糖尿病では糖質の多いお酒は控えるように言われます。
お酒を飲んで赤くなる人は糖尿病になりやすいともいわれます。
お酒が弱いと糖尿病になりやすいというのは本当なのでしょうか?
お酒を飲んで赤くなるのはアルデヒド脱水素酵素が少ない
お酒を飲んで顔が赤くなるのは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性が弱いからだと言われます。
アルデヒド脱水素酵素(ALDH)というのは、アルコールは、肝臓内のアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドへと分解されるのですが、さらに肝臓内のアセトアルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解されます。
そして、酢酸はさらに二酸化炭素と水に分解され、最終的に体外へと排出されるのです。
アルコール → アセトアルデヒド → 酢酸+水
お酒を飲んで赤くなるのは、アセトアルデヒドの作用です。
アセトアルデヒドは毒性が強く、悪酔いや二日酔いの原因となるため、アルデヒド脱水素酵素の活性が弱い人ではアセトアルデヒドが体内に長く留まり、一般的に、酒に弱い人、酒を飲めない人なのです。
さらに、アルデヒド脱水酵素には、細胞質に局在するALDH1とミトコンドリア内に局在するALDH2があり、日本人や東アジア人の約40%ではALDH2活性を欠如しており、ほぼ全員がALDH2活性が正常である白人や黒人に比べれてお酒に弱い人種と言われています。
さらに、
- ALDH2活性の欠如がアルツハイマー病と関連する
- ALDH1はインスリンを分泌する膵β細胞の機能に不可欠
という論文なども発表されており、ALDH活性が低い人、すなわちお酒を飲んで赤くなる人は糖尿病になりやすい可能性もあるのです。
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お酒に弱い人は多量の飲酒で糖代謝が低下する
国立国際医療研究センター・疫学予防部の研究グループは、
日本や韓国において、過去に、飲酒で顔が赤くなる人は空腹時血糖値やインスリン抵抗性が高まると報告されているが、
赤くなる体質において飲酒の血糖値へ及ぼす影響を調べています。
Flushing Response Modifies the Association of Alcohol Consumption with Markers of Glucose Metabolism in Japanese Men and Women.
Alcohol Clin Exp Res. 2014 Apr;38(4):1
この研究では、
- 関東地方の企業に勤める約1,000名で、
- お酒を飲んで赤くなる人と赤くならない人について、
飲酒の量と、
- 血糖値(HbA1c)
- インスリン抵抗性(HOMA-IR)
- インスリン分泌(HOMA-β)
との関連を調べたのです。
その結果、
- お酒で赤くなる人は少量~適量の飲酒では、インスリン抵抗性とHbA1c値が低下する
- お酒で赤くなる人は1.5合以上の飲酒でHbA1c値が高くなる
と言うことが判明したのです。
この結果は、
お酒で顔が赤くなる人においては、
- 適量のお酒では糖代謝に影響はない
- 飲み過ぎると糖代謝が悪くなる
ということで、飲みすぎには注意が必要だということです。
適度なお酒は健康に良いと言われますが、その量は人によって異なりますが、
- 日本酒では1合
- ワイングラスで1杯
程度だと言われます。
今回の研究では、お酒の強い弱いは余り糖尿病とは関係がなさそうですが、お酒に弱い人は多量の飲酒では糖代謝が低下し、血糖値が下がりにくくなるようです。
しかし、
欧米の疫学調査では、多量の飲酒は糖尿病リスクを上げるとの多くの報告があり、酒に強い弱いにかかわらず、お酒はほどほどにした方が良さそうです。
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