臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
書店で週刊誌の立ち読みをしてきました、、、。
週刊文春が「酢タマネギ健康法」にクレームをつけた記事
が目についたのですが、
書店には糖尿病には酢玉ねぎが良いとする本がたくさん並んでいます。
酢玉ねぎは糖尿病に効果があるのでしょうか?
糖尿病に良いという酢玉ねぎとは?
酢玉ねぎ、ご存知ですか?
作り方は超簡単。
玉ねぎをスライスして広口瓶などに入れ、酢を注ぐ、蓋をして2~3日ほど寝かすと食べ頃。
1日に50g程度を食べて、酢も一緒に飲むといろんな病気に効果があるというのです。
本屋さんに行けば、酢玉ねぎの本がたくさんありますから、目にしたことがあると思います。
それとも、もう実行しておられますか?
酢玉ねぎのブームを作ったのは、埼玉県の南越谷健身会クリニックの院長をしている周東寛医師です。
周東寛(しゅうとう ひろし)氏は南越谷痩身会クリニックの院長をしているのですが、クリニックのホームページに詳しいプロファイルがありますが、要約してみましょう。
- 1952年、台湾の高雄市で生まれた
- 1978年、昭和大学医学部卒業
- 1986年、父・周東茂氏の大袋医院を統合し駅ビル医院「せんげん台」を開院
- 2003年、南越谷健身会クリニックを開院
西洋医学に東洋医学を併合したハイレベルな医療技術で、病気の早期発見・早期対応による発症予防医学を重要視し、心身医学療法も行うトータルヘルスの確立に努め、台湾や日本でわずかながら「健康博士、予防医学の父」とも呼ばれています。
著書も多く、
台湾や日本でわずかながら「健康博士、予防医学の父」とも呼ばれているそうですから、大したものです。
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酢玉ねぎの糖尿病に対する効果は?
酢玉ねぎの作り方は超簡単なのですが、
その効果は、
健康雑誌「わかさ」によると、
酢タマネギを食べて20年の63歳医師は血管年齢42歳!肌年齢が40代!健診結果も異状なし
酢タマネギなら早い人は翌日にも便秘が解消し14キロ、8キロと痩せてお腹ペタンコになる人多数
酢タマネギは中性脂肪やコレステロールが多いネバネバ血液をサラサラに変え血栓まで抑えて高血圧・脳梗塞・狭心症を防ぐ効果も大
酢タマネギは血液がベトつく糖尿病も怖い合併症も退治し腎症・白内障まで防ぐと医師も注目
耳鳴りが二週間で消えた!年だとあきらめていた難聴が大幅に改善!内耳の血流を促す酢タマネギの快聴効果がすごい
物忘れ・イライラ・不眠ばかりかひざ痛・腰痛から脂肪肝・肝炎・ぜんそく・COPDまで改善者続出!酢タマネギの新効能
凄いですね、、、
肥満、糖尿病、高血圧、脳梗塞、狭心症、冷え性、腎症、白内障、健忘症、便秘、不眠、耳鳴り、膝痛、腰痛、脂肪肝、肝炎、喘息、、、、、
治らない病気はないんじゃないか、、、と思うほどの効果ですね。
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週刊文春が酢玉ねぎの効果に反論
治らない病気はないんじゃないか、、、と思うほどの酢玉ねぎの効果ですが、週刊文春が反論です。
2015年6月18日号 週刊文春で、「タマネギ健康法にダマされるな!」という記事です。
購入して読んでみました。
「タマネギ健康法にダマされるな!」
「体験談」だけでエビデンスなし」
として、
「酢タマネギの大特集を組んだ雑誌が増刷されたといいます。
そこには高血圧、糖尿病から、物忘れや白内障にまで効果があると書かれている。
“万能薬”のような扱いなのですが、
果たして比較実験や長期に亘る追跡調査でその効果は立証されているのでしょうか?。
「専門家に話を聞いた」という内容で、酢タマネギ、タマネギ紅茶、タマネギ氷、、と玉ねぎ健康法のブームを作った周東氏に直撃インタビューをしています。
健康雑誌の「わかさ」や「安心」などでは、
- 玉ねぎを食べたから元気になった
- 玉ねぎを食べたから病気が治った
と言う体験談だけでは、
「缶ピースを20年間吸い続けたが元気だ」ということが
「缶ピースを吸うと元気になる、、、」というおかしなことになると
して、周東氏に科学的エビデンスの提出を求めているのです。
[Q] 酢玉ねぎの本で、治るや治療という言葉を使うことに問題は無いか?
