今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
先日は、
という研究論文をご紹介しました。
肥満が糖尿病の大きな原因の一つであることはもはや間違いのないことなのですが、
先日開かれた欧州糖尿病学会で、
肥満の人では糖尿病のリスクが5.8倍も高い
という研究成果が発表されました。
肥満の人では糖尿病のリスクが5.8倍も高い
国際糖尿病連盟によると、
2017年には約4億2,500万人の成人(20〜79歳)が糖尿病に罹患し、
2045年までに、糖尿病患者数は6億人を超えると予想されます。
デンマークの研究グループは、
糖尿病の発症には、
- 遺伝的素因
- 肥満
- ライフスタイル
が大きく関与するが、
特に肥満とライフスタイルを改善することが糖尿病の発症がどのように影響するかを調べたのです。
その結果、
肥満の人では糖尿病のリスクが5.8倍も高い
という結果が得られたというのです。
Obesity linked to a nearly 6-fold increased risk of developing type 2 diabetes, with genetics and lifestyle also raising risk
Summary:
Obesity is linked to a nearly 6-fold increased risk of developing type 2 diabetes (T2D), with high genetic risk and unfavorable lifestyle also increasing risk but to a much lesser extent.
詳しく見る ⇒ ScienceDaily
この研究結果は、9月16日からスペインのバルセロナで開催された欧州糖尿病学会で発表されました。
研究グループは、
デンマークの「食事、がん、健康の国民調査」に参加した男女9,556人(平均年齢56.1歳)を対象に、
長期の追跡調査(平均14.7年)をおこなったのです。
追跡期間中に、
参加者の49.5%が糖尿病を発症
したのです。
そこで、
- 健康的なライフスタイル
・喫煙しない
・アルコールを余り飲まない
・運動習慣がある
・健康的な食事を摂っている - 糖尿病の遺伝的リスクがある
- 肥満である
という3項目と糖尿病発症の関係を調べたのです。
その結果、
「不健康な生活スタイル+肥満」の人は遺伝的リスクの有無に関係なく糖尿病を発症するリスクが高い
ということが明らかになったというのです。
さらに、
肥満の人は標準体重の人に比べて糖尿病の発症リスクが5.8倍も高い
ということが分かったというのです。
もちろん、
不健康な生活スタイルも糖尿病のリスクを高めたのですが、わずか20%増加させたに留まり、
遺伝的なリスクや不健康な生活スタイルの糖尿病発症に対する影響は単独では比較的少なかったのです。
研究グループの代表者は、
遺伝的な原因や不健康な生活スタイルも糖尿病のリスクを増加させるが肥満の方がはるかに大きな影響を与えていることが判明し、
糖尿病を予防するためには肥満を解消することが重要であることが改めて確認された
と述べています。
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肥満の男性サラリーマンの77%は糖尿病になる
平成26年におけるが厚生労働省の患者調査では、
成人男性では176万8,000人、女性では140万1,000人と、
成人の糖尿病患者数は316万6,000人もおり、
なんと、
- 男性では6人に1人が糖尿病
- 女性では8人に1人が糖尿病
なのです。
1年ほど前になりますが、
という記事を書きましたが読んでくださったでしょうか?
国立国際医療研究センターがおこなった調査では、
働き盛りの男性サラリーマンでは3人に1人が糖尿病になる
というショッキングな調査結果で、
さらに、肥満の男性サラリーマンの糖尿病率は77%だというのです。
詳しく読む ⇒ 国立国際医療研究センター
国立国際医療研究センターが、
働き盛りの男性サラリーマン5万人を対象に調査したところ、
30歳男性の3人に1人が65歳までに糖尿病を発症する
という結果が明らかになり、
男女とも肥満度が高いほど糖尿病になるリスクが高い
ことが判明したのです。
脂肪細胞がインスリン抵抗性を高める
肥満がどうして糖尿病を引き起こすのかも明らかになっています。
慶応大学の研究グループは、
糖尿病と肥満の関係が明らかになったと報告しています。
糖尿病ではインスリン抵抗性が高まり、インスリンの効果が悪くなることから始まるのですが、
肥満により内臓脂肪が増えると脂肪細胞も肥大化して、
- アディポネクチンの分泌が減少する
- TNF-αやIL-6などの生理活性物質が分泌される
ようになるのです。
TNF-αやIL-6はインスリン抵抗性を高める作用があるのです。
脂肪組織から出る悪玉物質が肝臓、筋肉、脂肪組織でのインスリンの効きを悪くすることが原因なのです。
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まとめ
肥満は糖尿病の原因だということは多くの人が知っています。
それでも、
- 少し体重が多いだけだから、、、
- 来月から運動するから、、、
と減量を先延ばしにしている人が多いのです。
しかし、
- 肥満の人は正常体重より糖尿病のリスクが5.8倍も高い
- 肥満の男性サラリーマンの77%は糖尿病
ということを聞いたら減量しようと思うのではないでしょうか?
減量は辛くて大変なのですが、次回は「内臓脂肪を減らす10つの秘けつ」をお話ししましょう。
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