今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病の合併症は、
- 糖尿病神経症
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
だけではありません。
難聴も糖尿病の合併症の一つです。
韓国とアメリカの研究グループは糖尿病のヒトは難聴のリスクが1.36倍高いと報告しました。
さらに、糖尿病では難聴や突発性難聴のリスクが3倍も高いとの報告があります。
糖尿病では失明だけでなく、耳が聞こえなくなり危険性も高いのです。
糖尿病の難聴や失明を防ぐには血糖値を下げるより方法がありません。
糖尿病では難聴のリスクが高い
韓国のソンギョンガン大学やアメリカのジョンズホプキンス大学の研究グループは、糖尿病患者における難聴の発生率についての大規模追跡調査の結果を発表しました。
Diabetes mellitus and the incidence of hearing loss: a cohort study.
CONCLUSIONS:
In this large cohort study of young and middle-aged men and women, DM was associated with the development of bilateral hearing loss. DM patients have a moderately increased risk of future hearing loss.
くわしく読む ⇒ Int J Epidemiol. 2016 Nov 6
この研究では、
2002~2014年の間に聴力検査を受け、聴力に異常がなかった成人253,301人を対象に、追跡調査をおこなったのです。
追跡調査では対象者を、
- 正常血糖値群 : 空腹時血糖値が100mg/dl以下
- 糖尿病予備群 : 空腹時血糖値が100~125mg/dl
- 糖尿病群 : 空腹時血糖値126mg/dl以上
の3群に分けて追跡し、
難聴の発生率を比較したのです。
その結果、
糖尿病群では難聴の発生率が正常群の1.36倍
だったのです。
糖尿病と難聴の関係については今回の論文の他にも多くの報告があります。
アメリカの健康庁であるNIHは2008年に、
糖尿病患者の難聴は正常人の2倍
と報告(National Institutes of Health News. Hearing Loss is Common in People with Diabetes.)していますし、
2012年のFox Newsでは、
- 糖尿病では難聴になるリスクが2.15倍
- 60歳未満では2.61倍
- 60歳以上では1.58倍
と報告(Diabetes may be linked to hearing loss, study finds. 2012)しています。
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難聴は糖尿病の合併症
糖尿病の合併症といえば、
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
が三大合併症として知られていますが、その他にもさまざまな合併症が全身に現れます。
高血糖が長い間続けば、
- 心筋梗塞
- 脳卒中
などの致死的な合併症が発生します。
さらに、最近の研究では、
- 難聴
- 突発性難聴
という聴覚障害も糖尿病によって引き起こされることが明らかになっています。
詳しく見る ⇒ 耳が聞こえにくいなら糖尿病の合併症
糖尿病患者の解剖所見では、
- 内耳動脈の硬化
- 血管条の毛細管の肥厚
- らせん神経節の萎縮
- 内耳神経の異常
が報告されており、
高血糖に伴う血管壁の傷害や毛細血管の血行障害により、
内耳の神経や血管が損なわれることが難聴の原因
だということが明らかになっています。
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糖尿病でみられる「突発性難聴」は、
何の前兆もなく、ある日突然耳が聞こえなくなる難聴です。
血糖値が高く、
- 音が聞こえない
- 話が聞き取りにくい
- 雑音が入る
- 耳が詰まった感じがする
- 耳鳴りがする
などの聴覚異常を感じたらできるだけ早く耳鼻咽喉科の専門医を受診すべきです。
糖尿病における難聴の予防には血糖値を下げるだけしか方法がありません。
食事療法でも、運動療法でも、できるだけ早く対策を講じて下さい。
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