ビタミンD不足といえば骨の成長が悪くなことが知られていますが、
ビタミンD不足は糖尿病の原因でもあるのです。
さらに、ビタミンD不足はED(勃起不全)の原因でもあることが明らかになりました。
あなたの糖尿病やEDの原因はビタミンD不足ではありませんか?
ビタミンDの働き
ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける働きがあることは良く知られていますが、ビタミンDはその他に重要な働きをしているのです。
- カルシウムとリンの吸収促進
- 骨の形成と成長促進
- 遺伝子の働きを調節
カルシウム吸収や骨の成長は一般的に誰でもご存じの働きですが、実は、3番目のはたらが重要な働きをしているのです。
ビタミンDは、遺伝子の働きに関与し、免疫向上、発癌抑制、糖尿病予防などの働きをしていることは余り良く知られていません。
ビタミンDが不足すると
クル病
骨軟化症、骨粗しょう症
などが起きることは良く知られていますが、
最近の研究で、ビタミンDには免疫系が体の組織を攻撃するのを防ぐ作用があることが分かってきており、
ビタミンDが不足すると、
- 免疫力低下
- 癌
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 花粉症
- うつ病
- 自閉症
なども起きることが明らかになってきています。
そして今回お知らせしたいのは、
ビタミンD不足はED(勃起不全)を引き起こすということです。
ビタミンD不足はEDの原因
ビタミンD不足がEDの原因であるということが、11月7~11日にアメリカのオーランド開催されている、米国心臓病協会学術集会(AHA2015)で発表されました。
この研究を発表したのは、ジョーンズホプキンス医科大学の女性医師であるErin Michos氏です。
ジョーンズホプキンス医科大学は、2015-6年度世界大学ランキングで11位にランキングされている最難関校のひとつで、医学ではハーバード大学やペンシルベニア大学などとともにアメリカ東部を代表する医学校ですね。
Erin Michos氏らの研究グループは、ビタミンDの不足は糖尿病の高血糖や高血圧など引き起こし、心臓循環器系の疾患の誘因であり、ED(勃起不全)にも糖尿病などの血管障害が関連しているとして、ビタミンD不足とEDの関係について研究したのです。
詳細については、日経メディカルでも報告されていますが、発表の概要をお知らせしたいと思います。
研究では、
2001年~2004年に米国保健省の米国全国健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)に登録された男性を対象に、
- 20歳以上の3,486人
- 心血管疾患を有する人は除外
- 血清ビタミンDが20ng/mL以下の人をビタミンD不足群とした
- ED発症は口頭で調査
という条件で評価したのです。
解析では、ED群と非ED群に分け分析しました。
- ED群(855人)
- 非ED群(2,631人、平均年齢40.6歳)
ED群では、
- 年齢が高い(59.3歳 vs 40.6歳)
- 過去に喫煙者だった人が多い(40.3% vs 2.4%)
- 糖尿病患者が多い(21.5% vs 5.5%)
- 高血圧患者が多い(53.7% vs 27.4%)
- 高血圧薬や抗うつ薬などの服用者が多い
という結果が得られ、
さらに、
- ビタミンD正常群のED発症
- ビタミンD不足群のED発症
を、ロジステック回帰モデルというノイズを排除する解析法をもちいて解析したところ、
性、年齢、喫煙、アルコール摂取、BMI、身体活動量、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、eGFR、CRP、抗うつ薬、βブロッカー、ホスホジエステラーゼ5阻害薬などに関係なく、
ビタミン不足群ではED発症リスクは有意に高い
という結果が得られたということです。
すなわち、ビタミン不足は、糖尿病や高血圧などの発症とは無関係にEDを発症させる、ということが明らかになったのです。
ビタミンD不足は糖尿病の原因
上にも書きましたように、ビタミンD不足は、糖尿病のリスクを上げることも明らかになっています
さらに、肥満の人がビタミンD不足になると、糖尿病になりやすいともいわれています。
このネ研究は、スペインのマラガ大学の研究グループが行った研究です。
Clemente-Postiqo M et al. Serum 25-Hydroxyvitamin D and Adipose Tissue Vitamine D Receptor Gene Expression: Relationship With Obesity and Type 2 Diabetes.
詳しく見る ⇒ J Clin Endocrinol Metab. 2015 Feb 23.
