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    Categories: 糖尿病とは

糖尿病患者では悲観した自殺や事故死が多い

糖尿病患者では自殺と事故死が多いことを国立がん研究センターが発表。

同じ糖尿病患者でも40代にずば抜けて自殺と事故死が多いという。

糖尿病に罹患すると精神的に追い詰められることが自殺や事故死の要因だ。

 

 

日本の自殺者数は先進諸国の10倍

わが国の自殺者数は1998年頃に急増し、以後2011年までは毎年約3万人程度で、最近数年間は2万5,000~2万7,000人程度と報告されています。

しかし、日本には自殺者の他にも、変死者が毎年15万人ほどいるのです。

WHOでは変死者の半分を自殺者として数えていますが、日本では変死者の扱いのままです。

それは、日本では遺書がないと自殺と見なさないからです。

もし、WHOの基準で変死者の半分を自殺者と見なせば、3万人+8万人で年間11万人の自殺者がいるのです。

自殺者が11万人とは、先進諸国の10倍も多いのです。

糖尿病では自殺者や事故死が多い

自殺の背景にはしばしば、うつ病などの精神疾患があることはよく知られています。

また他の疾患についても自殺と関連があるとみられますが、不慮の事故による外因死の場合には自殺かどうかの判断が極めて難しく、遺書がない場合には変死と処理されてしまうのです。

国立がん研究センターのグループは、糖尿病と自殺や事故死との関連についての研究結果を報告しています。

 詳しく見る ⇒ 国立がん研究センタープレスリリース

この論文は、Diabetes & Metabolismに掲載されましたが、内容を簡単にご紹介したいと思います。

40歳代の糖尿病患者では自殺が多い

研究では、全国の11保健所の管区内に住む40~69歳の男女10万人について、約12年間追跡調査して糖尿病と自殺および事故死(交通事故、転落事故など病死・自他殺以外の死亡)との関連を調べています。

調査の対象となった105,000人の中には、調査開始時に4,900人が糖尿病でしたが、

  • 調査始時に糖尿病だったグループ(4,900人)
    自殺者 : 41人
    事故死 : 72人
  • 調査開始時に糖尿病でないグループ(65,100人)
    自殺者 : 577人
    事故死 : 727人

それを年代別に解析したのが下記の図です。

解析の結果では、

糖尿病のグループの自殺・事故全体のリスクは、糖尿病でないグループに比べ、

  • 40~49歳では 約2倍
  • 50~59歳では 約1.4倍

しかし、60歳以上では、糖尿病のグループと糖尿病でないグループの自殺・事故死のリスクに統計学的な差はみられなかったそうです。

40歳代では糖尿病に悲観しての自殺が多い

この結果について、国立がん研究センターの研究グループは、

  1. 糖尿病とうつ病には強い関連がある
  2. うつ病は自殺の強い危険因子
  3. 糖尿病の罹患に伴い抑うつ状態になると交通事故などの不慮の事故に遭遇しやすくなる

と考えられと述べています。

糖尿病によりうつ病が誘発され、また、うつ病まで伸展しないにしても抑うつ状態になることによって交通事故や高所からの転倒・転落などによる死亡リスクも高まると考えられるというのです。

また、糖尿病の合併症による視覚障害も交通事故や高所からの転倒・転落などによる死亡の原因になるとして、糖尿病のグループでは自殺・事故全体のリスクが高かった原因であるというのです。

さらに、59歳以下の糖尿病グループでは自殺や事故死に統計学的な有意差が見られたことは、

糖尿病の合併症(神経障害や網膜症、腎症)に対する不安、

  • 仕事を続けられなくなる
  • 不自由な生活を強いられる
  • インスリンによる治療の開始など

などの心理的ストレスが60歳以上の人よりもより強かったからではないかと推察しています。

59歳以下の人で強いことが考えられます。

60歳代のリタイアした方に比べて、40歳代、50歳代は家庭の大黒柱として最も重要な時期であり、糖尿病に罹患したという心理的ストレスははるかに大きいことは容易に想像がつきます。

 

国立がん研究センターでは、がん診断後や脳卒中後に自殺および事故による死亡のリスクが高いことを既に報告しています。

今回の報告で、がんや脳卒中と同様に糖尿病でも自殺や事故による死亡のリスクが高いことが明らかになりました。

特に40歳代では糖尿病に起因するうつ病や心理的ストレスによる悲観から死亡リスクが高まります

神経障害や網膜症、腎症などの合併症がおきれば身体活動的にも経済的にも大きな制限が加わります。

しかし、

糖尿病は治る病気です。

糖尿病は食事療法と運動療法で治癒する病気です。

糖尿病だといわれても悲観することなく、前向きにに食事療法と運動療法に取り組んでください。


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