今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。
はじめに
糖尿病にはポリフェノールが良いことはご存じだと思います。
しかし、ポリフェノールは4,000以上もの種類があるのです。
貴方は、糖尿病に良いポリフェノールをご存じですか?。
糖尿病に良いポリフェノールは?
ポリフェノールには、コレステロールの酸化を抑制したり、活性酸素の働きを抑える作用があります。
ポリフェノールと健康の関係については多くの研究がありますが、ポリフェノールは糖尿病にも効果があることが科学的に明らかになっています。
しかし、
ポリフェノールは様々な植物に含まれ4,000以上もの種類があるのです。
最も糖尿病に効果的なポリフェノールはどのポリフェノールなのでしょうか?
こんな疑問に答える研究成果をスペインの研究グループが発表しています。
Intake of Total Polyphenols and Some Classes of Polyphenols Is Inversely Associated with Diabetes in Elderly People at High Cardiovascular Disease Risk.
原著論文 → コチラ
上に原著論文を記載していますが、英文なので簡単に内容をご紹介したいと思います。
研究グループは、スペインで行われた食事と糖尿病についての研究に参加した人のデータを解析したのですが、
- 55歳以上の男性、60歳以上の女性の合計3,430人
- 糖尿病でないが、高血圧などリスクになる要素を持っている
人を対象に、
- 食事調査と健康調査
- 5年間程度追跡
したのです。
食事調査では、ポリフェノールの摂取量を計算し、ポリフェノールの摂取量と糖尿病の発症に違いがあるかを解析したのです。
その結果、
- 特定の種類のポリフェノールと糖尿病の発症に関連が見られた
のですが、
詳細には、
- 総ポリフェノール摂取量が少ない群に比べて、摂取量が多い群では糖尿病の発症が28%低い
- フラバノン、ジヒドロフラボノール、スチルベンの摂取量が多い人に糖尿病が少ない
という結果だったのです。
ポリフェノールをたくさん摂ると糖尿病の発症を予防することができることが証明されたのですが、多くのポリフェノールの中で、フラバノン、ジヒドロフラボノール、スチルベンが特に有効だという結果だったのです。
Sponsored Link
糖尿病に良いポリフェノール
ポリフェノールとは植物の樹皮や表皮、種子などに含まれる、色素成分、苦味や渋味成分で、自然界では植物だけが持つ成分ですが、4,000~5,000種類もあると言われています。
植物がポリフェノールを有している意味は、
- 昆虫や動物の攻撃(食べられる)を避ける
- 紫外線により生じる活性酸素から植物自身を守る
という、植物が自らの生命を守るための生体防御物質なのです。
植物も強い太陽光線(紫外線)によって発生する活性酸素を除去するためにポリフェノールを産生しているのですが、そのポリフェノールを私達が食しても活性酸素を除去する、抗酸化作用が期待でき、老化やがん、糖尿病などの様々な疾患から守ってくれるのです。
くわしく見る ⇒ 活性酸素は糖尿病の原因、活性酸素は糖尿病合併症の原因
ポリフェノールは、動物には存在しない、植物特有の生体成分で多くの種類があるのですが、
- フラボノール
- イソフラボン
- タンニン
- カテキン
- ケルセチン
- アントシアニン
などの物質の総称です。
いずれのポリフェノールとも糖尿病に有効であることが知られていますし、このサイトでもご紹介しました。
しかし、今回のスペインの研究グループの研究では、
- フラバノン
- ジヒドロフラボノール
- スチルベン
の摂取量が多い人に糖尿病が少ないということでしたので、フラバノン、ジヒドロフラボノール、スチルベンについて詳しくご説明しましょう。
糖尿病に良いポリフェノールはフラバノン
フラバノン(flavanone)は、柑橘系に多くみられる色素成分で、ナリンゲニン、ナリンギン、 ヘスペリジン、シトロニン、リキリチンなどの種類があります。
フラバノンはミカン科の植物に多く、みかん、レモン、ダイダイの外果皮の白色部分に多く含まれるポリフェノールですが、特に、レモンやみかんの皮に含まれるヘスペリジンには、
- 抗酸化作用
- 抗アレルギー作用
- コレステロールの抑制
- 毛細血管の保護作用
- 抗菌作用(虫歯抑制)
など、フラバノン類の中でも多くの生理作用を持っているのです。
中でも、ヘスペリジンとナリンギンはフラバノン類でも最も健康効果が期待出来るポリフェノールで、ヘスペリジンはルチンとエリオシトリンとでビタミンPを構成し、医薬品に指定されています。
このサイトでも、温州ミカンは、フラバノン類のヘスペリジンが含まれているだけでなく、水溶性植物繊維であるペクチンを多く含み、さらにビタミンCも多いという、糖尿病で高血糖にヒトには絶対におすすめな食品なのです。
くわしく見る ⇒ ミカンのβ-クリプトキサチンは糖尿病を防ぐ
温州みかんの果肉には、100g当たり0.1gものヘスペリジンが含まれ、房の部分や房に付く白い部分に多く含まれるといるので、房と白い部分も食べる方が健康効果が大きいのです。
Sponsored Link
糖尿病に良いポリフェノールはジヒドロフラボノール
ジヒドロフラボノールから、フラボノール、アントシアニンやプロアントシアニジン(タンニン)誘導されます。
ブドウはポリフェノールを多く含む果物ですが、ブドウには、アントシアニン、カテキン、ジヒドロフラボノール、フラボノール、プロアントシアニジンなど多くのポリフェノールが含まれています。
ブドウにはジヒドロフラボノールや多くのポリフェノールが含まれますから、ワインにもジヒドロフラボノールや多くのポリフェノールが含まれることになりますが、
ブドウの果実の部位で最もポリフェノールが多く含まれるのは、果皮、種子、果梗枝で、赤ワインには白ワインの10倍ものポリフェノールが含まれています。
糖尿病に良いポリフェノールはスチルベン
スチルベン(プテロスチルベン)はブドウやブルーベリーに含まれるポリフェノールで、化学構造や生理的な効果はレスベラトロールと良く似ています。
インドの伝統的民間療法であるアーユルヴェーダでは、
インドキノというマメ科の植物が糖尿病の治療に用いられていましたが、その活性本体の一つがプテロスチルベンだといわれています。
スチルベンには、
- LDLコレステロール低減作用
- 血糖低下作用
- 抗炎症作用
- がん抑制作用
- 抗酸化作用
- 認知機能促進作用
などが確認されていますが、
血糖低下作用では、糖尿病ラットで糖尿病治療薬であるメトフォルミンと同等以上の血糖降下効果が認められています。
糖尿病に良いポリフェノールを含むのはミカンとブドウ
糖尿病に効果のあるポリフェノールは、スペインの研究グループの研究で、フラバノン、ジヒドロフラボノール、スチルベンだということが分かったのですが、それらを多く含む食べ物は、
- フラバノン : ミカン
- ジヒドロフラボノール : ブドウ
- スチルベン :ブドウ、ブルーベリー
ということで、先日お知らせした、「ミカンは糖尿病に良い」とうことが実証されたようです。
ポリフェノールは水溶性で、たくさん摂取しても体内に蓄積されることはありませんので安心ですが、
摂取してから体内で効果を発揮している時間は3~4時間
ですから、1日数回に分けてバランスよく摂取することが必要です。
関連記事(一部広告を含む)