[A] 自分では健康法と書いたんだが出版社がそう書いてしまったので、、
[Q] 酢玉ねぎに病気を治す効果があるという科学的エビデンスはあるのか?
[A] 動物実験での成績があります。酢についてもエビデンスがあります。
[Q] 学会などで発表されていますか?
[A] 玉ねぎだけでは発表を受け入れて貰えない。発表の場がない。
[Q] ヒトでのエビデンスは?
[A] ある(1例のみを提示)。
科学的エビデンスとは、「酢玉ねぎが病気を治すという科学的根拠」のことなのだが、1例しかないという、、、、。
周東氏に言わせれば、例数を増やして平均化すると見えるモノまで見えなくなってしまうのだとか、、、。
さらに詳しく ⇒ 玉ねぎのケルセチンは糖尿病に良いのか?
専門家の意見
「ケルセチンには血圧を下げたり脂肪を燃焼させたりする作用はあるが、玉ねぎに含まれるケルセチンはごく微量で、玉ねぎを食べただけで効果が出るとは考えられない。
(東京大学・上正広教授)」
「ケルセチンの動脈硬化予防効果や血圧降下に関しては論文もあるが、これはケルセチンの効果であって玉ねぎの効果ではない。
(小内クリニック・小内亨氏)」
と懐疑的、否定的な意見のようなのです。
出版会社のコメント
週刊文春には、出版会社・わかさ出版のコメントも載っているが、玉ねぎも、酢も、一定の健康効果があることについては文献も多い。酢玉ねぎは、健康に良い玉ねぎと酢の組み合わせて考えてください、とのことだそうな、、、、
酢玉ねぎの効果を示す科学的根拠はなかった
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玉ねぎの健康効果は?
それでは、玉ねぎの健康効果とはどういうことだろう。
玉ねぎには、硫化アリルやケルセチンなどの成分が入っていることが知られている。
そして、硫化アリルやケルセチンなどの成分が健康に対して良いことも分かっている。
硫酸アリルの健康効果
玉ねぎ、ニラ、ニンニクなどには共通した匂いがありますが、この正体が硫化アリルという成分なのです。
にんにくや玉ねぎ、ニラなどは、血液をさらさらにして動脈硬化を予防する作用があるなどと言われるのですが、この作用は硫化アリルの働きによるのです。
硫化アリルの作用
- 血液凝固を防ぎ血栓防止作用
- コレステロールの増加を押さえて動脈硬化防止作用
- 消化液の分泌を助けて食欲を増進作用
- ビタミンB1の吸収と活性化を促進による新陳代謝亢進作用
新陳代謝の亢進により亢肥満や体温上昇による免疫力の亢進が期待出来る
硫化アリルには、この様な効果があり、
- 疲労回復
- 食欲増進
- かぜの初期症状
- 不眠解消
- 精神安定
- 高血圧や糖尿病
- がん予防
などの効果が期待されているわけなのです。
問題は水と加熱
玉ねぎの硫化アリルは、
- 水にさらすと溶け出す
- 加熱をすると失活する
ということで、水にさらしたり、加熱調理をすることでせっかくの硫化アリルは流出、消滅してしまうのです。
硫化アリルの効果を期待したいなら、玉ねぎは必ずそのまま生食することです。
食べ過ぎも禁物です。
犬に玉ねぎを食べさせていけないといわれているのは、犬には硫化アリルを分解する酵素がないからです。
そのため、硫化アリルは赤血球に作用し、溶血性貧血という玉ねぎ中毒を起こします。
サルでも過剰に摂食し過ぎると障害が起こるといわれており、生玉ねぎの過剰摂食は止めるべきです。
