臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
数日前からネットで話題になっている、
卵は糖尿病のリスクを上昇させる
という書き込み。
そのオリジナルを探してみると、
卵は糖尿病のリスクを60%も上げる
というのです。
「タマゴが糖尿病のリスクを上げる」だって?、このような論文は目にしたことがないな、、、
詳しく調べてみました。
卵は糖尿病のリスクを上昇させるのか?
数日前から、Twitterやネットの書き込みに、
衝撃だ!卵は糖尿病のリスクを高める!
糖尿病の人は卵料理は要注意です!
というような書き込みが増えています。
どうしてこんな書き込みが増えているのかと元をたどってみると、
鶏の卵を定期的に摂取することで2型糖尿病の発症リスクが大幅に高まることが研究によって明らかになった。
というSPUTONIKに掲載されて記事が元になっているようです。
この記事によると、
- 鶏卵を1日平均38g以上食べていた人では糖尿病の発症リスクが約25%上昇していた
- 1日に鶏卵を50g以上食べていた人では糖尿病の発症リスクが60%上昇していた
- 女性は男性よりも発症リスクが高いことも判明した
ということが研究で明らかになったというのです。
市販の卵は重量によってサイズ分けされていますが、
- Lサイズ : 殻なし約60g、殻つき64g〜70g未満
- Mサイズ : 殻なし 約50g、殻つき58g〜64g未満
ですから、
Mサイズの卵を毎日食べると糖尿病のリスクが60%上昇する
ということなのです。
記事によるとこの研究結果は科学雑誌British Journal of Nutritionに掲載されたとのことです。
British Journal of Nutritionはイギリスの栄養関係の賢威ある学術誌で私の数回論文を掲載させてもらったことがあります。
もう少し具体的に、
- 誰がいつ何処で研究したのか?
- 対象者は何人くらいか?
- 卵を食べていた期間は?
といことを調べようかと思って、
British Journal of Nutritionを検索したのですが見つかりませんでした。
鶏の卵を定期的に摂取することで2型糖尿病の発症リスクが大幅に高まるという研究はウソではないのかもしれませんが、
論文の著者や掲載の詳細を表示してもらわなければ真偽を確かめようがありません、、、、
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卵が糖尿病のリスクを上げるのは間違いのようです
卵の糖尿病に対するリスクに関しての研究は海外や我が国でもおこなわれています。
という5年ほども前に書いた記事を読んでいただいた方はご存じでしょう。
1つは、American Journal of Clinical Nutritionという世界的にも権威のある栄養学雑誌に掲載された論文で、
卵を週に4個食べれば糖尿病を防ぐことができる!
Egg consumption and risk of incident type 2 diabetes in men: the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study.
というものです。
糖尿病になった人と糖尿病にならなかった人の食習慣を比較したところ、
1週間に約4個の卵を食べていた男性は、
週に1個だけの男性より、2型糖尿病のリスクが38%低い
という結果が得られたとして、
卵を習慣的に食べることにより2型糖尿病のリスクを1/3に減らし血糖値を下げることができる
と結論しています。
卵は糖尿病のリスクを下げる
国立がんセンターは、
卵をたくさん食べても糖尿病のリスクは上がらない
との研究報告を発表しています。
40~69歳の63,000人の日本人を対象にした疫学調査において、
卵をたくさん食べる女性では糖尿病のリスクが18%低下した
ことが判明したというのです。
国立国際医療研究センターの研究グループも、
卵摂取と2型糖尿病のリスクの関連を調べた研究において、
45~75歳の男性2万7,248人と女性3万6,218人について追跡調査したところ、
コレステロールや卵の摂取量と 尿病のリスクに関連はみられず、
閉経後の女性ではコレステロールの摂取量が多い女性では糖尿病のリスクが低かった。
と報告しています。
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まとめ
TwitterなどSNSで「卵は糖尿病のリスクを上昇させる」との書き込みが増えていますが、
情報源は不明で根拠がないようです。
卵は糖尿病のリスクを下げるとの多くの報告が有り、「卵は糖尿病に良い食べ物」なのです。
卵の食べ過ぎはコレステロールを上げると信じられてきましたが、
厚生労働省は2015年4月に「食事摂取基準」を改訂しコレステロールの摂取基準を撤廃し、
2015年4月に日本動脈硬化学会も、
食事のコレステロール摂取で体内のコレステロール値は変わらない
とのコレステロール摂取量に関する声明を発表しています。
卵には良質の蛋白質や多くの栄養素が含まれており積極的に食べるべき食品なのです。
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