今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病に良いといわれる食品はいろいろありますが、
糖尿病に良いといわれる代表的な食品は大豆です。
このサイトでも、
などでお知らせしてきましたから読んでくださったと思います。
大豆は糖尿病のリスクを低下させる
大豆は「畑の牛肉」ともいわれ、古くから大豆にはさまざまな健康効果があること知られています。
一方、アメリカのFDA(食品医薬品局で日本の厚生労働省に相当する)では、
「大豆は心疾患リスクの低減に効果がある」というヘルスクレーム表示取り消すう動きがあるのです。
ヘルスクレーム表示は健康強調表示ともいわれ、日本の「特定保健用食品」や「機能性食品表示」に相当するものです。
特定保健用食品(トクホ)とは、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収をおだやかにする」などの表示が許可されている食品です。
そして、
機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られた食品です。
大豆は心臓病のリスクを30%低下させる
カナダのトロント大学の研究グループは、
大豆や大豆食品を食べると糖尿病と心臓病のリスクを低下させる
ことが明らかになったと発表しました。
Heart-Healthy Effects of Soy Consistent Over Time, U of T Meta-Study Finds
詳しく見る ⇒ トロント大学ホームページ
研究グループは大豆の健康効果についてお数十の研究論文を解析した結果、
大豆蛋白にはコレステロール値を低減する効果があり、低減率は5%未満と少ないものの、
他の植物性食品に比べてはるかに強い効果があるというのです。
大豆は糖尿病のリスクを低下させる
大豆は糖尿病のリスクを低下させることも明らかになっています。
アメリカのマサチューセッツ大学の研究グループは、
イソフラボンを豊富に含む大豆食品を食べると、糖尿病と心臓病のリスクが減少することが明らかになったと発表しています。
Nutrition researchers track down how soy reduces diabetes risk
くわしく読む ⇒ マサチューセッツ大学ホームページ
大豆や大豆食品を食べると、
- コレステロールが下がる
- 血糖値が下がる
というのですが、
大豆に含まれるイソフラボンという成分が、
インスリン感受性を媒介する転写調節因子を活性化することいよって、組織による糖の取り込みが改善し、耐糖能異常の改善が期待できる
というのです。
これは、
- 血糖値がやや高い糖尿病予備群の人では血糖値が下がる
- 糖尿病の人では耐糖能異常の改善を期待できる
ということなのです。
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大豆は太った女性で糖尿病のリスクを低下させる
国内でも、大豆が糖尿病のリスクを下げるという研究成果が発表されています。
国立がん研究センターの予防研究グループは、
研究開始時に、
- 糖尿病、がん、循環器疾患でなかった40~69歳の男女約6万人を、
- 5年間追跡し、
大豆食品の摂取と糖尿病発症との関連
を調べたのです。
詳しく見る ⇒ 国立がん研究センター
5年間の追跡期間中に、
- 男性:634人
- 女性:480人
が糖尿病を発症しました。
大豆食品やその成分であるイソフラボンの摂取量により5群に分けて、
大豆製品やイソフラボン摂取と糖尿病発症の関係を調べたのです。
男女年齢を問わない全体では、
残念ながら、
糖尿病発症のリスクがやや低下した
という結果に留まりました。
しかし、
- 肥満女性では大豆を食べると糖尿病のリスクが低下した
- 閉経後女性では大豆を食べると糖尿病のリスクが低下した
という結果が得られたのです。
具体的には、
- 非肥満女性 : BMIが25kg/m2未満
- 肥満の女性 : BMIが25kg/m2以上
と、
- 閉経前の女性
- 閉経後の女性
についても、
大豆や大豆製品の摂取量と糖尿病の発症率
を調べたところ、
- 大豆をたくさん食べる肥満お女性では糖尿病の発症が少ない
- 大豆をたくさん食べる閉経後の女性では糖尿病の発症が少ない
という結果が得られ、
非肥満女性や閉経前の女性では大豆摂取による糖尿病発症のリスク低下は見られなかったのです。
研究グループは、
大豆には植物性女性ホルモンともいわれるイソフラボンが含まれているのですが、
女性ホルモンには糖の代謝や脂肪細胞の調節、脂質生成の阻害などの作用があることが分かっており、
大豆のイソフラボンが同じ様な作用を表したのではないか、
と結論しています。
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まとめ
今回の研究では、
摂取量が多いほど糖尿病のリスクが下がるという用量反応関係はみられていませんから、
大豆をたくさん食べるほど糖尿病のリスクが下がるというわけではありません。
そして、大豆そのものでなくても、大豆の加工品や豆類である、
などでも効果が期待できるのです。
日本人が昔から食べてきた、豆腐、納豆、みそ、しょうゆなどの原料である大豆には、
- 糖尿病
- 脂質異常症
- がん
- 骨粗鬆症
- 更年期障害
などを改善する多くの作用があるとされているのです。
そうそう、
酢納豆も糖尿病のリスクを下げるそうです。
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