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    Categories: 糖尿病と認知症糖尿病の合併症

HbA1cが高いと認知症のリスクが高い

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。

 

はじめに

糖尿病が増えており、

HbA1cが6%を超え「糖尿病の可能性を否定できない者」は、

  • 男性で 12.2%
  • 女性で 12.1%

もいるのです。

一方、認知症の患者数は、

  • 2012年時点で約462万人
  • 65歳以上の高齢者の7人に1人

が認知症だといわれているのです。

糖尿病の増加と認知の増加は関係ないように思われるのですが、

糖尿病では認知症のリスクが高くなるのです。

そして、HbA1cがやや高い糖尿病予備軍でも認知症のリスクが高くなっているのです。

 

 

HbA1cが高いと認知症になるリスクが高い

中国科学院の研究グループは2018年1月に、

HbA1c値と糖尿病の状況と、その後の10年間の認知機能低下について縦断的に調査したところ、

HbA1cと認知症には有意な関連が認められたと、糖尿病の世界的な科学雑誌であるDiabetologiaに発表しました。

 

HbA1c, diabetes and cognitive decline: the English Longitudinal Study of Ageing.

CONCLUSIONS/INTERPRETATION : Significant longitudinal associations between HbA1c levels, diabetes status and long-term cognitive decline were observed in this study. Future studies are required to determine the effects of maintaining optimal glucose control on the rate of cognitive decline in people with diabetes.

 

詳しく読む ⇒ 原著論文

 

研究グループは、加齢に伴うさまざまな疾患や身体の変化を調べる大規模疫学調査であるイギリスの齢縦断研究(English Longitudinal Study of Ageing)のデーターを解析し、HbA1cと認知機能との関係を調べたのです。

 

対象としたのは、

  • HbA1cが3.6~13.7%の5,189人(男女ほぼ同数、平均年齢65.6±9.4歳)

で、これらの人について、

  • 約8年間に約5回の認知機能検査を行った

のです。

 

HbA1cとはご存じのように、血管の中で赤血球のヘモグロビン(Hb)がブドウ糖と結合したもののことで、日本語では「糖化ヘモグロビン」といわれます。

血液中のブドウ糖の濃度である血糖値は、食事や運動などで刻々と変化しているのですが、Hbが一度ブドウ糖と結合するとHbが肝臓で壊されるまで離れないため、

HbA1cは過去1~2ヵ月の血糖の状態を表しているのです。

HbA1cの正常値は4.6~6.2%で、6.5%以上になると糖尿病が疑われます。

 

その結果、

認知機能全般の低下速度は糖尿病予備軍と糖尿病に関連して増加しており、

糖尿病により認知機能の低下速度が加速することが分かった

と結論しています。

 


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糖尿病で認知症のリスクが高いのは間違いない

血糖値が高いと認知症になる可能性が高いということについてはこのサイトでもいろいろご紹介してきました。

尿病では認知症(痴呆)になりやすい

糖尿病の女性は認知症になりやすい

などです。

 

認知症では、

  1. アルツハイマー型認知症
  2. レビー小体型認知症
  3. 血管性認知症

が三大認知症といわれるます。

 

血管性認知症は、脳の血管が障害されて血流が悪くなったりすることに起因する認知症です。

 

糖尿病は高血糖により血管壁が傷害される病気で、

微細な血管が傷害されれば、

  1. 糖尿病神経障害
  2. 糖尿病網膜症
  3. 糖尿病腎症

などの合併症が起きるのですが、

 

大血管が傷害されれば、

  1. 脳梗塞
  2. 心筋梗塞

などの合併症がおこるのです。

 

ですから、

糖尿病では血管性痴呆症のリスクが高まることは容易に予想できるのですが、

糖尿病ではアルツハイマーのリスクが2倍になることがわかっているのです。

 

 

 

 

血管の傷害は治療で回復することはできません

現在の医療技術では血管壁を修復することはできないのです、、、。

 

さらに問題は、

今回の研究報告でも明らかになったように、

糖尿病予備群でも認知機能の低下が始まっているのです。

 

血糖値を下げるには、

食事療法

運動療法

で、

 

例え糖尿病になってインスリン注射を行っていたとしても

森永卓郎さんの様に、食事療法と運動療法で糖尿病から離脱できるのです。

 

糖尿病の食事療法は、

  • 主食を食べない
  • 糖質ゼロ

などの極端なことをする必要はありません。

 

  • 朝食のパンを半分に
  • 夕食のご飯を半分に

ということで充分なのです。

 

要するに、あなたの血糖値の状態に合わせた糖質制限をすれば良いのです。

 

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