研究グループは、ビタミンDと糖尿病や肥満との関連について明らかにする目的で、肥満度のBMIや血糖値と、血中ビタミンD値、脂肪組織のビタミンD受容体数の関連性を解析したのです。
調査では、
- BMIを指標に : やせ、過体重、肥満、重度肥満
- 血糖値を指標に :正常、糖尿病または予備軍
に分類して、各群の、
- 血中ビタミンD濃度
- 血中甲状腺ホルモン濃度
- 脂肪組織のビタミンD受容体数
を測定したのです。
その結果、
- 糖尿病または予備軍では、血中ビタミンD濃度が低く、特に、やせ群と重度肥満群で顕著だった
- 血中ビタミンD濃度が低いほど血糖値が高く、インスリン抵抗性も高かった
という結果がえられ、
ビタミンD不足は血糖値とインスリン抵抗性を上昇し糖尿病を誘起していることが明らかになったのです。
さらに、ビタミンD不足と糖尿病との関係は、2015年の第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で発表されています。
英レスター大学のD.R. Webb氏らの研究グループは、ビタミンDと糖尿病の発症について研究しています。
研究グループは、糖尿病の多い南アジア系移民6,749人を対象に、糖負荷試験をおこない、
糖代謝異常が見つかった1,080人について、約2年間追跡調査したのです。
その結果、583人のうち、
- 39人(6.7%)が2型糖尿病へ進行
- 225人(38.6%)は糖代謝異常で推移
- 319人(54.7%)が正常血糖状態へ回復
したのですが、
2型糖尿病へ進行した人は他の群に比べて血中ビタミンD濃度が有意に低かった
ということが判明したのです。
研究グループは、
糖尿病の発症や進展にビタミンDが大きく影響している可能性がある と結論しています。
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ビタミンD不足を解消するには
EDや糖尿病にならないためにはビタミンD不足にならないようにする必要がありますが、ビタミンD不足にならないためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
ビタミンDにはD2~D7の6種類があります。
え?、ビタミンD1はと思われるでしょうが、D1は後に不純物でビタミンDではないとされたのです。
我々の体にとって大事なのは、
- ビタミンD2
- ビタミンD3
の2つで、働きは同じですが、D3の作用はD2よりも2倍強いといわれています。
ビタミンDを補給する方法
体内のビタミンDを増やすには2つの方法があります。
- 食べ物から摂る
- 日光を浴びてビタミンDを作る
です。
食べ物から摂取するビタミンDとしては、
- ビタミンD2 : 植物性食品に含まれる
- ビタミンD3 : 動物性食品に含まれる
があり、
- ビタミンD2 : 天日干しシイタケ、きのこ、海藻類など
- ビタミンD3 : 魚肉、肝臓、鶏卵など
ですから、食事内容に合わせて積極的にとって下さい。
牛乳にはカルシウムは多いのですが、ビタミンDは少ないので注意してください。ただし、ビタミンD強化といってビタミンDを添加した牛乳も市販されています。
太陽に当たってビタミンDを作る
食品から摂取したビタミンDは、肝臓や腎臓で活性型ビタミンDという形になって作用を現すのですが、私達の一番大きなビタミンDの供給源は太陽です。
私達の皮膚では、7-デヒドロコレステロールといわれる、プロ-ビタミンD3が作られるのですが、このプロ-ビタミンD3は太陽の紫外線によって活性型ビタミンD3に変わるのです。
紫外線には、UV-A、UV-B、UV-Cの3種類があります。
UV-Bは波長が280~315nmの紫外線で、日焼けの原因になる紫外線ですが、UV-Bの波長が295nmの紫外線が最もたくさんビタミンD3を作ることが分かっています。
UV-Bは衣服やガラスを通過することができませんので、屋内で過ごすことが多かったり、外出時に必ず日焼け止めを塗るような人は、ビタミンD不足になってしまう可能性があります。
では、太陽光でどの位の量のビタミンDが作られるのかというと、
- 東京都内
- 肌の露出度10%
- 夏に直射日光を30分浴びる
と、700~800IUのビタミンDが作られるといわれています。
1日のビタミンDの必要量は、
- 成人男女(17~70歳) : 600IU
- 老齢男女(71歳~ ) : 800IU
といわれていますから、ほんの短い時間でビタミンDを補給することが出来るのです。
ビタミンDを積極的に補給してEDや糖尿病を防いで下さい
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成人女性 : 400IU
老齢男女 :妊婦
体内につくられるといわれています