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    Categories: 糖尿病の合併症

糖尿病では骨粗鬆症になりやすい

糖尿病の人は健康な人よりも骨折しやすいといわれています。

奥羽大学の研究グループは糖尿病患者では骨密度の低下が10年も進んでいることを明らかにしました。

血糖値が高い貴方の骨でも骨粗鬆症が進んでいるかも知れません。

糖尿病の女性は骨粗鬆症が進んでいる

糖尿病患者では骨密度の低下が10年も進んでいることを明らかにしたのは、奥羽大学薬学部の衛藤雅昭教授らの研究グループです。

研究グループは、今回の研究成果を9月15日からドイツで開かれる国際糖尿病学会で発表するそうです。

骨粗鬆症は糖尿病の合併症の一つ

研究グループは、

  • 糖尿病の女性   : 127人
  • 糖尿病でない女性 : 622人

について、

骨密度を10年ごとのグループに分けて調べたのです。

その結果、

 糖尿病患者ではどの年代でも糖尿病ではない人より骨密度が低下している

ことが分かったのです。

20~44歳までの日本人女性の骨密度の平均値を100として比較すると、

  • 50歳代の糖尿病女性は84%で60歳代の糖尿病でない女性の83%とほぼ同じ
  • 60歳代の糖尿病女性は78%で、70歳代の糖尿病でない女性の79%とほぼ同じ

と、

 糖尿病患者の骨密度の低下は、糖尿病ではない人よりも10年程度早く進んでいる

ことが明らかになったのです。

研究グループは、

これまでも、臨床的観察から糖尿病患者では骨粗鬆症になりやすいことが指摘されていたものの、糖尿病と骨粗鬆症の関係や、糖尿病患者における骨密度低下の進行状況が科学的に裏付けられた研究は類を見ないとしています。

糖尿病の合併症としては、

  1. 糖尿病神経障害
  2. 糖尿病網膜症
  3. 糖尿病腎症

が、三大合併症と言われていましたが、

 骨粗鬆症も糖尿病の合併症

として十分注意する必要がありそうです。

骨粗鬆症とはどんな病気か

骨粗鬆症(こつそすうしょう)とはどんな病気なのでしょうか?

簡単にいえば、「骨がスカスカになる」病気です。

骨粗鬆症の人の背骨は、下の写真のように、健康人に比べて密度が低いことが分かると思います。

その結果として、背骨がグシャリとつぶれ、背骨が曲がるのです。

骨密度の低下は全身の骨で起こりますが、力のかかりやすい、

  1. 背骨
  2. 大腿骨の付け根(大腿骨頭)
  3. 手首

などでは骨折を起こしやすいのです。

骨粗鬆症それ自体は生命を脅かす病気ではありませんが、

大腿骨骨頭の骨折が原因で寝たきりになり痴呆や死亡へと繋がるのです。

骨粗鬆症は女性に多い

国内の骨粗鬆症の患者は1,300万人、骨粗鬆症予備軍まで含めると2,000万人に上ると推定されています。

性別では、

  1.  男性  300万人
  2.  女性 1,000万人

といわれています。

骨粗鬆症は男性でも女性でも起きるのですが、女性では40歳代の後半に閉経を迎え、女性ホルモンが急激に低下することによって骨密度も急激に低下するのです。

男性では男性ホルモンの急激な低下はありませんが、加齢に伴って徐々に減少するため、70歳、80歳では骨粗鬆症の人が多いのです。

また、男性は女性よりも骨の量が多いことが、女性で骨粗鬆症が多い理由でもあるのです。


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糖尿病では骨粗鬆症になりやすい

投票病患者では骨粗鬆症になりやすいことは様々な点から指摘されている。

2015年5月の第58回日本糖尿病学会年次学術集会でも、

糖尿病の人が血糖コントロールの悪い状態が続くと、骨が弱くもろくなり、骨粗鬆症を発症しやすくなると

として、糖尿病患者が骨を丈夫に保つための対策が必要と強調されている。

糖尿病患者は骨折の危険性が2倍高い

糖尿病により、血糖コントロールの悪く高血糖状態が続くと、全身的な合併症が起こりやすくなるが、骨粗鬆症や骨折とも深い関係があり、

 糖尿病の人は骨折しやすく、糖尿病でないヒトの2倍に上昇する

ということが疫学調査で明らかになっています。

また、1型糖尿病では7倍以上も骨折しやすいことが明らかになっており、糖尿病と骨とは大きな関係があるのです。

糖尿病ではどうして骨粗鬆症になりやすいのか

 

それでは、どうして糖尿病になると骨粗鬆症になりやすいのでしょうか?

様々な原因がありますが、大きな原因は、

  1.  インスリン不足
  2.  ミネラルの排泄量が増加
  3.  コラーゲンの質の低下

だといわれています。

 

インスリン不足

糖尿病ではインスリン抵抗性が高くなり、やがてインスリンの分泌量が低下してしまいます。

インスリンは血糖値を下げる作用だけでなく、成長ホルモン様作用もあり、骨においては、骨を作り出す骨芽細胞を活性化する作用もあるのです。

したがって、糖尿病でインスリンが低下すると、骨芽細胞の働きが悪くなり、骨を作ることが出来なくなってしまうのです。

実は、

骨は休みなく作り替えられているおり、全身の骨は約6年で作り替えられるといわれています。したがって、骨芽細胞の働きが悪くなると、「骨を壊す量」と「骨を作る量」のバランスが悪くなり、骨は減少する方向に進んでしまうのです。

 

ミネラルの排出量が増加

糖尿病が進むと一般的に尿量が増えます。これは、糖の排泄と一緒に水分も排泄されてしまうからです。

尿量が増えると、カルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラルも排出されやすくなり、体はミネラルが不足がちになります。

体のミネラルが不足すると、ミネラルの貯蔵庫である骨からカルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルを供給するように働くのです。

したがって、骨のカルシウムなどのミネラルが減少し、骨密度が低下して折れやすい骨になってしまうのです。

 

コラーゲンの質の低下

骨は、マトリックス(基質)と言われるコラーゲンで作られた網目様のマトリックスにカルシウムが沈着して作られています。

このマトリックスはコラーゲン繊維で作られ、規則正しく整然としたかたちなのですが、糖尿病jの高血糖下ではコラーゲンの合成が悪くなるだけでなく、規則正しいコラーゲン繊維の配列が、無秩序になってしまうのです。

その結果、骨の強度が弱くなり、もろく折れやすい骨になってしまうのです。

 

糖尿病では骨粗鬆症になりやすく、容易に骨折を起こしてしまいます。

 

骨粗鬆症の予防は、

  1. カルシウムなどのミネラルを摂る
  2. 日光に当たってビタミンDを補給する
  3. 運動をして骨形成を刺激する

ことだといわれています。

しかし、

糖尿病で高血糖の貴方が、行うべきことは、

 血糖値を下げる

ことなのです。

糖尿病で骨粗鬆症になりやすく、容易に骨折を起こす原因は高血糖だからです。


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