 朝食のパンを半分にする
- 夕食のご飯を半分にする
というような、マイルドな糖質制限で充分なのです。
糖質制限には様々な方法がありますので、あなたの血糖値の状態に合わせて選んでください。
日本にはグルコーススパイクをを生じている人が1,400万人以上もいると推定されているそうです。
グルコーススパイクを防ぐにはグルコーススパイクを原因であるグルコース(糖質)の制限が一番なのです。
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