ケルセチンの効果
玉ねぎには、ケルセチンというポリフェノールも含まれています。
玉ねぎのケルセチン量は品種によって差はありますが、赤玉ねぎ>黄玉ねぎ>白玉ねぎ の順です。
玉ねぎのケルセチンには、レスベラトロールのように、強い抗酸化力があることから活性酸素を除去し、血管内皮の機能が高まり、血管年齢の若返りが期待出来ます。
最も多く含まれる部位は皮です。
ケルセチンが最も多く含まれるのは皮です。
しかし、、、玉ねぎの皮って食べられませんよね。そこで、玉ねぎの皮茶を健康茶として販売しているところもあるようです、、、
皮以外の部分も、皮をむいて1週間日光に当てる ことによってケルセチンを増やすことができるそうですから、試してください。
なお、玉ねぎのケルセチンは、硫化アリルとは異なって熱には強いそうですが、水に溶けやすいため、水にさらすと量が減ってしまうそうですから水洗いはしないで下さい。
古くからあった民間療法
酢玉ねぎは、糖尿病の治療法と言うには科学的エビデンスや効果が明確ではありません。
酢玉ねぎは、あえて言うならば民間療法でしょう。
民間療法 とは、古くから民間で見出され伝承されてきた方法によって行う治療法のことで、世界中で様々な伝承療法があります。
古くは、紅茶キノコなどが流行っりましたが、酢玉ねぎと同じように、玉ねぎワインが流行ったことがありました。
調べてみますと2013年に、マキノ出版から「やせる!血糖値が下がる!タマネギレシピ 」と言うタイトルの本で紹介されています。
タマネギ氷・酢タマネギ・タマネギワイン・薄皮茶が効く!とのことで、高血圧、脳梗塞、メタボが退散![タマネギ氷][酢タマネギ][タマネギワイン][薄皮茶]が効く!/耳鳴り、めまい、白内障、飛蚊症も大改善!糖尿病の9割に効いた!との内容ですが、本当でしょうか、、、、
ちなみに、玉ねぎワインの作り方も酢玉ねぎと同じように、スライスした玉ねぎに赤ワインを注ぐだけです。
- 玉ねぎをスライスする
- 密封可能な広口瓶にいれる
- ワインをひたひたに注ぐ
- 数日置けばOK
飲み方は、1日2~3回、コップ1/4(約50ml)程度を飲むのです。
私の義父も玉ねぎワインを試みていました。
きちんと薬を服用せず、食事療法にも無頓着でしたが、結局、心筋梗塞、足指の壊死、脳梗塞、、、ということで、83歳でなくなりましたが、、、。
食事療法に取り組むように口を酸っぱくして助言したのですが、典型的な糖尿病の合併症です。
糖尿病の予防治療は、正しい食事療法です。
詳しく見る ⇒ 糖尿病でおすすめの食事療法
また、サプリメントなどを選ぶ場合には明確な科学的根拠のあるサプリメントを選ぶべきです。
糖尿病に良いとされている食品は数え切れないほど出回っていますが、このサイトでは科学的根拠に基づいて、確かなエビデンスがあるものを取り上げて効きたいと思います。
詳しく見る ⇒ 田七人参は漢方薬
詳しく見る ⇒ 菊芋のイヌリンは食物繊維
なお、お酢の健康効果については科学的にも立証されています。
酢玉ねぎなどの民間療法を試みるのもかまいませんが、
それをメインにするのではなく、[副次的なサポート]という位置づけにしてください。
さもないと、私の義父のように糖尿病の合併症はどんどん進んでしまいます。
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