今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
血糖値が高い!
糖尿病がヤバい!
そこで取る対策が、
- 低炭水化物
- 糖質ゼロ
しかし、
低炭水化物の効果は短期間だけだというのです。
低炭水化物の血糖値に対する効果は短期間だけしかない?
血糖値が高い!
糖尿病予備群だ!
として多くの人がおこなうのは、
- 低炭水化物食の食事療法
しかし、
低炭水化物食の血糖値に対する効果は短期間に限られる
というのです。
Strict Low-Carb Diets Could Push Type 2 Diabetes Into Remission, But Effect Fades
詳しく見る ⇒ Helth Day
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のGrant Brinkworth氏らの研究グループは、
2型糖尿病患者を対象に、
低炭水化物食による食事療法の有用性を比較した研究論文が英国の科学雑誌BMJに掲載されました。
その結果、
糖尿病患者が低炭水化物食の食事療法を開始すると、
初めの6ヵ月間は血糖コントロールに有意義だが、時間の経過とともに効果が薄れてしまう
という結果が得られたというのです。
衰える可能性が報告された。
研究グループは、
2型糖尿病患者を対象におこなわれた23件の低炭水化物食事療法と他の低脂肪食などの食事療法をメタ解析したのです。
なお、低炭水化物食群では、炭水化物摂取量を1日の摂取エネルギー量の26%~10%未満に維持していました。
メタ解析の結果では、
開始後6ヵ月時点では、
- 低炭水化物食群の体重や中性脂肪が有意に低く
- 糖尿病が改善(HbA1Cが6.5%未満)した患者も有意に多かった高かった
のですが、
開始12ヵ月時点では、
- 6ヵ月時点の有意差が消失した
- 悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)が有意に高い
という結果に変わってしまった、というのです。
研究グループは、
規められた食事内容を持続できなかったことが原因ではないかとし、
「食生活を大きく変更してそれを維持することは難しい」とコメントしています。
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低炭水化物食は糖尿病の血糖低下に効果がある
今回の論文では、
低炭水化物食は、
- 6ヶ月目では血糖低下効果があった
- 12ヶ月目では血糖低下効果は見られなくなった
というのですが、
「低炭水化物食は糖尿病に効果がない」というわけではないのです。
研究グループは、
低炭水化物食による食事療法には「ある程度の体重減少」と「血糖コントロールを達成できる」可能性は示されたとしているのですが、
6ヵ月という短期間であれば低炭水化物食は検討に値するが、
低炭水化物食を継続することが難しいことから効果は限定的だとしているのです。
低炭水化物食とは極端に言えば、
- 米を食べない
- パンを食べない
- 麺類を食べない
- イモや根菜類を食べない
という食事法なのですが、これを残りの半生で継続できますか?
若い女性の間で「低炭水化物ダイエット」が流行ったことがありました。
確かに炭水化物の量を減らせば減量に効果があります。
しかし、
- 栄養的に偏り体調を崩す
- リバウンドが激しい
といわれています。
炭水化物摂取を厳格に制限することは、食物繊維などの幾つかのビタミンや微量栄養素が不足してしまう可能性があるのです。
食物繊維が豊富な野菜や炭水化物などは、炎症を抑制するように働くなど、血糖コントロールとは異なる面でのメリットが糖尿病に良い効果をもたらしている可能性があると言われているのです。
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まとめ
このサイトでも糖尿病の食餌療法について沢山書いてきました。
日本糖尿病学会が勧める糖尿病の食事療法はカロリー制限を中心にした食事療法です。
一方、糖尿病の食事療法で世界基準になっているのは、
DIRECT試験は糖尿病の食事療法の原点でもお知らせした「地中海食」です。
DIRECT試験では、
- 低脂肪食
- 地中海食
- 低炭水化物食
の3つの食事療法を比較し、
オリーブオイルや魚介類をたくさん摂る地中海食を推奨しているのです。
炭水化物は確かに血糖値を上げるのですが、糖尿病には無理のない糖質制限がおすすめなのです。
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