今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
最近、ネットで「メロンパンは糖尿病に悪い」という記事をたくさん見かけます。
厚労省がメロンパンには糖尿病に悪い成分が含まれると発表したというのです。
メロンパンが糖尿病に悪いというのは本当か、そしてその理由は。
メロンパンは糖尿病に悪い
「メロンパン+糖尿病」で検索すると、148,000 件もヒットします。
そして、そのトップには、
メロンパンは人体に超危険で国が規制!栄養なく危険成分まみれ、糖尿病等や内臓障害の恐れ
とか、
【悲報】メロンパン、人体に超危険と判明! 食べ続けると糖尿病等などの恐れあり
との記事が、、、。
内容を読んでみると、
メロンパンには健康に悪影響を及ぼす材料が使用されており、非常に体に悪い食べ物
だという。
そして、
厚労省がアルミニウムの規制対象食品として名指ししているのが、ほかでもないメロンパンなのである
ということで、
メロンパンは人体に超危険で国が規制
したという内容なのです。
メロンパンが糖尿病に悪いという理由
では、メロンパンが糖尿病に悪いという理由は何なのでしょうか、、、
いくつかのサイトを調べると、
メロンパンが糖尿病に悪いという理由は幾つかあるようで、
- アルミニウムがたくさん含まれている
- 乳化剤に遺伝子組み換え大豆が使われている
- 栄養バランス最悪
ということで、特にアルミニウムに関しては厚労省が 、、、、、、 だというのです。
では、もう少し詳しく見ていきましょう。
1) メロンパンにはアルミニウムが多い
メロンパンが糖尿病など健康に良くないとする理由の第1はアルミニウムが含まれているということのようです。
アルミニウムとは、鍋や清涼飲料水の缶にも使われている、あのアルミニウムです。
アルミニウムは、空気や水、土などにも含まれており、したがってアルミニウムを含む土壌で栽培された野菜や穀物などにも微量に含まれていることから、私達は普段の生活でも微量のアルミニウムを無意識のうちに摂取しているのです。
しかし、アルミニウムを大量に摂取して体内に蓄積されると肝臓や腎臓の障害を引き起こす可能性があることも分かっています。
2013年、厚生労働省は、「食品中のアルミニウムに関する情報」という研究結果を発表しており、その中で、
アルミニウムの毒性
ラットを用いた動物実験では、アルミニウムを多量に投与したときに腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められています。食品の安全性を評価している国際機関(JECFA:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)では、人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量(暫定耐容週間摂取量)として、体重1kg、一週間当たり、2mgという値を設定しています。
と記載し、安全な摂取量を「体重1kg、一週間当たり、2mg」と定めています。
そして、
「アルミニウムを含有する食品添加物の用途と対象商品」
を掲げています。
これは、あくまでも、「アルミニウムを含有する食品添加物の用途」なのですが、
不幸なことに、
一部の菓子パン(メロンパンなど)
と書かれてしまっているのですね、、、、。
要するに、
- ベーキングパウダーにはアルミニウムが含まれている
- ベーキングパウダーを使った一部の菓子パンにアルミニウムが含まれる
- 一部の菓子パンにはメロンパンも含まれる
という三段論法的な理由です。
ちなみに、
- 焼き菓子 : スポンジケーキなど
- 揚げ菓子 : ドーナツなど
- 蒸し菓子 : 小麦饅頭、蒸しパンなど
も挙げられていますし、
- 色止め剤 : ナスの漬け物、シソの実漬など
- 形状安定剤 : 魚介類(たこ、いか、くらげ、うになどの魚介類)など
- 品質安定剤 : 野菜等(芋、豆、ごぼう、れんこん、栗など)の煮物
- 着色料 : 食品全般
ということで、私達の周りの食品には多くのアルミニウムを含む食品が有り、ベーキングパウダーを使った食品にはアルミニウムが多い可能性があるということです。
2) 乳化剤に遺伝子組換えの大豆が使われている
