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糖尿病のお酒は食後の血糖値を下げる芋焼酎が良い

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

一般的に、

  1. 日本酒やワインには糖質が多いからあまり良くない
  2. 蒸留酒は糖質が少ないから糖尿病でも大丈夫

と考えられています。

糖尿病だかがお酒は焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にしているという方も多いのですが、

先日お知らせしたように、

嗜好するお酒の種類と糖尿病発症には関連がみられなかった

とう疫学研究の結果が発表されました。

じゃあ、糖尿病でも日本酒を飲んでも大丈夫なのか、、、

と思ってしまうのですが、

鹿児島大学の研究グループは芋焼酎について面白い研究成果を発表しています。

 

芋焼酎は食後の血糖値を下げる

2016年4月に鹿児島大学の研究グループは、

芋焼酎は食後の血糖値の下げる効果がある

との研究成果を発表しています。

Acute effects of traditional Japanese alcohol beverages on blood glucose and polysomnography levels in healthy subjects.

Conclusions.
Acute consumption of alcohol beverages with a meal resulted in different responses in postprandial glucose and insulin levels as well as REM sleep latency. Alcohol beverage type should be taken into consideration for people with impaired glucose tolerance.

くわしく読む ⇒ 原著論文

焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は糖質を含まないため血糖値を上げないことや、

アルコールには血糖値を下げる効果があることは知られているのですが、

芋焼酎は水と比べても食後の血糖値の下げた

というのです。

 

この研究は、

健康な男女6人(平均28.8歳) を対象に、

夕食時に、

  1. 芋焼酎
  2. 日本酒
  3. ビール

を、

  • 1種類ずつ1週間おきに飲んでもらい
  • 食前と食後1、2、12時間の血糖値を計測

したのです。

その結果、

芋焼酎を飲んだ時の食後血糖値は日本酒やビールだけでなく水よりも有意に低かった

というのです。

下の図は、研究論文から引用させてもらったのですが、

 

食後の血糖値のレベル(上段左)および血糖値の総上昇量(上段右)も、

食後のインスリンレベル(下段左)およびインスリンの総分泌量(下段右)も、

芋焼酎を飲んだ群で明らかに低いことが分かります。

 

どうして芋焼酎が食後の血糖値を下げたのかは今回の研究では明らかではありませんが、

研究グループの鹿児島大農学部附属焼酎・発酵学教育研究センターの高峯和則教授は、南日本新聞社の取材に対して、

  • 芋焼酎の食中酒としての効果が明らかになった
  • 糖尿病ではアルコールを禁じられることが多いが飲んで良いアルコールもあることを知らせたい

と述べています。

 


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芋焼酎は糖質がゼロだから血糖値を上げない

今までの多くの研究において、

  • アルコールは血糖値を上げる作用がある

ということが分かっています。

肝臓は肝臓に蓄積されたグリコーゲンを糖に分解する働きをしているのですが、アルコールはグリコゲンを糖に分解する働きを一時的に止める作用があるからです。

 

しかし、

アルコール飲料の一部には糖質が含まれます。

 

確かに、

  • ビール
  • 発泡酒
  • ワイン
  • 日本酒

には多くの糖質が含まれますが、

  • 焼酎
  • ウイスキー

には糖質が全く含まれません。

これは、蒸留することによって糖質が除かれているからです。

 

しかし問題は、

  • 酒のつまみ
  • シメのラーメン

です。

最も糖質が多い発泡酒では、350mlで12.6gです。

でも、

  1. ラーメン 69.7g
  2. 焼きそば 54.7g
  3. ポテトチップス 30.3g

と、蒸留酒は糖質がゼロだからといって、シメにラーメンを食べれば元も子もないのです、、、、。

 


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芋焼酎を飲んでも鹿児島県では糖尿病が多い

鹿児島大学が芋焼酎を取り上げたのは、鹿児島県は宮崎県と並んで全国トップの焼酎の消費県だからでしょう。

2015年の都道県別の1年当たりの焼酎の消費量は、1升瓶に換算して、

全国平均は1.75本ですが、

  1. 宮崎県 3.59本
  2. 鹿児島県 3.54本
  3. 島根県 3.30本

と、全国最下位の福井県の0.77本の5倍も飲んでいるのです。

 

鹿児島県では糖尿病が少ないのでしょうか?

いえいえ、そうではないようです。

 

血糖値を抑える効果の高いという焼酎を全国トップクラスで飲み続けている鹿児島県ではさぞかし糖尿病やその関連疾患による死亡率が低いんだろうと考えてしまいますが、厚労省による、

糖尿病の死亡率で鹿児島県はワースト4位

という結果なのです。

焼酎の消費量が最も多い宮崎県はワースト25位、3位の島根県は17位と上位を占めています。

鹿児島県の糖尿病による死亡率は、「うどん県」といわれ炭水化物の消費量が非常に多い徳島県より多いのです。

 


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血糖値が高いといわれたら必ず受診する

さて、青森県は糖尿病での死亡率が最も多いのです。

その理由は、

青森県で糖尿病での死亡率が高い理由

でも書きましたように、

 病患者が重症化してから糖尿病の治療を始める人が多い

からです。

 

糖尿病は自覚症状がほとんどない病気ですが、

 血糖値が高い状態が続くと血管壁の傷害が進むのです

 

血糖値がやや高いだけという糖尿病予備群の時から血管壁の傷害が始まっているのです。

 

糖尿病だと診断され、

糖尿病の治療を開始しても、

  • 糖尿病の治療を中断する患者が40%もいる

どですが、

 

そして青森県におけるように、

ふたたび糖尿病の治療を再開したときには合併症で手遅れ

という人が非常に多いのです。

 

大規模な疫学調査において、

  • 適度な飲酒は糖尿病の発症を抑制する

可能性のあることが分かっていますが、

  • 多量の飲酒は糖尿病の発症を促進する

のです。

鹿児島大学の研究で、芋焼酎が血糖値を下げることが明らかになったのですが、

芋焼酎を飲んだからといって糖尿病の予防になるわけではないということを分かっていただけたでしょうか?

 

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