今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
寒くなり、お正月も近づいてきたことから、
お汁粉やぜんざいそしてあんこ餅を食べる機会が多くなります。
これらは小豆(あずき)で作られる日本の伝統食品ですが、
小豆には多くの有効成分が含まれ、様々な機能性があることが報告されています。
小豆はポリフェノールを豊富に含むことから、血圧や血糖値、脂質代謝などの生活習慣病の予防・改善効果があることが知られているのですが、
三重大学と井村屋の研究グループは、
小豆に含まれる成分には、
糖の吸収を抑えて血糖値を下げる作用がある
ことを発見したと発表しました。
小豆は糖の吸収を抑制する作用がある
三重大学の生物資源学研究科 栄養化学研究室と井村屋の研究グループは、
小豆に含まれる糖代謝酵素阻害成分を新発見し、
小豆に含まれる成分が糖の吸収を抑制することが判明した
ことを発表しました。
詳しく見る ⇒ 三重大学プレスリリース
この研究結果は、10月15日のJournal of Food Scienceに掲載され、
12月14日に三重大学で開催される日本食品科学工学会中部支部大会でも発表されます。
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小豆は糖の吸収を抑え血糖値の上昇を抑える
炭水化物は腸の中でブドウ糖に分解され、血液に吸収されることにより血糖値が上がるのです。
炭水化物を分解するのは、
- α-アミラーゼ(唾液の消化酵素)
- α-グルコシダーゼ(腸の消化酵素)
という酵素です。
そして、
糖尿病患者に血糖低下薬として処方される、
- グルコバイ
- ベイスン
- セイブル
などは、
α-グルコシダーゼ阻害薬といわれ、
炭水化物を糖に分解するα-グルコシダーゼを抑制する薬なのです。
炭水化物はブドウ糖まで分解されないと腸から吸収されないのです。
三重大学と井村屋の研究グループは、
小豆を90分間煮た後の煮汁の中にα-グルコシダーゼ活性を阻害する活性があることを発見したのです。
小豆の煮汁の中には、
カテキン-7-O-β-D-グルコピラノシド という糖の分解を阻害する成分が含まれていることを明らかになったのです。
この成分は生の小豆にも含まれていましたが、
小豆を加熱調理ると増加する
ことも分かり、
研究グループは、小豆を料理するときには、煮汁も一緒に食べることを薦めています。
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まとめ
小豆にはポリフェノールがたくさん含まれることから、
高血圧、糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に効果があることが知られています。
小豆は糖尿病の血糖を下げるで紹介したように、
煮小豆は糖尿病の隠れた妙薬で血糖の低下に即効
と言われていたのですが、
今回の三重大学と井村屋の共同研究で、
小豆には糖の分解を抑制して血糖値の上昇を抑える作用がある
いうことが科学的に証明されたのです。
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