その他にも、メロンパンには乳化剤が使われ、遺伝子組換え大豆で作った乳化剤が使われているというのも理由の一つのようです。
乳化剤とは、焼き菓子などの生地を均一に混ぜ合わせる(乳化する)ために使われるもので、パンや焼き菓子の他にも、アイスクリーム、ドレッシング、缶コーヒー、パン・パンケーキ、チーズ、チョコレートマヨネーズ、バター、マーガリン、ケーキ、ホイップクリーム、ジャム、豆腐など、乳化剤が使われている食品は挙げるとキリがありません、、、、。
乳化剤には、
- 大豆でつくった乳化剤
- 卵黄でつくった乳化剤
- 化学物質の乳化剤
があるのですが、
大豆で作った乳化剤の場合には、「遺伝子組み換え大豆」が使われている可能性があるというのです。
しかし、豆腐や納豆などの大豆蛋白質の多い食品では、「遺伝子組換え大豆は不使用」という表示が義務づけられていますが、乳化剤では記載の義務がなく、遺伝子組み換え大豆が使われている可能性もなくはありません。
例えば、
多くのチョコレートには「レシチン」と書かれていますが、レシチンは大豆由来の乳化剤のことです。
その他にも、
- グリセリン脂肪酸エステル
- ショ糖脂肪酸エステル
- ステアリン酸カルシウム
- ステアロイル乳酸カルシウム
- ソルビタン脂肪酸エステル
- プロピレングリコール脂肪酸エステル
などの、化学物質の乳化剤も多く、国内で医薬添加物として長年使用されているステアリン酸カルシウムはまだ安全性が完全に確立されたわけではありませんし、ステアロイル乳酸カルシウムを食べさせたラットでは脂肪肉芽腫ができたとの報告もあるのです。
3) 栄養バランスが悪い
「栄養バランスの面でメロンパンは最悪の食べ物」だということも、メロンパンが糖尿病に悪いとする理由の一つのようです。
確かに、メロンパンのカロリーは非常に高いようです。
- ヤマザキパン ヤマザキメロンパン 433kcal
- ヤマザキパン チョコチップメロン 424kcal
- ヤマザキパン 大きなチョコチップメロン 541kcal
- 木村屋 メロンパン 329kcal
しかし、
- ヤマザキ 高級つぶあん栗入り 401 kcal
- ヤマザキ あんぱん 319kcal
- キムラや あんパン 295kcal
- 木村屋 つぶあんパン 300kcal
- 神戸屋 丹念熟成こしあん 392 kcal
と、メロンパンばかりが高カロリーなわけではなさそうです。
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メロンパンを食べても糖尿病にならない
いかがでしたでしょうか。
確かに、
- 膨化剤(ベーキングパウダー)にはアルミニウムが入っている
- 大豆由来の乳化剤には遺伝子組換え大豆が使われている可能性がある
- メロンパンはカロリーが高い
という事実は間違いないことですが、
- メロンパンを食べると健康被害がある
- メロンパンは人体に超危険で国が規制した
ということではなさそうです。
厚労省の国内での摂取量調査の結果でも、
- アルミニウムの推定摂取量の平均値は、すべての年代層で許容量を下回っていました
- 小児(1-6歳)では摂取量の割合が最も大きく、許容量の約43%でした
として、
- 小児では摂取量の多い5%の人が許容量を超える可能性がある
- 小児以外の年代層では、許容量を超えませんでした
と結論しています。
さらに、
アルミニウムの推定摂取量には、穀類加工品や菓子類などの寄与が大きく、これは、膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウム)によるものと推察されました
として、
2015年7月1日付けで、
各食品メーカーに、
「硫酸アルミニウムカリウム及び硫酸アルミニウムアンモニウムを含有する膨脹剤の使用量の低減について」
との勧告を出し、アルミニウムを含む食品添加物の使用を低減するように求めています。
メロンパンを食べても健康被害がでるわけではありません。
しかし、
過ぎたるは及ばざるがごとし、食べ過ぎはいけません。
メロンパンのカロリーは400kcalです。
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