臨床の経験はないのですが20年にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病は肥満などのメタボリックシンドロームといわれる生活習慣病ですが、
糖尿病の原因は睡眠障害!
こう聞くと思い出すことがあります。
そうです。
という放送があったのですね、、、。
これについては、
日本睡眠学会などが、
「糖尿病患者に過大な期待をもたせ、医療現場で混乱を招くおそれがある
などと抗議して、NHKは謝罪した経緯がありました。
しかし京都大学の研究グループは、
糖尿病は睡眠障害と関連がある
との研究報告をしたのです。
京都大学は糖尿病は睡眠障害の関係を解明
糖尿病は生活習慣病の一つといわれ、
糖尿病と睡眠障害とは関係がないように思われるのですが、
最近、
糖尿病と睡眠障害の関係についての多くの報告があるのです。
京都大学の研究グループは、
世界最大規模の7,000人を対象にした疫学調査により、
睡眠障害と糖尿病および高血圧の関連を解明した
と発表しました。
詳しく読む ⇒ 京都大学プレスリリース
研究では、
滋賀県長浜市の住民を対象にした疫学調査・ながはまコホートに参加した、
- 7,051 人
を対象に、
- 糖尿病、高血圧、肥満の評価
- 睡眠時間の評価(腕時計型加速度計、睡眠日記)
- 睡眠呼吸障害の評価(パルスオキシメータ)
を行ったのです。
その結果、
- 男性では睡眠呼吸障害が23.7%でみられた
- 女性では睡眠呼吸障害が、閉経前女性では1.5%、閉経後女性では9.5%であった
- 睡眠呼吸障害や肥満がひどくなると睡眠時間が短くなる
- 睡眠呼吸障害がひどくなると高血圧も悪化した
- 睡眠呼吸障害がひどくなると女性では糖尿病も悪化した
ということがわかったとして、
- 睡眠呼吸障害では睡眠時間が短い
- 睡眠呼吸障害では高血圧、糖尿病のリスクが高い(特に閉経前女性では要注意)
- 糖尿病と高血圧、肥満などには睡眠呼吸障害が関与している
ということが判明したというのです。
やや難しいのですが、
睡眠時無呼吸症候群などでは、充分な睡眠が取れずに糖尿病になるリスクが高い
ということなのです。
睡眠時無呼吸症候群 → 糖尿病
睡眠時無呼吸症候群 → 肥満 → 糖尿病
睡眠時無呼吸症候群 → 短時間睡眠 → 糖尿病
ということで、
睡眠時無呼吸症候群は糖尿病の原因
だということなのです。
研究グループは、
糖尿病や高血圧の治療では、
一番の原因である肥満の治療に加えて睡眠呼吸障害の治療必要
だということなのです。
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睡眠障害は糖尿病を引き起こす
糖尿病は生活習慣病として肥満や運動不足がその大きな原因だとされていましたが、
最近の研究では、
睡眠障害も糖尿病の原因の一つである
ことが明らかになっています。
さらに、
糖尿病患者では不眠に悩む人が多く、
糖尿病患者の40%が不眠に悩まされている
との報告があります。
睡眠不足では高血糖になる
大阪府立大学は糖尿病と不眠の関係が明らかになったと報告しています。
私達の体は、
- 交感神経 : 身体が興奮状態
- 副交感神経 : 身体が安静状態
によってコントロールされています。
夜間には副交感神経が優位になり血糖値は低下するのですが、
睡眠不足では交感神経が興奮した状態になるため、
交感神経の刺激伝達物質であるノルアドレナリン値が高いために、
肝臓からの糖放出が続くために血糖値が下がらないというのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の夜間高血糖と睡眠の関係
アメリカのペンシルベニア州立大学の研究グループは、
不眠や入眠困難などの睡眠障害の患者1,741人を、
- 正常群 : 睡眠時間が6時間以上
- 睡眠不足群: 睡眠時間が5~6時間
- 不眠群 : 睡眠時間が5時間以下
の3群に分けて、
- 糖尿病の発症率
を比較しています。
その結果、
不眠症群では正常群より1.7倍も糖尿病の発症率が高かったのです。
これらの報告が示すように、
であることは間違いのないことなのです。
特に、
とのデーターが示されています。
睡眠不足が続くときには昼寝も効果的ですが、
との報告もありますから、昼寝の時間は短めにしてください。
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